日本企業にも押し寄せる財務インフラとCFOの意識改革


Business people having teleconference in meetingこんにちは、SAPジャパンの中野です。以前このブログで「CFOは事業推進の戦略パートナーになれるか? 事例で読み解く財務会計・管理会計の一体化」というタイトルで、SAPにおけるCFOおよび財務戦略の変革や、それを支えるテクノロジーとしてのSAP Simple Financeの活用例についてお話をさせていただきました。この取り組みの結果、SAPでは財務管理に関わる処理の早期化、リアルタイム化(オンデマンド化)、正確性の向上などがグローバルで実現され、CFOの役割をより経営の舵取りを担う役割へと進化させました。では、このCFOの役割についてSAP以外の企業ではどのように捉えられているのでしょうか。

そこで、今回はCFO Researh社が実施した企業の上級財務担当者に対するアンケート調査の結果や他社での導入事例を紹介しながら、CFOに期待される役割や、それを支えるテクノロジーの導入シナリオなどについてお話したいと思います。グローバル化が避けて通れない日本企業の皆様にとって参考になれば幸いです。

戦略的なビジネスパートナーとしてのCFOの役割

CFO Research社では、2014年の秋にグローバル規模で売上高5億ドル以上の大企業の財務担当上級役員を対象としたアンケート調査を実施し、多岐にわたる業種の企業から311件の回答を得ることができました。調査結果のエッセンスをまとめると以下のようになります。

1)絶え間ないイノベーションの必要性

いかなる経済環境下においても、増収増益を実現していくためには「絶え間ないイノベーション」が必要であり、回答者の多くは経営目標や戦略を「具体的な行動に移すまでの時間」を短縮したいと考えています。そのためには、「財務データと業務データを今よりももっと迅速に分析できること」が必要です。しかしながら、現時点ではオンデマンドにこういった分析を実現している企業は極めて少ない状況です。

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出典:CFO Research社の調査「今こそ、財務部門の価値を高めて新たな次のステージへ」

2)情報ツールの革新

上述した洞察を迅速に導き出すためには、「データの簡単なビジュアル化」や「さらに高度なアナリティクス」を支援するテクノロジーが必要であるという回答も大半を占めていました。大量のデータに溺れることなく、これらデータを制御し、その上で精度の高い意思決定につながるデータ活用ができる環境が求められているということです。こうした観点からも、大半の企業ではIT投資は最重要課題の1つであるという見解でした。

3)数字に隠された意味を読み解く

業務部門のマネージャーが効果的に情報を活用するためには、「業務指標と財務効果を統合した洞察を導き出し、先を見通すための予測分析を適時適切に提供できるようになる」ことが重要です。多くの財務部門の上級責任者はこのことを十分に理解していますが、現状ではそこまでのパフォーマンスが備わっていないという回答が大半です。

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出典:CFO Research社の調査「今こそ、財務部門の価値を高めて新たな次のステージへ」

このように、調査結果からは多くのグローバル企業がCFO(あるいは財務部門)を全社規模の戦略的なビジネスパートナーへと進化させるという課題認識を持っていることを確認することができます。また、その実現のためには相応の投資が必須であることも多くの企業に共通した認識でした。なお、本アンケート調査の詳細は以下からご覧いただけます。

参考:【CFO Research】 今こそ、財務部門の価値を高めて新たな次のステージへ

グローバル企業の事例にみる意思決定の変革

さて、ここでCFOと財務部門を戦略的なビジネスパートナーへと進化させる取り組みを進めているグローバル企業の事例を簡単にご紹介します。いずれも、財務データと業務データを融合させることで意思決定やアクションの時間短縮に成功している事例です。

事例1:報告の場を意思決定の場へと変革

グローバル製造業A社は、毎週月曜日に世界中の拠点のリーダーとバーチャル会議を開催しています。ここでは製品の売上、粗利、在庫などさまざまな指標に基づいて、現状把握と今後の展開についての議論が行われます。従来は会議で出た問題点に対する分析と対策の回答は後日、あるいは次の会議の場まで持ち越されていました。そこで、インメモリープラットフォームSAP HANAを導入した結果、それらの指標をその場でリアルタイムに分析・比較し、異常値がある場合はその場でドリルダウン(掘り下げ)して具体的な原因分析を行い、可能な対策について話し合うことが可能になりました。つまり、週1回のバーチャル会議が報告の場から次のアクションを決める意思決定の場へと生まれ変わったのです。

