本記事は2018年9月に日経電子版で掲載された広告特集
【老舗醤油メーカー ヤマサ醤油の新たなる挑戦 グローバルでも通用する業務プロセス改革へ“迅速な経営判断”のために選んだ次世代システムとは?】からの転載です。

老舗醤油メーカー
ヤマサ醤油の新たなる挑戦

グローバルでも通用する業務プロセス改革へ
“迅速な経営判断”のために選んだ
次世代システムとは?

 1645年に創業した老舗醤油メーカーのヤマサ醤油。370余年の歴史を誇る同社は、品質にこだわった醤油作りの伝統を守りながらも、時代に合った製品開発と技術革新に取り組んできた。職人の勘に頼っていた味作りに科学的な手法を持ち込み、高品質な製品を安定的に供給する仕組みを作り上げたことが、いまに続く事業の礎となっている。
 そんな社風を持つヤマサ醤油は、情報システムの導入も早かった。1980年代には原価計算と生産管理システムを独自に作り上げ、長年の運用を通じて業務プロセスを標準化した。一部のバックオフィス業務にパッケージシステムを取り入れた際も、それまで培ってきた業務プロセスを反映するために膨大なカスタマイズを行ったという。
 しかし、自社の業務プロセスが必ずしも最適解とは限らない。事業のグローバル化が進み、迅速な経営判断が求められる現在、業務プロセス改革を伴う情報システムの見直しが必要。そう考えたヤマサ醤油は、「SAP S/4HANA」による次世代システムの構築に着手した。同社がSAP S/4HANAを選んだ理由とその背景を探った。

迅速な現状把握と
素早い意思決定が経営課題に

 ヤマサ醤油は三代将軍徳川家光の江戸幕府時代に、醤油発祥の地である紀州(和歌山県)有田から下総(千葉県)銚子に渡った初代濱口儀兵衛が創業した。江戸幕府から「最上醤油」の称号を受けるなど、昔から品質の高い醤油蔵元として定評があった。創業当時から受け継ぐ独自の麹菌「ヤマサ菌」による醸造の伝統を守りながら、時代に合わせた技術革新にも積極的に取り組んでおり、1950年代には核酸を分解してうま味調味料を製造する技術を発明。そのバイオテクノロジー技術は医薬品事業、体外診断薬事業へと発展している。近年では2009年に「鮮度の一滴」を発売。これは、業界に先駆けて醤油に鮮度という価値を持ち込んだものとして話題をよんだ。

 ヤマサ醤油 代表取締役社長の石橋直幸氏は自社のこだわりをこう話す。「ヤマサ醤油は『社会に存在価値のある企業』を経営理念として掲げ、食と医薬を通じて人々の豊かな生活に貢献することを目指しています。より良い製品を開発するために“味”を探求するのはもちろん、料理の名脇役となるようなモノづくりにこだわっています」

 さらに石橋社長は、伝統の継承と技術革新を両立させてきたヤマサ醤油だが、近年はさまざまな経営課題も抱えるようになったと語る。

 「当社はニーズに合わせた多種多様な製品を開発・販売していますが、その生産体制をひと言で表すと“多品種・変量生産”です。つまり製品の種類が多いだけでなく、製品によって生産量が異なるため、すべての生産性を向上させるのは容易ではありません。また製品の届け先も古くからの問屋をはじめ、スーパー、コンビニ、外食チェーン、食品メーカー、医薬品メーカー、さらには一般消費者など多岐にわたり、それぞれ異なる営業活動に取り組む必要があります。どのビジネスがもうかっているのか、どのビジネスにテコ入れが必要なのかを迅速に把握し、素早い意思決定を行うことが経営課題となっています」

ヤマサ醤油株式会社
代表取締役社長
石橋 直幸 氏

市場環境の変化にも対応した
「マーケットドリブン」なシステムの必要性

 こうした経営課題の解決を目指し、ヤマサ醤油では以前から情報システムを活用してきた。80年代にはメインフレームを導入し、長年にわたって培ってきた業務プロセスをベースに、原価計算、生産管理、受注管理、在庫管理、販売管理などの基幹業務システムを自社開発で独自に作り上げている。

 「2003年に稼働させた現行システムは、一部の業務に既成のパッケージシステムを導入し、当社の業務プロセスに合わせてカスタマイズを行い運用してきました。11年に成田工場・物流センターが竣工した際には、フルオートメーションの最新コントロールシステムを構築してパッケージによる生産管理システムと連携させるなど機能強化も図りました。情報システムに関しては競合他社に負けないという自負があります」と語るのは、 経理・総務本部 副部長 情報システム管理室長の網谷佳久氏だ。

ヤマサ醤油株式会社
経理・総務本部 副部長
情報システム管理室長
網谷 佳久 氏

 ところが現行システムは稼働開始から十数年が経過しているため、プロダクトドリブンな情報管理を基本としており、現代に求められる市場環境の変化をとらえたマーケットドリブンな情報管理に対応しきれていなかった。つまり「ビジネスの現状を把握し、素早い意思決定を行いたい」という経営課題にはなかなか応えられずにいたのだ。

 「社長をはじめとする経営層からは、会社を成長に導くためのデータをすぐに見たいという要望が上がっていました。しかし現行システムでは、例えば収益性管理に必要なデータをリアルタイムかつ統合的に可視化する仕組みがなく、さまざまなシステムから必要なデータを集め、手作業でデータを集計しなければなりませんでした」(網谷氏)

