SAP S/4HANAとIoTで実現するアナリティクスの世界


Aerial view of downtown Chicago, Illinois, USA機械設備を始めとしたあらゆるモノからデータ収集が可能になったIoT時代。そうしたデータをビジネスアプリケーションと組み合わせて業務に活かすこと(たとえば、マス・カスタマイゼーション予防保全など)が可能になりました。インメモリープラットフォームSAP HANAに最適化されたSAP Business SuiteであるSAP Business Suite 4 SAP HANA(SAP S/4HANA)と、世界中の企業間でモノ・サービスのやり取りが行われるビジネスネットワークがおりなす世界をSAPでは「Perfect Enterprise(パーフェクトエンタープライズ)」と呼んでいます。

この記事では、そのPerfect Enterpriseでシンプル化したITランドスケープやビジネスプロセスの中で活用されるアナリティクスソリューションに注目して、技術者を取り巻く環境変化について、具体的に考えてみたいと思います。

分析モデルの適用領域とスピードを大幅に向上させるSAP Predictive Analytics

過去、IoTやビッグデータと呼ばれる領域でのデータ分析においては、さまざまなステップが必要でした。データを抽出して正規化を行い、クレンジングなどを実施し、さらに目的に応じた分析モデルを開発してデータを投入。その結果を評価して、分析モデルの精度や変数を調整するといった複雑なプロセスです。またこうしたプロセスにおいては、分析に携わる人材もそれぞれの領域のプロフェッショナルであることが求められました。

たとえばコアとなる分析モデルの開発は、データサイエンティストと呼ばれる専門家が多大な工数をかけて実施するため、実際のビジネスユーザーや経営層がその結果を参照する段階では、すでに使用したデータの鮮度が低下してしまうといった弊害も発生しました。さらに、データ抽出に関わる実務や分断されたシステム間でデータを引渡すなどの工程においては、システム担当者の支援が必要となり、時間や作業負荷という意味でも決して効率の良いものではありませんでした。

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このような課題に対応するためにSAPではデータマイニングのリーダー企業であるKXEN社を買収し、自社で開発していた予測分析ソフトウェアSAP Predictive Analysis と統合させてSAP Predictive Analytics(旧SAP InfiniteInsight)を製品化しました。KXEN社の持っていた分析モデルの自動生成機能などを用いることによって、これまで数週間~数カ月かかっていたモデル設計の構築を数時間~数日間にまで短縮。また、これまではデータサイエンティストしか対応できなかった分析モデルの開発を、ビジネスユーザーが自ら実施できるようになったことで、利用の幅を大きく拡げるとともに、業務への適用スピードを格段に向上することが可能となりました。

IoTで故障予測と部品在庫の適正化を実現したジョン・ディア社

トラクターの製造・販売を行うジョン・ディア社の取り組みをご紹介します。従来から部品在庫の最適化という課題に頭を悩まされていた同社では、日々稼働するトラクターのコンディションに関するリアルタイムなデータ分析と、それによるメンテナンス部品の正確な在庫予測を目的にSAPを活用しています。インメモリープラットフォームSAP HANAとSAP ERPを連携することで、トラクターに組み込まれたセンサーからのデータをリアルタイムで収集し、分析までのプロセスを高速化することにより、メンテナンス時期や交換対象部品の事前把握、部品在庫の最適化を実現しました。実際の在庫管理については、SAP ERP側でコントロールできるため、新たな機能を開発する必要は一切ありません。インメモリープラットフォームSAP HANAにより、ビッグデータやIoTといった新たな領域とSAP ERPをつなぐことで、ビジネスプロセスの変革に成功した事例です。

分析からレポーティングのサイクルを1,800倍高速化

ジョン・ディア社の事例でもご理解いただけるように、SAP S/4HANAで実現するビジネスプロセス変革によって期待される効果は劇的です。データフットプリントを1/10に縮小、スループットを7倍に拡大、分析およびレポーティングを1,800倍高速化、プロセスのステップを1/4に短縮するなど、SAP社内のテストですでに定量的な効果が確認されています。

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この圧倒的な数字を生んだ背景には、SAP Business SuiteをインメモリープラットフォームSAP HANAに載せただけではなく、アプリケーションもSAP HANAに最適化させたことによるインパクトがあげられます。たとえば、アプリケーションコードの一部をSAP HANA側に移し高速処理させるようにアプリケーションを最適化(プッシュダウン)することにより、プロセスの大幅な高速化を実現しています。またデータモデルのシンプル化を図ることで、テーブル構成を最小化し、従来あった履歴テーブルなどの更新対象を減らしています。これにより、トランザクションが発生しても更新テーブル数が少ないため、データ処理がさらに高速化されます。さらに、従来のアプリケーション層を通して情報を取り出す方法から、ビューによって必要データをダイレクトに取り出すことをできるようにしたため、トランザクション情報からリアルタイムで情報を引き出すことが可能となりました。データ構造やアーキテクチャーのシンプル化は、業務のデータ活用におけるメリットだけでなく、データ量の大幅な削減などにより保守運用にあたってもその負荷やリスクも軽減することが可能です。さらに新しいユーザーインターフェース(UI)であるSAP Fioriにより、ユーザーインターフェースもロールモデルになりました。従来のUIではいくつかの画面にまたがってプロセスを行うこともありましたが、SAP Fioriではユーザーの役割や業務フローに合わせてUIを提供し、より少ないステップで業務ができるようになっています。データモデルのシンプル化、データの高圧縮、SAP HANAへのアプリケーション最適化、そしてSAP Fiori によるユーザーエクスペリエンスの刷新によって、SAP S/4HANAはこのような劇的な導入効果を実現するのです。

現在先進的な企業では、IoTやビッグデータのような従来活用の難しかったデータから最新の分析技術を使って新しい知見と新しい取り組みを始める企業が出てきています。そして従来の基幹系のシステムと新しいIoTなどの取り組みとを融合させることで新しいビジネスが生まれています。今後、基幹系と新しい取り組みの両方を支えるプラットフォームが、新しいビジネスのために求められていくと考えています。

SAPでは、下記の日程でSAP HANAプラットフォームに特化する形で最新情報や開発・運用方法、さらに導入事例などをご紹介する国内初のテクノロジーイベントを開催します。今回の記事を通じてSAP HANAに興味を持たれましたら、下記をご覧の上、ぜひセッションへの参加をご検討ください。

~ 開発先駆者が拓くITの新時代・SAP HANAの祭典 ~

≪開催概要≫
【日時】2015年5月20日(水) 10:00~19:00 (受付開始 9:30)
【会場】ベルサール神田
【主催】SAPジャパンジャパン株式会社
【参加費】無料・事前登録制
【定員】300名
【詳細・お申し込み】  http://www.sap.com/japan/techjam/

≪プログラム≫
開発者、技術者向けイベントとしてその内容を吟味しており、従来からのSAP技術者のみならず、SAP HANA上でオープンな技術を活用して新たな価値創造を目指す方々にもお応えできるよう、また、SAP S/4HANAの技術情報も盛り込むなど、魅力あるコンテンツ満載となっています。

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