経理・財務部門の変革を実現する「瞬間的洞察力」を得るには


本連載では、2015年3月26日、日本CFO協会の主催により開催された「CFO Executive Forum」の内容を紹介しています。第2回は、SAP SE、ファイナンスソリューション、グローバルシニアディレクターのステファン・カールによる「経理財務の変革をサポートするグローバル ファイナンス プラットフォーム~SAP Simple Financeとお客様事例~」と題した講演内容をお伝えします。

経理財務の変革を実現する瞬間的洞察力

IMG_6457カールは本講演で、経理・財務部門における変革の必要性を強く訴えかけました。その支援策として提供するソリューション「SAP Simple Finance」の価値について、自社での導入により得られた具体的な効果や3つのお客様事例、実際の画面を使ったデモンストレーションを交えながら解説しました。

「近年のビジネス環境の加速度的な変化は、企業に多くの課題を突き付けています。グローバルで利益成長を求める傾向が強まる一方、社内では財務コスト削減の要請があります。ビッグデータの活用や先進技術の導入といったテクノロジーのトレンドも無視できない問題といえるでしょう」

カールは講演の冒頭でこのように切り出しました。多くの企業が経営上の課題を抱える環境下で、企業のCFO(最高財務責任者)の役割が増しています。単なる会計報告やデータ管理にとどまらず、ビジネスを軌道に乗せる事業部門の戦略的パートナーとしての貢献が求められているのです。

カールは、「CFOが経営判断における戦略的パートナーとなるためには、経理財務の変革を実現する“瞬間的洞察力”が不可欠です。複数のデータソースを抱え、必要な情報を提供するのに何日もかかるようではいけません。常に単一のデータソースを持つことでリアルタイムの処理を可能にし、迅速な予測・分析を行うことが期待されています」と力を込めます。

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従来の財務システムやアプリケーションはそれぞれ分離したものであり、情報の重複をもたらしていました。組み合わせて使おうとすると、データをつなぎ合わせる作業が発生してしまう状況だったのです。私たちSAPは、財務情報へのアクセスを一元化し、財務オペレーションを可能な限りシンプルにすることで瞬間的洞察力を獲得できると考えました。その理念のもと開発したのが、SAPの次世代会計ソリューションであるSAP Simple Financeです。

「信頼できる単一のデータソースを構築することにより、情報の重複やサイロ化を回避することができます。財務に関わるインサイト(洞察)を即時に得られ、迅速な意思決定につなげることが可能になるでしょう。私が25年間SAPで働いてきて、『SAP Simple Finance』は最も大きな革新であると確信しています」(カール)

日常生活で使うような直感的な操作性

とはいえ、どれほど素晴らしいインフラがあっても、それを使いこなせなければ意味がありません。その点、SAP Simple Financeは操作性が優れていることも大きな特徴です。「シングルスクリーンで簡単に情報を取得でき、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレット端末でも使えます。日常生活で使うような直感的な操作が可能で、特別なトレーニングは必要ありません。5~10分ほど触ってみるだけですぐに使い方を理解してもらえると思います」とカールは説明します。

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セットアップはクラウドでもオンプレミスでも可能であり、導入の柔軟性も魅力といえます。資金や情報など企業が持つさまざまな資源を統合的に管理し、業務の効率化や全体最適を目指す「ERP(Enterprise Resource Planning)」システムを導入している企業は多いと思われます。それらの既存システムへの投資を無駄にすることなく、組み合わせることができる点はSAP Simple Financeの大きな強みです。

「たとえば、M&Aを活発に行う企業が複数のERPシステムを抱えているケースでは、SAP Simple Financeを導入することでそれぞれのシステムからリアルタイムで情報を取得できるようになります。1つのプラットフォームに情報を集約させるメリットは大きく、全社的な財務プランニングはもちろんのこと、不正管理などにも役立てることが可能です」(カール)

次にカールは、SAP自身の取り組みとしてSAP Simple Financeを自社導入した事例について説明しました。SAPでは、1972年の創業からオンプレミス型のソフトウェアを提供してきましたが、近年はクラウドサービスに注力しています。つまり、SAP自身のビジネスモデルも変わってきているわけです。そのなかで、財務・会計部門がどのように進化してきたかを振り返りました。詳細につきましては、以下の記事をご参照ください。

参考記事:
CFOは事業推進の戦略パートナーになれるか?~事例で読み解く財務会計・管理会計の一体化【前編】
https://www.sapjp.com/blog/archives/9929
CFOは事業推進の戦略パートナーになれるか?~事例で読み解く財務会計・管理会計の一体化【後編】
https://www.sapjp.com/blog/archives/9941

 

複数の既存ERPシステムと接続できる

続いてカールは、3社のグローバル企業によるSAP Simple Financeの導入事例を紹介しました。最初のケースはスイスの保険会社、チューリッヒです。グローバルに一元化された連結会計システムの導入を見据え、SAP Simple Financeの実証テストを行いました。

「テストの結果、決算処理時間の65%の高速化をはじめとする素晴らしい効果が明らかになりました。パフォーマンス、シンプルさ、俊敏性の面で非常に喜んでいただいています。今はこれからどのように進めていくか、具体的な導入アプローチを検討しているところです」(カール)

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次に紹介したのは、アメリカの消費財大手メーカーの事例。地域ごと、事業ごとにERPシステムを抱える複雑な環境のお客様でした。課題は、それぞれのシステムのなかに複数のレポートソースがあり、内部取引照合のために多大な労力と時間がかかること。収益の可視性にも問題がありました。これらの問題に対してとったアプローチをカールは以下のように説明しました。

「本ケースでは『SAP Simple Finance』を新たに導入し、既存のシステムとの接続を図るプロジェクトを進めています。期待される効果は、グローバル財務報告の簡素化や多軸ドリルダウンによる完全な試算表の実現、地域子会社におけるコスト削減などさまざまです。グローバルなプラットフォームに情報を集約させることで、処理能力の大幅な強化を実現できるでしょう」(カール)

3つ目の事例は、アジアの住宅設備の大手メーカー。2つ目の消費財大手メーカーと同様、複数のシステムが混在する難しい状況に直面していました。企業買収を積極的に行った結果、本社ERPと地域ERP、買収先企業のERPといった具合にシステムが分かれ、情報の一元化に苦労していたのです。

「複数のデータをリアルタイムで一括収集するため、現在、セントラルファイナンスシステムのセットアップを目指しています。企業レベルで整合されたマスターデータの構築をゴールとして、システムデザインの構築を進めています」(カール)

講演の後半では、実際に稼働しているSAP Simple Financeの画面を立ち上げてデモンストレーションを行いました。グローバルの財務状況や問題点を直感的な操作で把握できること、売掛債権の管理がきわめてシンプルに行えることなどが示されました。可視性と操作性に優れたインターフェースの使い勝手のよさを、来場者の皆様にご確認いただけたのではないかと思います。

「加速度的に変化するビジネスにおいて、財務情報をいかに経営判断に生かせるかが競争優位性を生み出すカギになると考えます。そのためには、リアルタイムの情報に基づく速やかなインサイトが欠かせません。SAP Simple Financeを通じて自社の課題を克服するイメージやヒントをお持ち帰りいただければ嬉しく思います」――最後にカールはこのように語り、講演を締めくくりました。

次回は、最終回として、「日本企業における戦略的パートナーとしてのCFOの役割と課題」と題したパネルディスカッションの内容をお伝えします。

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