SAP BIツールの比較と使い分け方


SAPはBIマーケットに対してさまざまな先進的なツールを提供しています。それは既存システムとのベスト・オフ・ブリードで活用されているSAP BusinessObjects Web Intelligenceであったり、帳票のデファクトスタンダードであるSAP Crystal Reportsであったり、また最近ではエンタープライズ環境との融合で、データ分析を現場のユーザーに解放するデータビジュアル化ツールSAP Lumiraであったりしますが、何だか種類が多くてどのシナリオでどのツールを使うべきか分かりにくく感じられるかもしれません。

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一般的な使い分けを説明する際には、帳票(Reporting)、ダッシュボード(Dashboards & Apps)、分析(Discovery & Analysis)などの利用シナリオで推奨ツールを分類したり、利用ユーザー層で分けたりしています。

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このブログでは少し違った視点で、どのように分析をしたいか?何を出したいか?などによる使い分けを紹介していきます。

  1. SAP Business Warehouseのデータをモダンなユーザーインターフェースで分析したい
  2. SAP HANAで大量データの参照・分析をしたい
  3. 自分の分析スタイルにあったツールを使いたい
  4. 帳票にしたい

1.  SAP Business Warehouseのデータをモダンなユーザーインターフェースで分析したい

SAPのBIツールではSAP Business Warehouseのインフォキューブ、BExクエリーをモダンなユーザーインターフェースで分析することができます。またバージョン4からSAP Business WarehouseネイティブであるBICSインタフェースを採用したことにより、データアクセスのスピードが格段と向上しています。しかしツールによっては階層定義がフラット化されたり、BExクエリーデザイン時に定義した属性(通貨変換など)が取り込めなかったりします。

SAP Business Warehouseとの親和性を求めるのであれば以下のツールが推奨されます:

  • SAP BusinessObjects Analysis edition for Office
  • SAP BusinessObjects Analysis edition for OLAP
  • SAP BusinessObjects Design Studio

SAP BusinessObjects Analysis edition for OfficeはMicrosoft Excel, Microsoft PowerPointのアドインアプリケーションであり、SAP Business Explorer(以降、SAP BEx)アナライザーでの分析に慣れ親しんでいる方にはスムースに移行できるツールとなっています。海外では多くのお客様がSAP BExアナライザーからの移行を行っています。

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SAP BusinessObjects Analysis edition for OLAPの基本機能はSAP BusinessObjects Analysis for Officeと同じですが、こちらはブラウザー経由でアクセスするアプリケーションであり、またデータソースとしてOracle EssbaseやMicrosoft SQL Server Analysis ServicesなどのOLAPデータベースにも対応しています。

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SAP BusinessObjects Design Studioはダッシュボードアプリケーション開発ツールですが、SAP BEx Webアプリケーションデザイナーでの開発に慣れ親しんでいる方がスムースに移行できるアプリケーションとなっています。

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2.  SAP HANAで大量データの参照・分析をしたい

SAPのBIツールはすべてSAP HANAに対応していますが、大量データの参照・分析にはSAP Lumiraをお勧めします。

SAP LumiraでのSAP HANAデータソース取得にはオンラインとオフラインモードが存在します。

オフラインモードでは対象となるSAP HANAデータをすべてクライアント側にダウンロードしますので、大量データでの利用にはあまりお勧めできません。

その反面、オンラインモードは表示に必要なデータをその都度SAP HANAから取得します。たとえばデータ列数が100を超えていても、画面に表示される列数分のデータしか取得しません。画面を横スクロールすると、そこで表示される列数分のデータのみを取得しに行きます。特にチャート表示などでは指定された分析軸データと、その分析軸で集計された計数値データだけしか取得しにいきませんので、結果として大量データでもレスポンスは劣化しません。なお、オンラインモードではオフラインモードで可能な他データソースとの結合ができなかったり、データの加工機能が限定されていますが、これらはロードマップ上改善される予定となっています。

3.  自分の分析スタイルにあったツールを使いたい

ユーザーには各々好みの分析スタイルがあります。または利用シナリオが特定の分析スタイルを要求します。帳票形式で表示されたデータを基に分析を好む方もいれば、階層化されたデータの分析がExcelピボットテーブルのようなクロス表を必要とする場合もあります。さらにデータをさまざまなチャートで可視化し分析を行う方もいます。

帳票形式での分析には対話的なドリルアップ、ドリルダウン、ドリルスルー、分析軸の挿入・削除などが可能なSAP BusinessObjects Web Intelligenceが唯一適しているツールです。

クロス表はSAP BusinessObjects Dashboardsを除くすべてのSAP BIツールで提供されていますが、クロス表分析に以下のツールが最も適しています

  • SAP BusinessObjects Analysis edition for Office(BW, HANAデータソース)
  • SAP BusinessObjects Analysis edition for OLAP(BW, HANA, OLAPデータソース)
  • SAP BusinessObjects Design Studio(BW, HANAデータソース)
  • SAP BusinessObjects Web Intelligence(リレーショナルDBデータソース)

SAPのBIツールはそれぞれ細かなプロパティ設定が可能な豊富なチャート類を提供していますが、SAP LumiraにはJavaScriptのd3.jsライブラリー(オープンソース)を使ったカスタムチャート開発用SDKが含まれています。https://github.com/mbostock/d3/wiki/Galleryで公開されているさまざまな革新的チャートのソースコードをSAP Lumira用に変更したり、SAP Community Networkで公開されている拡張チャートをそのまま利用したり、今まで表現できなかったデータの可視化による新たな発見・洞察をサポートします。

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さらにSAP Lumiraではファセットナビゲーションというウェブサイトでよく使われている検索方法を基に簡単にデータを探索・分析することが可能です。

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4.  帳票にしたい

帳票形式での閲覧・出力が必要な場合は以下のツールが推奨されます

  • SAP Crystal Reports
  • SAP BusinessObjects Web Intelligence

SAP Crystal Reportsは過去にMicrosoft Visual Studioとバンドルされたり、現在もEclipse開発環境用バージョンが存在するなど、アプリケーションへの組み込みを得意とするツールです。帳票を作成する観点から言えばSAP Crystal ReportsはIT向けであり、ページに対してコンテンツのレイアウトを行っていく手法を取り、ピクセル単位の正確なレイアウトを必要とする帳票に向いています。SAP Crystal Reportsでの対話的分析はグループ化されたデータの展開などに限定されますので、基本的には静的な帳票閲覧に向いています。

SAP BusinessObjects Web Intelligenceでの帳票作成は一般ユーザーでもハードルの高くない作業です。SAP Crystal Reportsと違い、SAP BusinessObjects Web Intelligenceでの帳票作成は画面に対してコンテンツのレイアウトを行っていく手法をとります。また「自分の分析スタイルにあったツールを使いたい」で説明したようにSAP BusinessObjects Web Intelligenceで作成した帳票からドリルダウン・ドリルアップなどのさまざまな対話的分析をサポートしています。

以上、いかがでしたでしょうか?一般的な観点と、今回ご紹介した4つの観点で、御社におけるBI活用の判断にお役に立てば幸いです。

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