もしも渋滞ゼロを実現できたら――数字で見る渋滞ゼロのインパクトおよびSAPの貢献


Tail backs of traffic at toll gate in Californiaこのブログをご覧のほとんどの方も、出勤や帰省、旅行などでイライラした経験があるであろう交通渋滞。この交通渋滞はテレビや新聞などで度々取り上げられ、一生活者の視点からみても、経済全体の視点からみても大きな問題として認識されています。仮に渋滞ゼロを実現できたら、どんなインパクトがあるのでしょうか。

本ブログでは、渋滞に関連するいくつかの数字を取り上げ、渋滞ゼロのインパクトを定量的な視点で捉えます。加えて、渋滞解消というテーマにおいてSAPがどのように貢献しているか、さまざまな取り組み例とともにご紹介します。

渋滞によるインパクトを定量指標から考える 

世の中で渋滞がどの程度発生しており、どの程度時間を浪費しているのか、まずは身近なところの数字を取り上げてみましょう。

大都市では約40%の一般道路でピーク時に渋滞が起こっている。

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Source: 国土交通省道路局 混雑度別延長の割合より作成

混雑時旅行速度とは、朝2時間(7~9時)、夕2時間(17~19時)のそれぞれの時間帯における平均速度を集計し、その遅い方の時間帯の速度を指します。時速20km/hを切ったときを渋滞と定義すると、DID(人口集中地区)において、混雑時旅行速度が20km/hを下回る一般道路は42.7%にも及びます。

移動時間の約40%は、渋滞によって生まれるムダである。

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Source: 国土交通省 交通流対策資料より一部加工

渋滞損失時間とは、渋滞によって遅れた時間を表現する数値で、実際にかかった時間と、過去のデータをもとに定めた標準的にかかる時間(基準所要時間)との差分によって計算されます。平成24年度のプローブデータをもとに算出した一人当たりの基準所要時間は約60時間、渋滞損失時間は約40時間であり、渋滞によって約40%もの時間が余計にかかっていることがわかります。

車通勤をされている読者の皆さんの中には、渋滞にハマった経験をお持ちの方も多いかと思います。仮に会社に到着するまでにかかる時間が100分だとすると、渋滞ゼロを実現することで、同じ経路でも60分で到着できるようになれば、ストレスなく毎朝の通勤時間を過ごすことができるようになるのです。渋滞の比率やそのムダな時間を定量的に捉えると、渋滞が一生活者にどの程度影響を及ぼしているか、そのイメージが湧きやすくなるのではないでしょうか。

次に、この定量値を経済全体の視点から考えることにしましょう。

渋滞による経済損失額は12兆円である。

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Source: 下記資料のデータをもとに作成
国土交通省 業績計画書/達成度報告書
一般社団法人 日本自動車工業会 自動車産業の現状
横浜市 経済局 横浜経済の概況

渋滞損失とは、ある区間を自動車で走行する際に要する基準旅行時間から実際の旅行時間を引いた時間を指します。国土交通省によると、日本全国の渋滞損失を貨幣価値に換算すると年間12兆円にも上ります。これは、日本の自動車の総輸出額とほぼ等しく、GDPで考えると日本全体の約2%、横浜市全体に相当します。

12兆円というと途方もなく大きな数字ですが、自動車の総輸出額や横浜市全体のGDPに置き換えて見ると少し実感が湧くかもしれません。渋滞による損失は一大都市が生み出す総生産額に匹敵するのです。経済全体でみても、渋滞ゼロを実現することによるインパクトは非常に大きいことがよくわかると思います。

さらに、渋滞が及ぼす影響は直接的な経済損失だけではなく、さまざまな内容に波及します。ここでは、「CO2の排出量」および「救急車による生存率」について取り上げます。

自動車から排出されるCO2は、渋滞で50%増加する。

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Source: 国土交通省 資料より独自作成

乗用車の速度と二酸化炭素排出量には大きな相関があります。国土交通省によると、一般道路において、標準的な旅行速度(40km/hと仮定)で走っているときに排出されるCO2は、渋滞時(20km/hと仮定)と比べて、50%弱の差があります。

