IoTやビッグデータとの接続性と信頼性を強化したSAP HANAの最新版SPS10


SAP HANAはリリース当初より、半年に一度(年2回)のサイクルで最新機能のアップグレードを行い、SAP HANAのイノベーションを継続しています。新たに、SPS10のリリースを行いましたので、今回のブログでその新機能と拡張された点についてご紹介します。

SPS10では、IoT(Internet of Thing)シナリオで活用可能なリモートデータ双方向同期機能、SPS9でリリースされたダイナミックティアリング、マルチテナント機能のさらなる拡張、従来のSAP HANAのプラットフォーム機能の強化、インメモリープラットフォームとしての堅牢性や耐障害性のさらなる強化を通じて、次世代のアプリケーション開発プラットフォームとして業界をリードし続けます。

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IoT(Internet of Things)シナリオで利用可能なリモートデータ同期機能

SAP HANAの新しいリモートデータ同期機能により、1,200万超のライセンス実績を有するエンタープライズ対応埋め込み型データベースSAP SQL Anywhereと連携することで、遠隔地とSAP HANAのあいだでデータの双方向同期を実行できます。SAP HANAに、新たにSync Server(rdsyncserver)が追加され、SAP SQL Anywhereと双方向でデータのやりとりを行います。Sync Serverは、SAP HANA StudioおよびWebベースのSAP HANA Cockpitからも一元的な管理が可能です。

この機能を活用することで、たとえば、小売店やレストランなどのPOS端末から、SAP HANAへのデータ取り込みやアクセスを暗号化して安全に行えます。さらに、IoTデータを活用した予防保全シナリオでも、船舶、ポンプ場、鉱山のような遠隔地ではネットワークが不安定な場合があり、こうした場合には、一時的にSAP SQL Anywhere内にデータを蓄え、オンラインになったときにSAP HANAとデータを同期することも可能です。

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【参考記事】
SAPで少しずつ頭角を現しだしたSAP SQL Anywhere
https://www.sapjp.com/blog/SQL_Anywhere_2015_1

データストリーミング機能の拡張

SPS9で追加されたスマートデータストリーミング機能に、さらに大量のデータボリュームを処理できるように、http/REST およびWebSocketに対応するWebサーバーを追加しました。また、IoTデバイスからのアクセス用に、Streaming Liteと呼ばれる軽量ストリームプロセッサーを提供し、端末側で処理を行ってビジネスルールベースのアラートをSAP HANA側に送信することが可能です。デバイスもしくはIoTゲートウェイにインストール可能で、Intel ARMとRaspberry Piをサポートしています。

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高可用性とスケーラビリティを強化

SAP HANAは、高可用性と耐障害性の新しい機能によって、データセンターの正常稼動を確保し、ノンストップのミッションクリティカルアプリケーションへの対応を強化しました。特に、長く待ち望まれていた差分及び増分バックアップがサポートされ、バックアップにかかる時間短縮が可能になります。また、データベース管理者がどこからでもSAP HANAの運用管理を行えるよう、Webベースの管理ツールであるSAP HANA Cockpitの機能を拡張しています。

主要な高可能性機能の拡張点

  • 1対nサイトの非同期リプリケーション
  • ダイナミックティアリングのExtended Storage(以下ES)ノードの自動ホスト・フェイルオーバー、システムリプリケーションのサポート
  • 差分及び増分バックアップ
  • SAP HANA Cockpitのシステムリプリケーション管理用タイルのサポート
  • SAP HANA Cockpitのバックアップ管理用タイルのサポート

ダイナミックティアリング

SAP HANAはインメモリーデータベースですが、アーカイブデータなどのように、コストの観点から、保存場所としてディスクが適している場合もあります。SPS9より提供されているダイナミックティアリング機能により、ディスクに最適化されたパーシスタンスへの保存が可能です。SPS10では、前述の高可用性機能の拡張に加えて、以下の機能が拡張されました。

