こんにちは、SAPジャパンの野田です。今年は、先日SAPブログで紹介したSAP HANA Cloud Platform(HCP)を担当させていただきます。記事でご紹介したとおり、HCPはアプリケーションの開発・実行を効率化するSAPのPaaSです。HCPは、まず実際に触ってその効果を実感いただける無料のトライアル環境を期間の制限なしでご提供しています。HCPのトライアル環境には利用に際して多少の制約があるものの、その特徴であるインメモリープラットフォームSAP HANAを利用したアプリケーション構築はもちろん、Javaによる開発などもクラウド上で展開することが可能です。
そこで、HCPに多少なりとも興味を持っていただけた方にまずはお試しいただきたいという思いのもと、今回から「触ってみよう!SAPのPaaS」というテーマで、実際の環境を利用する手順を数回にわたてご紹介していきたいと思います。HCPの利用に際しては、Developer/Customer/Partnerの3種類のアカウントタイプがありますが、今回は無料のトライアル環境を利用するDeveloperタイプのアカウントを取り上げます。
利用開始までの大きな3つのステップは以下のとおりです。
- HCPの無料アカウント(Developer)にサインアップする
- トライアルインスタンスを起動する
- 開発ツール(SAP HANA Cloud Platform Tools for Java)を開発用PCにセットアップする
では、さっそく利用開始の手続きを進めてみましょう。
1 HCPの無料アカウント(Developer)にサインアップする。
ステップ1では、SAP Community Network(SCN)にすでにアカウントをお持ちの場合は指定のURLからログインするのみ、アカウントをお持ちでない場合は手順に従ってサインアップいただくことになります。
1.1 既にSAP Community Network(SCN)にアカウントをお持ちの方:
SAP Community Network(SCN)にすでにアカウントをお持ちの場合は、下記のURLにアクセスいただき、SCNのID・パスワードでログインしてください。
https://account.hanatrial.ondemand.com/cockpit
ログインに成功すると、下記のようなSAP HANA Cloud Cockpit画面が表示されます。
1.2 SAP Community Network(SCN)に登録アカウントをお持ちでない方:
下記のURLにアクセスし、サインアップの手続きを開始します。
https://account.hanatrial.ondemand.com/cockpit
「登録する」ボタンをクリックします。
姓名、電子メール、パスワードを登録し、「登録」ボタンをクリックします。
登録が完了すると登録したメールアドレスに通知メールが届きます。
通知メール内のリンクをクリックすると、アカウントが有効化されますので、「続行」ボタンをクリックします。
自動的に下記の画面が表示されますので、「Cockpit」をクリックします。
「Continue」をクリックします。
SAP HANA Cloud Platform Cockpitが開けばアカウント有効化&ログイン成功です。
2 トライアルインスタンスを起動する
SAP HANA Cloud Platform開発エディションでは、SAP HANAを無料で開発/テスト実行できるインスタンスを提供しています。SAP HANA Cloud Platform Cockpitからインスタンスを起動します。「HANA Instances」をクリックします。
「New Trial Instance」をクリックします。
任意の名前(名前は小文字アルファベット)を入力し、「Save」ボタンをクリックします。
Overall Healthに“OK”と表示されれば正しくインスタンスが起動されています。
※トライアルインスタンスに関する注意事項、制限事項などは下記をご参照ください。(英語)
http://hcp.sap.com/developers/TutorialCatalog/nat100_01_native_hana_getting_hana_trial.html
3 開発ツール(SAP HANA Cloud Platform Tools for Java)をセットアップする
次に、開発ツールのセットアップを行います。HCPの開発ツールは以下2種類があります。
① HCP上のWeb開発環境(Web IDE)を利用して開発する。
※この方法はここまでのステップで、アカウント登録とトライアルインスタンスの起動が成功していれば、すでに利用可能です。
② ローカルPCにEclipseベースのツール(HCP Tools for Java)とSDK(Software Development Kits)をインストールし、ローカル開発環境で開発したものをHCP上に展開する。
①と②の違いは以下をご参照ください。
ここでは②の開発ツール(SAP HANA Cloud Platform Tools for Java)のインストールと設定手順をご紹介します。*OSはWindows 7を前提とします。
まずは、Eclipse IDE for Java EE Developerをダウンロードします。ダウンロードはこちらから行います。
ローカルPCの任意のフォルダに、zipファイルをダウンロードし、「eclipse-jee-luna-SR2-win32-x86_64.zip」を解凍します。
3.1 JVMのシステム環境変数を設定します。
まず初めにローカルPCにJVMがインストールされているか?を確認します。コマンドプロンプトを開き、>java- versionを実行してみてください。
JAVAバージョンが表示されればインストール済みです。もしまだインストールされていない場合は、一般のJVMをインストールするかSAP JVMをインストールしてください。
次にJVMシステム環境変数を設定します。Windowsスタートメニュー > コントロールパネル > システムとセキュリティ > システム > システムの詳細設定 > 環境変数 を開きます。