渋滞で救急車が遅れると、生存率が50%下がる。

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Source: 厚生労働省 資料より独自作成

厚生労働省調査によると、目撃のあった時刻から救急隊員が心肺蘇生を開始した時点までの時間区分ごとに1ヵ月後生存率を比較した際、5~10分が12.6%に対して、10~15分となると8.3%と約52%の差があります。(なお、総務省調査によると、救急車の平均現場到着時間は平成22年時点で8.3分です。)

これらの定量値を読み解くと、渋滞は環境問題や救急医療問題とも大きくつながっていることがわかります。他にも交通事故、物流効率、人間のストレスなどのテーマが挙げられるでしょう。渋滞ゼロを実現することは、社会をより良くするための大きなポテンシャルを持っているといえるのではないでしょうか。

 

渋滞解消におけるSAPの貢献

ここまで渋滞に関連するデータをいくつか取り上げてきました。では、渋滞を解消するためにどのような手段があるのでしょうか。渋滞を単純化して「交通需要が供給を上回った場合に発生する」と考えると、以下のように整理できます。

①    需要量のコントロール
ルートや時間帯、利用する交通機関など自動車利用者の行動を変える

②    交通容量の増加
車線数を増やしたり、交差点を整備するなど道路そのものの交通容量を増やす

③    交通容量を減らす事象の防止
交通事故や故障、ガソリン切れなど渋滞の原因そのものを減らす

④    (同じ交通容量でも)供給量の最大化
自動車の加速・減速ができるだけ起こらないような仕組みをつくる
(たとえば、サグ部「下り勾配から上り勾配にさしかかる凹部」や料金所などで減速が起こった場合に、後続車が連鎖的にブレーキを踏み、渋滞が発生することがわかっています。)

SAPではICTを活用してお客様のビジネスを支援する形で、特に①需要量のコントロールおよび③交通容量を減らす事象の防止を中心に、渋滞解消に貢献しています。以下にいくつかの具体例をご紹介します。

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IoT活用によるスマート・ポート・ロジスティクス
ドイツ最大の貿易港であるハンブルグ港は、IoT(Internet of Things)活用によってスマート・ポート・ロジスティクスを実現しました。トラック、鉄道、海運などさまざまな交通の流れを把握して渋滞解消を図っています。

リアルタイム・ロードサイドアシスタンス
最大手の車両管理会社であるARI社は、質の高いロードサイドアシスタンスを提供できるようになりました。200万の車両における14000以上のデータをリアルタイムにトラッキングすることで、車両のトラブルに迅速に対応できる体制を整え、渋滞の原因となり得る事故や故障などの影響を最小限にとどめています。

タイヤのセンサーから故障を予知
大手タイヤメーカーのピレリ社は、タイヤの異常を監視するCyber Fleet(サイバーフリート)を提供し、異常があれば顧客企業の車両管理者やドライバー自身に伝達する仕組みを実現しました。これによって、ドライバーは将来起こり得る事故や故障を未然に防ぎ、潜在的な渋滞の可能性を減らしています。

故障が少ない新製品開発
大手部品メーカーのMagna社は、新製品開発を支援するPLM基盤を構築しました。グローバルのそれぞれの市場に合わせた高品質な製品を開発し、故障しにくい車を世の中に出荷することに寄与しています。

ドライバーの“今”を踏まえた次世代テレマティクス
自動車大手メーカーのBMW社はSAPと次世代テレマティクスサービスの構築で提携しました。プロフィールや車両の位置に基づいて、駐車場やガソリンスタンドなどの情報をリアルタイムに提供する仕組みを整えました。ドライバーが非効率な運転やガソリン切れをおこすことなく、スムーズに目的地にたどり着くことを支援しています。

都市の統合交通管理システム
中国政府は、バスやタクシー、鉄道など交通機関のサービス改善に向けたプラットフォームの試験的な運用をはじめました。都市部の交通状況をリアルタイムで把握・分析し、渋滞を最小化するための意思決定を支援しています。(出典:中国、都市交通の管理、改革にインメモリDBを活用―2013年12月02日、ZDNet Japan)

本ブログにてご紹介した事例はほんの一部で、SAPでは世界中で多種多様な業界・業種の企業の取り組みを支援しています。渋滞ゼロは一日にしてならず、たくさんの取り組みの先に実現できるものであると考えています。渋滞解消に貢献し、ビジネスをよりよくするための取り組みをSAPとぜひ一緒に考えていきませんか。ご興味をお持ちの方は、SAPジャパンにお問い合わせをいただければ幸いです。

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