いよいよベールを脱いだ新ERP : SAP Business Suite 4 SAP HANA


2月3日にニューヨーク証券取引場にて、SAPのCEOビル・マクダーモット、SAPの共同創業者の一人であるハッソ・プラットナーらが登壇して、次世代のエンタープライズソフトウェアとなるSAP Business Suite 4 SAP HANAを発表しました。

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略称はSAP S/4HANA(エスフォーハナ)で、SはSimple、4は第四世代を指します。またHANAはご存知SAPのインメモリーデータベースであるSAP HANAであり、HANA上で稼働するという意味です。

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1992年のR/3の発表以来、実に23年ぶり!のビジネススイートの新製品となりました。会見のニュースは全世界で報道され、約2千万人の目に触れられました。その反響の大きさ、注目度をうかがい知ることができます。

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2月3日の会見の内容はこちらからビデオで確認することができます。構成としては、ビルが冒頭でSAPの戦略、SAP S/4HANAを開発した背景を説明、ハッソからSAP S/4HANAの具体的な説明(10:16~)、製品開発の責任者であるバーンド・ロイケによるデモ(44:20~)という流れとなっています。

1時間余り(且つ英語)の会見のため、すべてをご覧いただくことは難しいかもしれません。そこで本ブログでは会見の内容を踏まえ、また会見で触れられなかった内容も含めて、若干の解説を加えていきたいと思います。

SAP S/4HANAが求められている背景

会見の冒頭で、ビルがデジタル時代、ハイパーコネクテッド時代の潮流について取り上げましたが、SAPでは各種情報ソースに基づいて、次のように捉えています。

  1. 現在、世界にあるデータの90%は、過去2年間で生成された
  2. 次の2年間で、ビジネスネットワークは40%成長する
  3. 2020年には、全世界で90億人がモバイルユーザー、そして2,120億個の“モノ”がつながる

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1番目は過去2年間でのいわゆるビッグデータ、IoT(Internet of Things)の伸びを示しています。さらに3番目で「2,120億個の“モノ”がつながる」と挙げているように、世界のデータ量は指数関数的に今後伸びると想像されています。ビルは会見で、「超大量の情報をリアルタイムで処理するには、従来のディスク型のデータベースでは無理なので、SAPはインメモリーデータベースであるSAP HANAに投資をした。」と述べています。

次に2番目のビジネスネットワークとは、企業間でのモノ、サービスのやり取りのことを指しています。ある統計データでは、2020年には企業間ネットワークでの取引額は6500兆円にものぼり、世界総生産の70%がグローバル取引になるとあります。これだけの取引量になると、企業間でのコラボをどのように効率化するかというのが大きな課題になるでしょう。Basex Research社の2007年の調査によると、その時点でも企業間の非効率なビジネスコラボレーションにより6500億ドルが失われているとあります。

そして3番目のように、モバイルの普及が進み、世界の膨大なデータがあらゆるデバイスでつながると、オフィス同様のユーザーエクスペリエンスが自分のモバイルで実現するため、社員はもう意思決定の場所を選びません。また消費者のモバイル体験に目を向けても、今すでに起きているインターネットとリアルを自由自在に行き来する流れが、さらに高度なものに進化していくであろうことは疑いの余地もありません。

ヒトがつながり、モノがつながり、企業がつながる。こうした変化に対応するために、企業システムのあり方も変化が求められているのです。

SAP S/4HANAとは何か

これまで述べたようにビジネスを取り巻く環境は、さまざまなものがデジタルにつながることで高度に、また複雑になっていきます。こうした環境において、お客様が 物事をシンプルに実現し、まったく新しいビジネスの創造を可能にする(Run Simple)ために生み出されたのがSAP S/4HANAなのです。そのため、SAPはSAP S/4HANAを「企業にイノベーションと変革をもたらすためのプラットフォーム」として位置づけています。

元々の開発の経緯として、データベースからの応答時間ゼロ、つまりどんなデータでも瞬時に取り出せるERPをつくれるとしたら、それはどんなシステムになるか?というところから始まったと聞いています。そこでSAP S/4HANAは、システムの複雑性の原因ともなっていた集計のための中間テーブルを排除して、データモデルをシンプルにしました。その結果、ユーザーが知りたい情報をSAP HANAの圧倒的な処理スピードによって瞬時に計算・開示することを可能にしたのです。

またSAP S/4HANA はSAP Fioriとも連携し、ユーザーの役割と業務フローに応じてパーソナライズされた、シンプルで直感的なユーザーエクスペリエンス(UX)を、あらゆるデバイスで体感することができます。

これらの最新技術が40年間の実績のある各業務、インダストリーの知見の上に加えられているのです。

その価値は?

SAPではSAP S/4HANA のビジネス的な価値として、Reimagined ビジネスモデル、Reimagined ビジネスプロセス、Reimagined ビジネスディシジョンの3つを挙げています。すべてにReimagined(再創造された)とついているのです。

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つまり、これまでさまざまな技術的な制約により実現できないと思っていたことが、技術革新によりすでに可能となっているのです。あとは皆さまの発想次第。制約条件を取り払って、もう一度創造してみましょうということです。

イメージを膨らませていただくために、いくつか「その世界」を垣間見ることができる動画を紹介しましょう。

いかがでしょうか?「新しい時代の幕開けを感じた」「業種が違うのでイメージがわかない」「現実性を感じない」など、さまざまなご意見をお持ちの方がいらっしゃると思います。ただ、まずは可能性を否定することなく、さまざまなアイデアに相乗りしていくことでイノベーションが創出されていくと私は考えています。実際に海外のリーディング企業は、その活動を開始しているのです。

次回以降、ビジネスモデルの変革、自社のビジネスプロセスに企業間ネットワークの発展がどう影響を及ぼすのか、意思決定を支える情報の提供について、事例を含めてもう少し掘り下げてご紹介する予定です。

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