産業界で起きているビジネスモデル変革のうねり――第3回:IoTや最新テクノロジーで加速するビジネスモデル変革


こんにちは、SAPジャパンの柳浦です。産業界で起きている従量課金ビジネス、レベニューイノベーションの流れを解説する本連載。最終回のテーマは、ITが産業界にもたらす新たな進化についてです。昨今のキーワードとなっている「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」化のうねりがビジネスにどのようなインパクトを与えるか。IoTの成熟度モデルをご紹介しながら、ITを駆使してビジネスモデルを大きく転換するためのポイントについてお話ししたいと思います。

ネットワークにつながるデバイスは2020年に500億セットという予測も

前回は、プリンターベンダーのLEXMARKやコンプレッサー専業メーカーのケーザー・コンプレッサーが、プリンターやコンプレッサーから発信されるデータを取得し、機器の稼働状況・利用量に対して課金するビジネスで成功を収めている事例をご紹介しました。今回はその成功の裏に隠れているIoTを取り巻く最新テクノロジーの活用にポイントを絞ってお話をしたいと思います。

モノとインターネットがつながる「IoT」がビジネスで注目されるようになった背景には、ICタグ、温度センサー、加速度センサー、車載用GPS、Wi-Fi機器、携帯電話やスマートフォンなど、インターネットにつながるコミュニケーション機器の低価格化があり、価格は数年前の5分の1にまで下がっていると言われています。それによりコミュニケーション機器の量産化が進み、ネットワークにつながるデバイスの数は2020年までに500億セットにまで達するとも考えられています。これらのデバイスがすべてネットワークにつながる時代になると、IoTを前提としたビジネスモデルの変革が今まで以上のスピードで進んでいくことになるでしょう。

IoT3つの成熟度 あなたの企業は今どこにいますか?

それでは次にIoTの成熟度モデルを整理して考えてみましょう。IoTの成熟度は、①つなげる、②予測する・変革する、③新しい価値・ビジネスを生み出す、という3つのステップを経て高まっていくと私は考えています。貴社がどのステップにいるか想像していただくため、それぞれのステップを以下で具体的に見ていきましょう。

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①    つなげる

最初のステップは、機器をインターネットに「つなげて」データを取得することから始まります。これは、先ほど説明したようにコミュニケーション機器の低価格化や量産化、さらにはテクノロジーの進化によって、実現する手段はすでに揃っています。前回ご紹介したLEXMARKの事例でも、従来はフィールドエンジニアが顧客を1件1件訪問して人海戦術でデータを集めていたのが、プリンターがインターネットにつながることですべての機器から直接データを取得することができるようになっています。

②    予測する、変革する

デバイスからインターネット経由でデータを取得し、蓄積されたデータを分析すれば、どのユーザーが、どのデバイスを、どの程度使い、どれだけのパフォーマンスを獲得しているかを予測することが可能になります。また、その結果を活用することで、新たなビジネスモデルを創ることも可能です。LEXMARKやケーザー・コンプレッサーの例でいえば、プリンターやコンプレッサーから得られたデータから、機器の稼働状況・利用量に対して課金する従量課金型のサービスビジネスへと変革を遂げたことがこれに該当します。

③    新しい価値・ビジネスを生み出す

サービスビジネスへ変革を遂げると、顧客の現状の課題や戦略に密接に関わりやすくなることもあり、継続的なコミュニケーションや状況に合わせた積極的な提案によって、顧客との親密な関係維持や競合企業とのコンペにおける勝率向上にもつなげやすくなると思います。

LEXMARKの例でも、IoT成熟度のステップ②(予測する、変革する)で課金型のサービスビジネスに変革を遂げたことが呼び水となり、顧客の印刷環境構築から運用までトータルでサポートするコンサルティングサービス、マネージド・プリント・サービス(MPS)という新しいビジネスにシフトしています。モノ売りが主流であった時代には、プリンターの稼働状況を分析して、「このプリンターはここに設置すれば効率があがる」「印刷のワークフローを改善すればユーザーの利便性は向上する」といったような新しい運用方法まで提案する発想はなかなか生まれにくかったでしょう。IoTによるテクノロジーの活用が進むと、それまでに考えたこともなかった新しいビジネスにつなげることもできるのです。

IoTで顧客に適切な播種方法をアドバイスする農業重機メーカー

このようにIoTの成熟度を高めて、ビジネスを変革した事例はほかにもあります。米の農業重機メーカーでは、同社が取り扱うトラクターにセンサーを取り付け、インターネット経由で稼働情報を収集することで故障が発生する前の段階で、トラクターのパーツ交換時期を予測し顧客に提案するサービスを始めています。さらに、トラクターやオプションパーツの情報からは、現在作付け中の農作物を割り出すことができたり、トラクターの稼働状況からどの農作物を、いつ、どこの農地に作付けされたのかといった作付情報を把握することができます。それゆえ、同社ではトラクター本体から得られる情報とトラクターの位置情報や、その土地の気象情報などとも組み合わせて分析をしながら、顧客に適切な栽培、収穫方法をアドバイスする「農業コンサルティング」という新しいビジネス領域に踏み出し始めたのです。このような事例は、IoTがなければ実現はできなかったビジネス変革といえるのではないでしょうか。

IoTの成熟度アップに貢献するSAPのテクノロジー

これまで見てきたように、産業界では新たなビジネスモデルへの転換が起きており、その背景にはIoTを支えるテクノロジーの飛躍的な進化があります。SAPでは、こうした産業界のビジネス変革をテクノロジーによってサポートしています。

製品の稼働状況や利用量に応じて課金する仕組みを検討する中で、大量データを必要とする場合、ビッグデータに対応できる技術も必要になるでしょう。SAPでは、インメモリー技術を採用した高速データベースであるSAP HANAや、このSAP HANA上で構築されたSAP Business Suite であるSAP S/4HANA(SAP Business Suite 4 SAP HANA)により、ビジネスにおけるイノベーションをご支援することが可能です。SAP S/4HANAについてはこちらをご覧ください。
http://discover.sap.com/japan-S4HANA

IoTがもたらす価値は企業によって異なりますが、SAPはお客様と共にビジネスモデル変革を進め、新たなビジネスを生み出し、新たな未来を築いていきたいと思います。

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