SAPの拡張サプライチェーン(Extended Supply Chain)――第1回: 基本構成について
作成者:原 尚嗣 投稿日:2015年4月7日
皆さん、こんにちは。SAPジャパン ソリューション統括本部の原です。
SAPでは、昨年(2014年)にいわゆるロジスティクス領域に関するソリューションが大幅に再構成され、業務として互いに密接に関連しているR&D、サプライチェーン、ロジスティクス(輸送物流系)、製造、設備管理、環境規制対応、品質管理などといった領域のソリューションを一つにまとめ、「拡張サプライチェーン (Extended Supply Chain)」として統合しました。それに伴ない開発を含めたグローバルの組織変更も行われています。
また、単にソリューション領域を統合しただけでなく、この考え方にあわせた新しい製品・ソリューションや既存製品の機能強化・改修なとが計画されており、すでに提供が開始されているものもあります。
本ブログでは、まずは数回に渡ってこのSAPの新しい取り組みであり、概念でもある「拡張サプライチェーン (Extended Supply Chain)」について、その内容、背景、再構成・統合の意図などを中心に紹介し、その後各領域の詳細とあわせて、新しい製品・機能や今後開発が予定されているものを中心に個々の製品やソリューションについても紹介していきます。
拡張サプライチェーン(Extended Supply Chain)の基本構成
図1は、拡張サプライチェーンのバリューマップと呼ばれるもので、ソリューションの基本的な構成とその価値をまとめたものです。それぞれの項目にはさらに下位の項目があり、最終的には製品やソリューションに紐付いています。SAPのバリューマップとその詳細な内容については、SAP Solution Explorerのこちらのページで確認できます。このページには、拡張サプライチェーン以外のソリューションについても記載されていますので、ぜひ一度ご覧ください。SAPが各領域でどのような点に注力しており、その領域の特徴は何であるかが理解できると思います。
さて、図1では基本的な構成要素として7つの項目にまとめられていますが、これだけでは少し分かりにくいと思いますので、図2にこれまでのソリューション領域をあてはめてみました。完全に1対1で対応しているわけではないので、あくまで主要な観点のみでのマッピングですが、SAPソリューションを広くご存知の方であれば、この図から拡張サプライチェーンがどのような領域をカバーするものかをおおまかにイメージできると思います。
次回以降に各領域の詳細に触れていきますが、ここでは図2に加えて簡単に各領域でどのような提供機能があるか書いておきます。
■ Sustainable Product Innovation – 製品開発/研究開発領域
製品開発/研究開発を対象とした領域で、開発プロジェクト管理、製品ポートフォリオ管理、製品開発データ管理 (BOM管理を中心としたものです)、CAD統合、配合情報管理等が主要な提供機能です。
■ Demand Driven Business Planning – サプライチェーン計画系
サプライチェーンの計画系と呼ばれる領域ですが、主に需要を中心にした機能群で、需給バランス調整、財務情報統合、カスタマーサービス、最適在庫目標管理、トレードプロモーション、需要計画、需要感知、需要予測と多段階補充計画等が主要な提供機能です。
■ Response and Supply Orchestration – サプライチェーン計画系
同じくサプライチェーンの計画系領域ですが、主に供給側を中心とした機能群です。生産計画、レスポンスプランニング、アロケーション管理、補充・配送計画、注文履行、製造ネットワーク計画、詳細日程計画等が主な提供機能です。
■ Automated Agile Manufacturing – 製造実行領域
製造実行管理と呼ばれるMESに代表される領域です。即応型製造、製造ネットワーク、製造実行管理、パフォーマンス管理、品質管理、環境規制対応、製造計画、在庫管理、リーンマニュファクチュアリング等が主な提供機能です。
■ Efficient Logistics and Order Fulfillment – サプライチェーン実行系
一般的な用語としてのロジスティクス(輸送/物流)領域です。倉庫管理、輸送管理、ロジスティクスネットワーク、ドックアポイントメント計画、輸送要求管理、輸送計画と入札、輸送オーダーのフォワーディングと決済、輸送計画と最適化、輸送実行管理とモニタリング、戦略輸送管理等が主な提供機能です。
■ Operational Excellence – 設備管理、環境衛生安全
いくつかのサブ領域がありますが、主には設備管理や実行系の領域です。主な提供機能は、設備管理戦略とパフォーマンス、保全実行管理、保全計画と日程計画、インシデント管理、環境排出管理、環境労働安全、コンプライアンス、リスク管理、予防保全&サービス等です。
■ Real-Time Network Insights – ダッシュボード、モニタリング
主にはモニタリングや分析等の機能及び環境対応機能を提供します。マーケット需要情報管理、サプライチェーン・イベント管理、Auto ID/RFIDとセンサー統合、品質クレーム管理、製品コンプライアンス、化学物質管理、法規制コンテンツ、REACHコンプラインス、安全データシート管理、危険物管理などが主な提供機能です。
今回は、拡張サプライチェーンのバリューマップからどのような領域が統合されているのかを紹介しました。まずは、拡張サプライチェーンもしくはExtended Supply Chainという言葉を認識いただきたいと思っています。次回はなぜ拡張サプライチェーンという取り組みを考えたのか、今後SAPが提供する製品や機能にどのような影響があるのかについて説明します。皆さんもSAPがなぜこのような広範囲に渡る領域を一つの領域としてまとめたのかについてぜひ考えてみてください。
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