SAPが描く近未来のユーザーエクスペリエンス(UX)――第3回:SAP Fioriが生み出すUXの新たな付加価値


Picture8SAPジャパンの井口です。ユーザーエクスペリエンス(UX)の高度化という観点から、SAPが掲げるビジョンと戦略、また具体的な取り組みについてご紹介する連載。1回目2回目では、スマートグラスなどのウェアラブルデバイスでSAPが目指していること、そしてユースケースをいくつかご紹介してきました。

多様化するデバイスのユーザーインターフェース(UI)から満足度の高いUXを生み出すためには、一貫性のある操作性を備えていなければなりません。SAPが2013年に発表したSAP Fioriは、こうした意図から開発されたものですが、リリース当初は有償だったこともあり、ユーザーの皆様にその価値を十分にお伝えすることができていなかったかもしません。しかし、2014年6月にはSAP FioriをSAPソフトウェアの基本ライセンスに同梱することを発表し、SAP Fioriはアプリであると同時にSAPが提供するUIであり、さらにSAPが目指す新たなUXの原点であることを再定義しました。

そこで本連載の最終回は、SAP Fioriについてあらためてご紹介をさせていただき、SAPが高度なUXを通じて何を目指しているのかについてお伝えしたいと思います。

SAP Fioriで目指すデバイスを横断した新次元のUX

モバイルデバイスの進化、普及の拡大は目をみはるものがあります。以下の写真をご覧ください。新しいローマ法王の決める選挙(コンクラーベ)のときの集会なのですが、左側は2005年で、右側は2013年です。説明するまでもありませんが、左側の写真では一部の人がいわゆるガラケーのような携帯電話を持っている以外、ほとんどの人は何も持っていません。一方、2013年の右側の写真では、多くの人がスマートフォンやタブレットで集会の様子を写真に収めようとしています。

Picture1

このようにスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスの普及が加速する一方、PC+マウスという組み合わせが相対的に減ってきています。それに伴い、エンタープライズアプリケーションもコンシューマーアプリに近づきつつあります。従来のエンタープライズアプリは、慣れた人には使いやすいのかもしれませんが、一般の人にはとっつきにくく、一定のスキルを要し、誰もがすぐに使えるものではありませんでした。一方、コンシューマーアプリに近いということは、シンプルで直感的なアプリケーションであり、誰でもすぐに使えることを意味します。SAP Fioriは、まさにこの直感的でシンプルな標準UIとして開発されたものです。最初は有償で販売されたために「アプリ」として扱われていたのですが、その後は明確な軌道修正を行い、SAP製品の標準インターフェース、無償の「UX」となったのです。

SAP FioriによるエンタープライズアプリケーションUXの変革

では、そもそもUXとは何を意味する言葉なのでしょうか。SAPが考えるUXの構成要素は、

①パフォーマンス(品質)
②コンテンツと流れ
③対話性と一貫性

の3点です。これらがバランスよく協調することが優れたUXの要件であり、逆にこれらのいずれか1つでも損なわれてしまうと、優れたUXを実現することは難しくなります。

Picture2

そして、私たちは以下のような概念の中で、SAP FioriをSAPソリューションの価値を高めるUXの中核的な役割として位置付けています。SAP Fioriを使って使用頻度の高いアプリケーションのUIを優先的に置き換えながら、ユーザー体験を高めていこうという考え方です。

  • New(新製品):直感的でシンプルなコンシューマーアプリのような新しいUXとして対応
  • Renew(更新):現在の使用頻度や利用者数の多いアプリを優先的にSAP Fioriベースに更新
  • Enable(有効化):個別ユーザー向けのアプリは、SAP Screen Personasなどを使って、さらに使い勝手を向上させる

Picture3

SAP Fioriに込められた5つのデザイン理念

PCなどの大きなディスプレイベース、タブレットベース、そしてスマホベースのUXをサポートするSAP Fioriは、以下の5つの理念に基づいてデザインされています。

  1. Role-based(役割ベース)
  2. Responsive(いつでも反応できる)
  3. Simple(簡潔)
  4. Coherent(整合性・一貫性)
  5. Delightful(楽しい)

1.Role-based(役割ベース)

機能ベースの表示が基本となる従来のUIにおいては、ユーザーは自分が必要とする機能や入力する場所を選択しながら使うことになります。一方、SAP Fioriでは役割ベースで画面が構成されます。ここでは、ユーザーの権限や責任の範囲によって画面構成が異なり、たとえば管理者が使う場合、現場スタッフが使う場合、外部の協力会社が使う場合など、それぞれの役割と業務フローに応じた画面構成になるので、ユーザーにとっては非常に使い勝手のいいものになります。また、役割に応じて機密レベルも異なることから、こうしたことをユーザーは意識しなくてすむ点も大きな特徴です。これまでのUIでは、間違った操作をしてしまったり、必要な情報に1つの画面からアクセスできないといった不便さがありましたが、SAP Fioriはこうした課題を解消します。

Picture4

2.Responsive(すべてのデバイスに最適化)

PCベースの大きなディスプレイの画面は、そのままスマホなどで見るには不便です。SAP Fioriは、画面の大きさと目的に応じて表示内容を取捨選択しながら、自動的に最適化されます。これにより、いつでもどこでも、どのデバイスからでも自由に業務が行えるようになります。

Picture5

3.Simple(シンプル)

SAP Fioriは図表やグラフをテンプレート化して、知りたい情報をわかりやすく表示できる機能を備えています。表示した後、さらに詳しく知りたい場合にはドリルダウンして深堀することも簡単です。これにより、分析やレポーティングの生産性は飛躍的に向上します。

Picture6

4.Coherent(整合性・一貫性)

営業、製造、調達、人事、マーケティング、経理といった異なる業務部門が異なるアプリケーションやデータを扱う場合においても、SAP Fioriはユーザーに一貫性のある操作性を提供します。同じメーカーのアプリケーションでも、業務別の機能によって使用感がまったく異なることがありますが、SAP Fioriにおいては機能面以外の差異は極力最少化されています。

Picture7

5.Delightful(楽しい)

このように直感的でシンプルなUIにより、業務が円滑にできてストレスのない職場環境を作ることが可能になります。まさに現場で働いて、楽しいという状況がSAP Fioriによって生まれるのです。

SAP Fioriの概要については、以下の動画でもご覧いただけます。

本連載では全3回にわたり、SAPのUXに対する取り組みについてお伝えしてきました。ウェアラブルデバイスなどを利用する新しい分野において、SAPは新たなユースケースを通じてUXの高度化に取り組んでいます。デバイスの完成度などにより実現時期に違いは出てくるでしょうが、SAPはこれらの技術革新に大きな期待を寄せています。そして、SAP Fioriに代表されるUXの考え方をあらゆるプロダクトに適用し、皆様のUX高度化により一層貢献できるように活動を続けてまいります。

【参考リンク】

SAP Fioriに関する記事一覧 | SAPジャパン ブログ
https://www.sapjp.com/blog/archives/tag/sap-fiori

Introducing Fiori
https://www.youtube.com/watch?v=7jeo0REvmjg

SAP Fiori Demo Video
https://www.youtube.com/watch?v=mYbn9Q6P0cU

Let’s talk about design and user experience
http://experience.sap.com/

SAP UX Explorer
https://uxexplorer.hana.ondemand.com/

ご質問はチャットWebからも受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

●お問い合わせ先
チャットで質問する
Web問い合わせフォーム
電話: 0120-554-881(受付時間:平日 9:00~18:00)