 こうしたシステムの現状を打破するために、16年から網谷氏ら情報システム部門が中心となって現行システムに代わる“次世代システム”の構想を練り始めた。そして翌年初の経営会議において、次世代システムへの全面刷新が提案された。まさにボトムアップによる情報システム改革が幕を開けたのだ。

「グローバル展開」も見据えてリアルタイムな
経営可視化を実現するSAP S/4HANAを選定

 次世代システムへの全面刷新という提案を受けた石橋社長だが、「いますぐに手を打つ必要があるのかどうか」も含め、慎重に検討を重ねたという。

 「当社は1992年に米国現地法人を設立し、94年から現地生産を開始しています。さらに東南アジア、欧州に販売会社を設立し、事業のグローバル化を進めてきました。しかしながら情報システムは統一できておらず、海外現地法人のデータをスピード感を持ってつぶさに見ることができません。今後の一層の海外展開を考えると、なるべく早く情報システムを刷新し、将来はグローバルの経営データをリアルタイムに可視化できるようにすることが望ましいと判断しました。同時に、あまりに細かく個別最適化された従来の業務プロセスに関しては、新しいシステムの導入に合わせて大胆にメスを入れ、グローバル標準の仕組みに切り替えていくことを指示しました」

 こうして経営層の内諾を得た情報システム部門では、さっそく次世代システムにふさわしい情報システム基盤の選定に着手する。網谷氏はまず、できる限り自社開発をやめてパッケージに切り替えることを決めたという。

 「情報システム部門の運用管理や開発にかかる業務量を鑑み、今後の負荷軽減のためにも自社開発をやめることにしました。もちろん企業の生命線ともいうべき競争領域の業務システムについては自社開発を続けますが、非競争領域の業務システムは全面的にパッケージを採用することにしました」

 パッケージを選定するにあたり、網谷氏はこれまで利用してきたシステムをバージョンアップすることも考えた。だが従来のパッケージはこれまでと同じようにカスタマイズに労力がかかることが判明し、断念。次に候補として挙がったのが、SAPだった。

 「実はずいぶん前からSAPの機能が優れているというのはわかっていました。けれども、当社のような規模の企業にとって費用面で手が届く存在ではないと思い、はなから諦めていました」

 悩み抜いた網谷氏だが、機能面からパッケージを選定するのではなく、原点に返って自分たちは何を実現したいのかを考え直すことにしたという。

 「石橋社長をはじめ経営層に改めて話を聞いたところ、大きなスクリーンにリアルタイムの経営データを表示しながら、気になるデータをドリルダウンして原因を究明したり素早く意思決定したりできることが理想だと言います。それにピッタリ当てはまるパッケージはただ一つ、SAPだけでした」

ヤマサ醤油とSAPに共通する
“顧客のためのビジネスパートナー”が採用の決め手

 改めてSAPを候補として考え始めた網谷氏は、自身で同社の問い合わせ窓口を調べて直接コンタクトをとってみた。すると、これまでの認識に誤解のあったことがわかったという。

 「かつてのSAP R/3とは違い、最新のSAP S/4HANAは当社の予算でも手の届く存在でした。しかも当社と同じ食品メーカーへの豊富な導入実績がSAPにはあり、商慣習にも精通しているという安心感が持てました。経営層が考える“グローバル化に対応する業務プロセスの標準化”も実現でき、今後長期間にわたり基幹業務システムとして使うことも考慮した結果、SAP S/4HANAを導入候補として、経営層に提案することにしました」

 SAP S/4HANAを導入したいという話を聞いた石橋社長は、SAPという企業のビジネススタイルにヤマサ醤油と相通じるものを感じたという。

 「SAPは顧客にどんな悩みがあるのかと耳を傾け、一緒に解決策を探りながら成功を目指すビジネスパートナーです。これは食・料理に携わるお客様のニーズに応え続けてきたヤマサ醤油の考え方そのものです。こうした面からも、当社の次世代システムの基盤としてふさわしいと考え、SAP S/4HANAの導入を決断しました」

 現在、ヤマサ醤油では20年1月の稼働開始を目指し、次世代システムの構築を急ピッチで進めている。

 創業370余年のヤマサ醤油と創業45年のSAP。歴史も事業内容も全く異なる両社だが、顧客中心のビジネススタイルに共通点のあることが、最終的に導入決定の決め手の一つになった。また今回取材した事例では、当初は「SAPには手が届かない」と諦めていた企業でも、実は導入できる予算の範囲に収まることも明らかにされた。一方で、全く新しい基幹業務システムへ切り替えるだけに、“業界特有の商習慣”に精通しているかどうかという不安もあった。それについても、江戸時代から続く老舗でも適用できるほどSAPには豊富な導入実績があり、かつそうした業務プロセスをグローバル標準化できるだけの普遍性を兼ね備えていた。

 長い伝統を受け継ぎながら、常に時代に合った技術革新を惜しまない――。今回の取材を通して、ヤマサ醤油は将来にわたって会社を存続させていくための秘訣を教えてくれた。そんな会社が選んだSAP S/4HANAだけに、今後のビジネスのさらなる飛躍において、大いなる貢献を果たしてくれることだろう。

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