3D エンタープライズを実現する製品群
作成者:高橋 善朗 投稿日:2015年5月20日
これまでに SAP の 3D への取り組みに関していくつかご紹介してきました。以下でおさらいしてみましょう。
「拡がる 3D の業務活用の可能性」では、製品の部品階層をビジュアル化する例とともに 3D を使うメリットについてご紹介しました。
「業務で3Dを活用するイメージのご紹介 ~ SAP 3D Visual Enterprise」では、具体的にどういう業務でどのように使えるのか、SAPの標準アプリケーションに組み込まれている画面などを交えながらご紹介しました。
「SAP 3D Visual Enterprise と SAP Lumira を活用した予測分析による予防保守 ―― SAPPHIRE NOW におけるVarian Medical Systems 社の講演より」では、実際にお使いのお客様の活用場面をご紹介しました。
今回は、これら 3D を業務で実現するためにどのようなソフトウェアが必要で、どのような処理を行えばよいのかについてご紹介します。
3D を活用するまでのステップは、変換 → 編集 → 表示・操作
SAP では 3D を実現するソフトウェアとして、SAP 3D Visual Enterprise をご提供しています。このソフトウェアを使って行う主な処理が「変換」「編集」「表示・操作」です。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
変換
このステップでは、3D CAD ファイルを変換します。
SAP 3D Visual Enterprise は、3D CAD ファイルを変換して使用することで 3D 環境を提供します。すでにある 3D CAD ファイルを活用するため、改めて 3D モデルを作成する必要はありません。
数ギガバイトから数百ギガバイトの大きなサイズの 3D CAD ファイルは、3DVE フォーマット(*1)に変換することで約1/100のサイズに圧縮されます(*2)。
この変換を行うのが、SAP 3D Visual Enterprise Author です。
SAP 3D Visual Enterprise Author は主要な 3D CAD に対応しており、直接 3D CAD ファイルを開いてくことができます。そして、3DVE フォーマットで保存することが可能です。
(*1) 3DVE フォーマットとは、SAP 3D Visual Enterprise 独自の軽量な 3D フォーマットの総称。代表的なフォーマットとして PC 版 Viewer で扱える .rh ファイル、モバイル用に最適化された .vds ファイルがあります。
(*2) ファイルの内容や変換の精度によって圧縮率は変わります。
編集
変換したファイルに、アニメーションをつけたり写真画像を作成するのも SAP 3D Visual Enterprise Author の役割です。
3D にアニメーションをつけることにより、設備の修理マニュアルをビジュアルでわかりやすく示すことができます。また写真品質の画像をデジタルで作成することにより、実物を作ったり CG で一から製品画像を作成することなく、製品カタログ用の写真を加工することができます。
SAP 3D Visual Enterprise Author は、Adobe Photoshop や Illustrator などのクリエイティブ系ソフトウェアに似たインターフェースを持ちます。
表示・操作
編集した画像ファイルを見るのは SAP 3D Visual Enterprise Viewer です。
を、いずれも無償で提供しています。
PC (Windows) のみでなくモバイル環境でも使えるため、たとえば設備修理の現場にてモバイル端末から直接、修理マニュアルを見ることができます。
また現在では HTML5 で表示・操作することも可能になりました。これにより、ウェブブラウザさえあれば、SAP 3D Visual Enterprise Viewer をインストールすることなく3DVEフォーマットの表示・操作が可能になります。
自動処理
3D CAD ファイルが作成・更新された際に 3DVE フォーマットや画像、PDF ファイルを自動的に生成して指定の場所に格納するのが SAP 3D Visual Enterprise Generator です。設計部門で 3D CAD ファイルを作成・更新すると、即座に購買や生産、保守サービスなどの現場で最新の 3DVE フォーマットを活用することが可能になります。
SAP 3D Visual Enterprise ソフトウェア群
以上のソフトウェアを整理すると、次の3つになります。
次回は、業務アプリケーションをご提供しているSAPから3D環境をご提供する意味やメリットについて考察します。
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