クラウドERPへの移行における課題 – SAP S/4HANA Cloudを選択する理由(2)


SAP ERPは1992年に前身となる「SAP R/3」が発表されてからというもの、20年以上ERPの業界を牽引してきました。今もなお多くのユーザー企業に支持され、日本では現在すでに2000社以上がSAP ERPを導入していると言われています。企業向け基幹システムとして長期にわたって高い信頼と実績をもつSAP ERPですが、その企業における存在感ゆえに大きな課題にも直面しています。今回はその課題に対する解決策でもある、最新のクラウドERPであるSAP S/4HANA Cloudの有効性と選ぶべき理由について、わかりやすくお伝えします。

パッケージ型SAP ERPへの移行における課題

現在パッケージ型SAP ERPはユーザー企業にとって重要な役割を果たしており、欠かせない存在となっています。ですが、そのユーザー企業を大いに悩ませているのが「2025年問題」です。
「2025年問題」とは、「SAP ERP」「SAP Business Suite」などのERP製品の保守サービス、「メインストリーム・サポート」の期限が2025年で終了してしまう問題のことです。システムの老朽化へのフォロー、セキュリティの安全性確保、システム活用に際して必要なサポートは企業の運営には必須だからです。オンプレミスのSAP ERPシステムを導入しているユーザー企業にとって、このサポートが行われなくなることは致命的でしょう。

シングルテナント型SAP S/4HANA Cloudの特徴

「2025年問題」に対処するためには、新バージョンの「SAP S/4HANA」への移行が最善と言われてきましたが、こちらもオンプレミスに違いはなく、根本的な解決にはつながりません。この問題を解決したのがクラウド型ERP「SAP S/4HANA Cloud」です。この基幹システムの提供が開始されることによって2025年問題は解消されました。
SAP S/4HANA Cloudの影響は、さまざまな拡張機能や最新の技術の使用、よりユーザーに適したカスタマイズができるようになったことだけには留まりません。この基幹システムの導入により、継続的なシステム更新、セキリュティ対策、SAP製品に関する人材の確保と育成、BCPなど、従来のオンプレミスシステムにおける問題から解放され、本来の導入目的であった業務の改善や情報活用などに集中できるようになりました。それ以外にも、SAP S/4HANA Cloudには、導入から保守まで一連の運用を低コストで簡単かつすばやくでき、従来のものよりもガバナンスとコンプライアンスが強化されているという特徴があります。さらに投資回収 (ROI) までの時間が短縮されている点も導入障壁を低くしています。

さまざまなインフラの選択肢

さらに、SAP S/4HANA Cloudは最初期の「パブリッククラウド版」と後続でリリースされた「シングルテナント型クラウド版」がありまず。
特にシングルテナント型クラウド版ではクラウドインフラ、アプリケーション、プラットフォームへの専用アクセス権限が1社のユーザー企業に与えられるため、カスタマイズの自由度がより高くなります。たとえば、SAP S/4HANA Cloudを企業に導入する際、部門向けに2 層構造での導入ができたり、豊富なアナリティクス機能から選択して活用したりできます。このようにクラウドインフラを自由にカスタマイズできることは企業にとって大きなメリットでしょう。

sapshana_reasonインフラに関する技術やサービスは日々進歩し、変化し続けています。システム管理のライセンスがユーザー側にあれば、多様な選択肢がある中で、コストや作業効率の見直しなどを簡単かつ自由に行うことができます。機能やシステムを自由自在に組み合わせて、新しいビジネスの需要に迅速かつ柔軟に対応できるインフラの実現は、競争社会において重要なファクターです。

シングルテナント型SAP S/4HANA Cloudへの切り替えが可能

SAP S/4HANA Cloudは、最初にリリースされた従来のパブリッククラウド版と、シングルテナント型クラウド版、オンプレミス版など、使用する目的に合わせて仕様の切り替えが可能となっています。
前述のシングルテナント型クラウド版と異なり、「機能およびプロセスの標準的な仕様」「SAPへのシステム管理委託」など、より速く簡単に作業を行いたい場合はパブリック版SAP S/4HANA Cloudを選ぶとよいでしょう。

SAP S/4HANA Cloud導入事例

株式会社アイ・ピー・エスは、SAP S/4HANA Cloudが日本において提供決定となってすぐに導入を検討し、2018年1月から本格的に利用を開始しました。SAP S/4HANA Cloudの導入では「従来の作業をどう行っていたのか」は重要ではなくなります。「本来効率よく、最短で仕事をするとはどういうことか」を考え直すところからシステムの活用が始まります。まさに、社内を根本から改革するよい転機ともなり得るわけです。作業プロセスの徹底的な見直しによって作業フローはシンプルになり、本来の業務に割くことのできる時間が多くなります。感覚として20〜30%業務に充てることができるようになったそうです。
このように人に依存している作業を無理に自動化させるのではなく、「作業サイクルを速めるためには、どの作業プロセスを自動化すべきなのか」といった別の観点から全体を把握することで、今まで見えなかった問題に取り組む環境が整います。SAP S/4HANA Cloudは現場の要求の通りに作るものではなく、それをきっかけにして会社を根底から「変える」という意識をもって導入すべきものだということがよくわかります。

SAP S/4HANA CloudがERP導入を成功に導く

SAP S/4HANA Cloudは、究極まで無駄をそぎ落とし、ビジネスを効率化してくれるツールです。クラウド化によってこれまでにない利便性を兼ね備え、細やかなカスタマイズや、手軽な運用も自由自在です。従来の方法にとらわれることなく、本当に重要なことやあるべき姿を徹底的に追求することで、利用方法は無限に広がっていきます。従来のどんなERPと比べても企業に貢献すると言わしめるSAP S/4HANA Cloudが、EPR導入を成功に導くでしょう。

参照URL

https://www.sapjp.com/blog/archives/16023

https://www.sapjp.com/blog/archives/21057