オムニチャネルでファッション業界を躍進するブルックス ブラザーズ


アラフォーサラリーマンである私にとってみたら、アメリカの老舗ファッションブランドのブルックス ブラザーズと言えば、“渋カジ”が流行した頃、ラルフローレンとならぶアメリカントラッドの帝王として君臨したなじみ深い企業です。

約200年というアメリカ最古の歴史を持つ同社も、他のグローバルブランドと同様「グローバル」「オムニチャネル」の2つに成長の活路を見出し改革に着手しました。SCNにポストされた記事からSAPが選ばれた理由を探ってみます。

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ブルックス ブラザーズは創業約200年。イノベーションの才能あふれるファッション業界のパイオニアとして知られる同社は、「オムニチャネル」に本格的に取り組もうとしています。

1818年にヘンリー・サンズ・ブルックスがニューヨークに記念すべき1号店をオープンして以来、多くの変化が起こりました。おしゃれな紳士のためのブランドは、今では女性や子ども向けの商品も展開し、世界各国で600を超える店舗とアウトレットを運営しています。その間に、グローバル化が進み、消費行動も「欲しいものがあれば指先1つで即座に手に入れられる」ようになりました。

今日のファッション業界で競争力を維持するために、ブルックス ブラザーズは既存オペレーションとシステムを見直す必要がありました。同社の上級副社長でCIOのSahal Laher氏は、「商品という観点からはもちろんのこと、カスタマーエクスペリエンスの面からも、ブランドを改革し続けなければならない」と語ります。そのためには、効果的にITを活用する必要があったというわけです。

現在の消費者が求めているのは、あらゆるチャネルを跨ったシンプルかつシームレスな購買体験です。ブルックス ブラザーズは、その実現には「リアルタイムの顧客データ」と「購買履歴データ」だと考えました。「国境を越えグローバル規模で拡大し続けるオムニチャネルの世界では、多様化する顧客の購買体験に応えるのは過去のテクノロジーでは難しかった」と、Laher氏は語ります。そこで、同社はグローバルサプライチェーンシステムを刷新し、サイロ化されたデータを統合し、あらゆる市場を可視化すべきだと考えました。

そこで同社は、「ブルックス ブラザーズ・グローバル改革」プロジェクトを開始しました。プロジェクトチームはグローバルで勝ち残れる企業に変革するために、見直すべきテクノロジーを明確化し、システム要件を取りまとめ、その結果選んだのがSAPだったのです。「拡張性のあるグローバルシステムを提供でき、ファッション・小売双方の業界に精通した革新的なパートナーがSAPでした」(Laher氏)

ブルックス ブラザーズはまず、この変革を実現するためにSAP Apparel and Footwearを導入。これを足掛かりとして、グローバルサプライチェーンの整備に着手しました。SAP導入の主な成果としてLaher氏は、「在庫と財務の可視性が向上した」と語ります。ファッション企業においての「在庫管理」はビジネスの根幹であり、非常に重要なポイントです。そもそもオムニチャネル化された購買体験を提供するには、顧客に近いロケーションから、いつでも在庫を取り寄せることができなければなりません。「この市場に参入するには、『フリーサイズ型』のアプローチから脱却する必要がありました」(Laher氏)

ブルックス ブラザーズはまた、SAP CRMおよびSAP Customer Activity Repositoryも導入。高度な接客サービスを売りにしている同社ですが、顧客の嗜好性は1人ひとり異なる上、最小在庫管理単位(SKU)は数千種類に達します。「SAPの導入により、世界共通の顧客マスターデータベースを活用して、パーソナライズ化されたカスタマーエクスペリエンスを実現できました。今では顧客、購買履歴や嗜好性に関するデータをリアルタイムで得られるようになっています」(Laher氏)

同社はSAP HANAプラットフォームとSAP Fashion Managementにも大いに満足しているようです。「SAP HANAにより当社のCRMシステムは大幅に強化され、大量の顧客データに対しパーソナライズ化したオファリング情報をほぼリアルタイムでお客様に提供できるようになりました」とLaher氏は語ります。さらにSAP Fashion Managementの導入により、小売、卸売から生産にいたる全業務を単一システム上で実現しています。「1つのERPシステムであらゆる業務を管理できるので非常に心強く思っています」(Laher氏)

ブルックス ブラザーズは今後も、真のグローバルなオムニチャネル企業を目指し改革を進めていきます。そのためには、あらゆる市場で使える能力とシステムが不可欠です。SAPソリューションの導入によって同社は、サプライチェーンや財務、業務全体に加え、世界中の顧客情報についても可視性を高めています。

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以前、同ブログでも取り上げたアディダス(Adidas)社しかり、世界最大のイタリアのアイウェア企業であるルクソティカ(Luxottica)社しかり「グローバル」「オムニチャネル」の2つをキーワードにしたグローバルブランド企業の改革例が目立ちます。これらの企業にとってみれば、「成長市場でのシェアを他社よりも早く拡大し、成熟市場ではあらゆるチャネルを通じた顧客とのコミュニュケーションによる『コアファン』を醸成していく」という2つを同時に実現していくことが必須条件になっているからでしょう。

これらオムニチャネルを中心とした取り組みでは、「サプライチェーンの最適化」が大きなキーワードになっています。その理由として2つのことが考えられます。

1つは、需要と供給のマッチング精度を今までよりも高める必要があるということです。従来は店舗で発生した欠品は「お取り寄せ」で対応できたのに、今は在庫が無いと店舗に来店すらしてもらえません。少し極端な例でしたが、これらは消費者に情報を提供するタイミング、管理する頻度、コントロールするタイミングを変えないと実現できないことです。(これは、「デマンドチェーン」などと呼ばれている考え方です)

もう1つは、企業に与える財務インパクトです。商品を販売する機会をロスすればその分の売上は入ってこないし、売れ残れば在庫となる。さらにそれらを処分しようとすると必要以上の値引きが必要となるということです。つまり、需要と供給のマッチング精度を上げることは、財務的な改善インパクトも大きいということです。

これら各社の取り組みは既に始まっています。彼らの企業パフォーマンスが入手できたらあらためて”その効果”についてご紹介したいと思います。

出典: Brooks Brothers Closes In on Omnichannel Retail 投稿者 David Trites

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