SAP Simple Finance 2.0におけるイノベーションーー第1回:財務会計/管理会計機能における4つのイノベーション


昨年の12月にSAPは、インメモリープラットフォームSAP HANAを基盤に大幅に進化した次世代の会計アプリケーション「SAP Simple Finance」をリリースしました。(SAP Simple Financeの概要を解説した記事はこちら。)

SAP Simple Financeは、

  • 財務会計/管理会計機能を担うSAP Accounting powered by SAP HANA
  • グループ資金管理機能であるSAP Cash Management powered by SAP HANA
  • ERPと統合された財務計画機能であるIntegrated Business Planning for Finance

という大きな3つのアプリケーションから構成されています。そして、今年の5月にSAP Simple Finance 2.0がリリースされ、SAP HANAの処理能力をより発揮できるように、さまざまな新機能がこれら3つのアプリケーションに追加されました。

SAP Simple Finance 2.0を構成するこれら3つのアプリケーションでどのようなイノベーションが行われたのか、全3回の連載でご紹介していきたいと思います。今回は第1回として、SAP Simple Finance 2.0においてSAP Accounting powered by SAP HANAにもたらされた以下に挙げる4つのイノベーションをご紹介します。

  1. ユニバーサルジャーナル
  2. マスターデータマッピングを容易にするCentral Finance(セントラルファイナンス)
  3. 固定資産管理のシンプル化
  4. 新しいUIへの拡張

 

会計伝票のデータ構造をシンプル化する「ユニバーサルジャーナル」

SAP Simple Finance 1.0はSAP HANAをプラットフォームとすることで、不要な残高テーブルおよびインデックステーブルが取り除かれ、アプリケーションのシンプル化を実現しました。

最新のSAP Simple Finance 2.0においては、これまで財務会計、管理会計、収益性分析、固定資産、品目元帳などで個別に分かれており複雑になっていた明細テーブル構成を、「ユニバーサルジャーナル」という一つの明細テーブルに統一したのです。

これにより、SAP Simple Finance1.0に比べ大幅にデータ量を削減するとともに、これまで技術的に必要とされていた各業務アプリケーションの照合作業も不要にしました。照合作業が不要になることで期末処理がシンプル化され、ユーザーにとっては、期末処理にかける時間を削減でき、分析など付加価値の高い作業にシフトすることが期待できます。また明細テーブルが一つになることで、ユーザーはシステム側のアプリケーション間の垣根を気にすることなく、よりシンプルに真に単一のリアルタイムデータを、オンデマンドで集計分析できるようになります。

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また、ユニバーサルジャーナルによるデータ構造のシンプル化は、ほかにもさまざまなイノベーションとユーザーメリットをもたらしています。たとえば、売上原価の分析です。これまで売上原価の分析は原価ベースの収益性分析を利用して行うのが一般的でしたが、SAP Simple Finance 2.0では、財務会計と収益性分析の明細テーブルが一つになることにともない、勘定ベースの収益性分析の機能をさらに拡張し、売上原価の内訳を勘定科目別に詳細なデータを持つことができるようになりました。つまり、ユーザーはユニバーサルジャーナルにより、これまでよりも詳細なメッシュの明細データを利用して、原価分析を実行できるのです。

マスターデータマッピングを容易にする「Central Finance(セントラルファイナンス)」 

以前のブログでもご紹介しましたが、SAP Simple Financeの導入アプローチの一つとして、グループ統合大福帳 「 Central Finance 」*1 アプローチがあります。これは、既存のERPをすぐにSAP Simple Financeに変えるのではなく、まずはグループの統合財務基盤となるべき新しい環境をSAP Simple Financeで構築し、そこに既存のERPからグループ企業の財務データをリアルタイムに連携・蓄積し、各種データの集計分析をオンデマンドで行えるようにするアプローチです。Central Financeのアプローチを行うときによく問題となるのが、マスターデータのマッピングです。グループ内の各企業で異なるマスター体系を利用しているために、グループでデータを集約して横串で分析するにはマスターデータの変換が必要になります。このマスターデータ変換のマッピングを行う機能(ビジネスマッピング:図の赤枠部分)がSAP Simple Finance 2.0から追加されました。これまではMaster Data Governance *2で変換したのち、SAP Simple Financeへデータの連携を行う必要がありましたが、SAP Simple Finance 2.0ではSAP Master Data Governanceを使用しなくても、データ連携時にマスターデータのマッピングを行うことができるため、統一されたデータで集計分析することができるようになり、さらには必要があれば元システムへ追跡して原因追究することもできるようになります。もちろん、これまでのようにSAP Master Data Governanceをオプションとして利用することも可能です。

*1 SAP Simple Finance 1.0 では「Central Journal」と呼んでいましたが、SAP Simple Finance2.0から「Central Finance」に名称が変わりました。
*2 Master Data Governanceは、SAP Business Suite に組み込まれたマスターデータ管理の機能です。マスターデータの登録、変更を中央管理し、各システムへ配信します。

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固定資産管理のシンプル化

固定資産管理の領域でも、SAP Simple Finance 2.0において、大きな2つのシンプル化が行われています。

一つ目は先のユニバーサルジャーナルのところでも述べましたが、ユニバーサルジャーナルに固定資産管理の明細テーブルも統合されました。これにより、固定資産の取引データはユニバーサルジャーナル上で一元管理されるようになり、結果として、これまで必要だった総勘定元帳と固定資産管理の照合処理作業が不要になります。また、これまで資産単位ではなかった減価償却の仕訳も資産単位に総勘定元帳に記帳されるため、より細かい粒度でデータを把握できるようになりました。さらに資産マスターの更新時や資産取引の登録時にリアルタイムに償却記帳が実行されるので、定期償却処理を実行しなくても、リアルタイムに資産残高を把握でき、情報の可視化が大幅に向上しています。

また、もう一つの大きなシンプル化は償却領域の設定方法です。これまで、目的別に異なる減価償却計算を行いたいときには、派生償却領域という設定が必要で、そのデータ構造も複雑になりがちでした。それが、SAP Simple Finance 2.0では会計基準別に設けた償却領域を総勘定元帳と紐づけるのみの、シンプルで分かりやすい設定に変更され、処理もSAP HANAで高速化されました。これにより、ユーザーにとっては複数元帳対応も楽に設定でき、期末処理も高速化され、システムの対監査性が向上するというメリットが得られます。

新しいUIの拡張

SAP Simple Financeでは、直観的なユーザエクスペリエンスを目指して、ユーザーの利便性を向上するため、SAP Fioriという新しいUIをリリースしました。SAP Simple Finance 2.0でも、約50ものFiori Applicationをリリースしており順次拡大中です。(SAP Fioriの概要を解説した記事はこちら。)

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SAP Simple Finance2.0でリリースされたSAP Fioriの例:GL仕訳転記、財務諸表

SAP Simple Finance 2.0のSAP Accounting powered by SAP HANAの代表的な機能拡張について、いくつかご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

次回はSAP Simple Financeで生まれ変わった資金管理、SAP Cash Management powered by SAP HANAについてお話したいと思います。

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