JAVA_HOME=< local-path-to-jdk>を追加
Path = (既に他ディレクトリのエントリがある場合)”;%JAVA_HOME%\bin”を最後に追加
3.2 eclipse.iniファイルを編集する
<eclipse install directory>\eclipse.ini
“-XX:MaxPermSize=256m”を追加します。
3.3 SAP HANA Cloud Platform tools for Javaをインストールします。
(この手順は通常のEclipseプラグインのインストール手順と同じです)
<eclipse install directory>\eclipse.exeをダブルクリックし、「実行」ボタンをクリックします。
※Tips)Eclipseが上手く起動しない場合は、eclipse.iniファイルの先頭行に下記を追加してください。
-vm
< local-path-to-jdk>/javaw.exe
Workspaceディレクトリを指定し「OK」ボタンをクリックします。
メニュー:Help > Install New Software…をクリックします。
Work withフィールドに、https://tools.hana.ondemand.com/lunaを入力します。Name欄にインストール可能なプラグインが表示されますので、
- SAP HANA Cloud Platform Tools
- SAP HANA Tools
- UI Development Toolkit for HTML5
を選択し、「NEXT」ボタンをクリックします。
インストールコンポーネントの詳細が表示されるので、「NEXT」ボタンで先に進みます。
注)「アップデートサイトに接続できない」等ネットワーク接続エラーが出た場合はFAQサイトのFAQ #2をご参照ください。
ライセンス定義の合意を確認する画面が表示されますので、「Accept」を選択し、「Finish」ボタンをクリックします。インストールが開始します。(インストールには15分~20分程度時間がかかります)
インストール中にセキュリティの警告画面が表示されますが、「OK」ボタンをクリックしてインストールを継続します。
インストールが終了するとEclipseの再起動を求められますので、「Yes」ボタンをクリックし、Eclipseを再起動します。
以上でSAP HANA Cloud Platform Tools for Javaのインストールは終了です。
3.4 SAP HANA Cloud Platform SDKをインストールします。
ローカルPC環境での開発に必要なコンポーネントが以下のSDKに含まれます。それぞれのSDKの詳細はこちらをご参照ください。
- Java Web: 標準のJava EE APIのWebコンテナサブセットの実行環境を提供します。
- Java Web Tomcat7: 標準のJava EE APIs(Servlet, EL)のいくつかをサポートする実行環境を提供します。
- Java EE 6 Web Profile : Java EE 6 Web Profile APIの実行環境を提供します。
下記のURLからSDKをダウンロードします。
https://tools.hana.ondemand.com/#cloud
作成するアプリケーションで使用するAPIに応じて、必要なSDKをダウンロードしてください。今回は、Java WebとJava EE6 Web Profileをダウンロードします。SDKのバージョンは随時更新されますので、下記のバージョンと異なるものがWebサイト上に上がっている場合は、任意のバージョンのZIPファイルをダウンロードしてください。
ダウンロードしたZIPファイルを任意のディレクトリに解凍します。
3.5 SDKを実行環境にセットアップします。
今ダウンロードしたSDKが利用できるように、SAP HANA Cloud Platform Tools for Javaを設定します。Eclipse IDEのメインメニューから、Window > Preferencesを開きます。
Server > Runtime Environmentを開き、「Add」ボタンをクリックします。
SAP > Java Webを選択し、「Next」ボタンをクリックします。
“Use java Web SDK from the following location”を選択し、「ブラウズ」ボタンをクリックします。先ほどJava Webを解凍したディレクトリを指定し、「Finish」ボタンをクリックします。
同様に、Java EE 6 Web Profileも設定します。Eclipse IDEのメインメニューから、Window > Preferences
ツリーノード:Server > Runtime Environment > 「Add」ボタンをクリックします。
SAP > Java EE 6 Web Profile > Java EE 6 Web Profileを選択します。
「ブラウザ」ボタンをクリックし、Java EE 6 Web Profileを解凍したディレクトリを指定し「Finish」ボタンをクリックして完了です。
Java Web Tomcat 7もダウンロードした場合は、同様の手順を繰り返して展開したSDKのロケーションを指定してください。その他、ツールのインストールで問題が発生した場合は下記サイトもご参照ください。
http://scn.sap.com/docs/DOC-28325
注意) 3.5の作業は、Eclipse起動時のWorkspaceを変更すると設定がなくなりますのでご注意ください。
次回は、今回設定した開発環境を利用して、簡単なサンプルアプリを開発し、HCP上に展開するチュートリアルを掲載する予定です。ご期待ください!
「今すぐ受講頂けます!HCP無償eLearning提供中!詳細はこちら(pdf)」
ご質問はチャットやWebからも受け付けております。お気軽にお問い合わせください。
●お問い合わせ先
チャットで質問する
Web問い合わせフォーム
電話: 0120-554-881(受付時間:平日 9:00~18:00)