発展途上国の医療から、未来の遺伝子医療、そして実用的アプリまで。SAP HANAとモバイル技術が拓くデジタルヘルスケア時代


2015年5月5日から3日間にかけて米国フロリダ州オーランドにて開催されたSAPPHIRE NOW + ASUG ANNUAL CONFERENCE、最終日に開かれたマイクロフォーラムのひとつが、ヘルスケア(医療機関)でSAP HANAがどのように利用されるかを話し合うものだった。

医療機関は、そのほかのビジネスと同じくデータ分析によって大きく変貌を遂げようとしている分野のひとつだ。データを利用することで、新しい治療方法を見つけたり、個人の病歴や体質に合った治療薬の開発を可能にしたりといったことが期待されている。そのほかにも、医療機関と生命科学産業が共同作業をすることによって、結果を出すことに重心を置いた治療のあり方を模索するといった研究開発も行われている。また、ウェアラブルデバイスやIoTを利用すれば、身体や環境の状態を常時モニターし、健康を保ち、より優れた治療方法を模索することも可能になる。

参考記事:
IoTを牽引するイスラエル発スタートアップ企業――第1回:患者の長期入院を抑止する医療機器メーカーEarlySense
https://www.sapjp.com/blog/archives/10896

発展途上国の過疎地医療問題に取り組む

SAPも医療の分野で、コラボレーションツール、モバイルアプリケーション開発プラットフォーム、モバイルアプリ、予測分析などの技術を投入して、新しい医療のあり方を開拓しているところだ。

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SAPのライフサイエンス事業部のソリューションマネージャー、ペトラ・シュトレング氏は、医療やライフサイエンスの領域でSAPが関わっているいくつかのプロジェクトについて説明した。

メキシコでは、3000万人が貧困に苦しみ、また全人口の40%が過疎地に住んでいる。過疎地では医療へのアクセスが限られているのが実情だ。SAPは、メキシコの社会貢献型企業と協力、そうした過疎地域を通る列車の中にクリニックと医療システムを作り、地域の住民の健康管理に役立てられるようにした。

また、SAPイノベーションセンターは、ガーナでモバイルソリューションを通して、人々が過疎地の予備のために献血ができるしくみを構築している。さらに、人口の3分の2が過疎地に住むインドでは、こうした地域の子供の健康管理を促進する方法を編み出した。それは、270万人の学童児の健康データと照らし合わせて、住民の子供たちの健康状態を診断するしくみで、その数字を見て、地元政府が医療行為が必要かどうかを判断する。

こうしたケースは、いずれもクラウド技術やモバイル技術を利用して、十分な医療施設がない地域でも、それをいくらかでも補うしくみをつくった点が共通している。ビジネスで当たり前となっている技術だが、未知のチャレンジのためにその使い方をゼロから考え直さなければならなかったものだ。

シュトレング氏は、チャレンジは他にもあるという。「医療データ、健康データの扱い方については、各国で規制が異なります。国によっては、データが国境を超えてはならないと定められているところもあり、それぞれのケースで再考が必要になります」。

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その点では、南米諸国の規制が最も緩く、製薬会社がかなりのデータ収集を行っているそうだ。逆にドイツは規制が厳しい。このマイクロフォーラムの参加者にはコロンビアなど南米からの参加者も見られ、そうした話題で意見交換が行われていた。

また、ハッソー・プラットナー教授のキーノートセッションでもプレゼンテーションされた遺伝子データを用いた研究に類するものは、他のゲノム研究所とも行われており、これはSAP HANAがあるからこそ可能になっている、とシュトレング氏は語った。

ハイデルベルグ大学病院と行った実用的なヘルスケアツールの試作もある。これは、妊婦が頻繁に医師の診察を受けなくても、自身のデータを毎日入力することで「妊娠ウツ」を防ぐことができるアプリだ。アプリは、妊婦が毎日質問に答えるその内容を分析し、担当医師に伝える。医師は分析結果をわかりやすいグラフなどで見ながら、妊婦の心理状態を判断する。このケースでも、SAPのモバイルプラットフォーム上に開発したアプリで、SAP HANA Cloud Platform上でリアルタイムにデータを分析することで、心理状態を細やかに判断できるようになっている。

医療のデータ化は、社会的にもインパクトが大きい。日本の地方医師不足問題にも、クラウドやデータ分析、モバイルといったアプローチが何らかの回答となる可能性もあるだろう。これからの成果が楽しみな分野だ。

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