事例210分の分析時間をわずか5秒に短縮

グローバルな化学メーカーであるB社は、約25万種以上の製品群を数千の顧客に対して提供しています。多品種であるがゆえに、製造コストや費用対効果を踏まえた顧客需要への対応においては、何より意思決定のスピードが重要でした。そこで同社は、顧客、製品ごとの収益指標の評価分析にインメモリープラットフォームSAP HANAを採用しました。その結果、従来は一製品の評価分析に10分以上かかっていたのを、わずか5秒に短縮することで、タイムリーな判断を実現すると同時に、待ち時間なく使える環境を整えることで計数の利用シーンと利用者を広げることに成功し、飛躍的な生産性の向上と競争力の強化に繋げています。

いま日本企業に求められる意識変革とは?

上述した2つの事例をみても、迅速なデータ処理と意思決定を後押しするテクノロジーに対する期待と効果をお分かりいただけると思います。しかしながら、多くの日本企業の財務部門においては、このようなテクノロジーおよび高度なデータ活用による将来の利益予測やビジネス上の意思決定はあまり行われてきませんでした。それは、「社内のキーパーソン何人かに訊けば、すべてわかる」といった考え方が根強くあるためであり、日本を代表する製造業C社も同様でした。ところが、同社は外資系大手製造業の事業部門を買収したことにより状況が一変しした。それまで同社を支えてきた「以心伝心」による意思決定の速さ、最低限に抑えたコミュニケーションコストを前提にした管理の仕組みは、グローバルダイバーシティの中では阻害要因になる可能性があることを認識せざるを得ませんでした。

C社のようにM&Aなどを手がけ業容拡大を図るようになった企業においては、異文化・多言語を前提に、属人性を極力排除したデジタルな共通言語に基づくコミュニケーションが重要になります。これには、ルール・組織・プロセス・情報システムなど財務インフラ整備が必要となり、最新の情報テクノロジー活用がインフラ整備を加速させることが先進企業の取り組みから見てとれます。グローバル化が避けて通れない日本企業にとってもSAP Simple Financeのようなテクノロジー活用の重要性は加速していくと言えるでしょう。

クラウドを活用した短期間、低コストでのアプローチ

とはいえ、現行のシステムや仕組みの兼ね合いもあり、一度に情報システムを刷新するのは難しいと思われるかもしれません。しかし、自社の状況に応じたアプローチを整理すれば実現の可能性が見えてきます。

既存のERPを更改する予定が迫っている企業であれば、そのタイミングごとにSAP Simple Financeを導入するのも有効なシナリオの1つです。また、部署やグループ企業において更改のタイミングが大きく異ならないのであれば、その期間で導入するのも現実的な方法でしょう。一方、グループ企業が多く地域・事業ごとに個別にバージョンや設定が異なるERPが散在し、一気呵成にグローバルワンシステムにするのが難しい大企業の場合は、中間ステップとして既存のERPの外側にグループ統合の総勘定元帳(GL)を立てて管理していく方法も考えられます。グループに散在する既存の基幹システムはそのままに、財務会計・管理会計の会計伝票明細データをリアルタイムに共通勘定科目に変換した上でグループ統合GLにコピーし、蓄積された明細データを決算早期化のみならずグループ資金管理や運転資金効率化、海外拠点の不正管理などに活用するグローバルファイナンスプラットフォームとして利用するアプローチです。さらに、これをクラウドベースで実施すれば、導入期間や初期コストも最小限で済みます。この状況に応じたアプローチについては、次回以降で掘り下げて解説したいと思います。

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このように日本企業を含む多くのグローバル企業で、財務データと業務データの一体化と迅速な分析、意思決定支援という機能が求められている事実がおわかりいただけたかと思います。SAP Simple Finance はまさにこの取り組みであり、SAPは今後もCFOの役割を支援する観点から皆様のお役に立てる活動を継続してまいります。

参考:【CFO Research】 今こそ、財務部門の価値を高めて新たな次のステージへ

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