  • サードパーティー向けバックアップソフトウェア用BACKINT APIのダイナミックティアリング対応
  • 非本番環境へのESノードの同一筐体インストール
  • SAP HANA Cockpitのダイナミックティアリング管理用タイルのサポート

データセンターサポート

Intelの最新CPU、Intel E7 v3に対応し、SAP HANAのNUMA(Non-Uniform Memory Access)対応アーキテクチャーを活用して、メモリー12TB超の大規模システムをサポートすることで、巨大なデータセットを高速処理し、全体のビジネスパフォーマンスを改善できます。

インテルTSX機能を商用データベースとして初めて採用し、マルチコア・並列化処理時に、全世代のCPUと比較して大幅にパフォーマンスを向上させています。SUSE Linux Enterprise Server 12も、新たに認定対象のラインナップに加わります。仮想化では、vSphere 5.5に対応しています(最新バージョンvSphere 6今後対応予定)が、新たに、制限出荷ではあるものの、スケールアウト構成を認定しています。

マルチテナントデータベースコンテナ(MDC)

SAP HANAデータベースは、MDC機能によって、リソースを完全に分離することができるため、ERP、CRM、BWなどの統合が可能です。SPS10では、以下の機能が拡張されました。

  • OSレベルのテナントアイソレーション(テナント別にOSユーザーを設定)
  • テナントデータベースに対してダイナミックティアリング機能のサポート
  • サードパーティー向けバックアップソフトウェア用BACKINT APIのMDC対応
  • SAP HANA CockpitのMDC管理用タイルのサポート

ワークロード管理

ワークロード管理に、ワークロードクラスという概念を導入しました。SAP HANAはOLTPとOLAPの混在ワークロードはもちろん、OLTP、OLAP単体のワークロードの利用が想定されます。アプリケーションコンテキスト別のワークロードクラスを設定することで、ワークロード混在時のパフォーマンスを向上させ、リソースの最適化をより効果的に行えます。

スケールアウト構成時の負荷分散

スケールアウト構成において、OLAPアクセスの負荷分散のために、レプリカテーブルが利用可能です。マスターデータなどの高頻度で結合の対象となるテーブルや、頻繁にアクセスされるトランザクションテーブルを、スケールアウトノード内の各ノードに配置することで、負荷分散が可能です。

ビッグデータのデータアクセスと管理を合理化

SAP HANAの拡張されたスマートデータインテグレーション機能により、ClouderaやHortonworksの最新のHadoopディストリビューションを導入して、ビックデータを継続的に利用できます。SAP HANAの追加拡張機能として、Spark SQLによる高速データ転送、SAP HANA及びHadoopのクラスター管理を、Apache Ambariを利用することで単一ユーザーインターフェース(UI)で行うことができます。さらにIT部門は、新しいルールベースのデータ移動機能を利用して、ビジネス要件に基づいて複数のストレージ層間でデータを移動できます。たとえば、1年間分のデータをメモリーに保存するルールを設定し、古くなったデータをディスクストレージまたはHadoopに移動するルールを設定できます(ルールベースの移動自動化機能はSPS10の初期リリースには含まれておらず、SPS10のタイムフレームで機能が追加される予定です)。加えてお客様は、使いやすいWebベースの開発ワークベンチでデータのクレンジングと名寄せを実行可能な、SAP HANAの新しいスマートデータクオリティ機能によって、収集しているデータの信頼性を高めることができます。

次世代アプリケーション開発のための高度なプラットフォーム機能強化

SAP HANA SPS10の拡張されたデータ処理機能を利用すれば、高度な分析機能を備えた強力なアプリケーションの開発を加速できます。また、SAP HANAのテキストマイニングがSQL構文にまで拡張され、次世代アプリケーションを開発しやすくなりました。

SAP HANAの新しい地理空間機能には、SAP HANAモデルやSQLScriptへの対応、Luciadとの連携により多次元オブジェクトおよび空間記述のサポートが含まれているため、ビジネスアプリケーションに魅力的な視覚化機能を組み込むことができます。SAP HANA Studioにおける地理空間データのプレビュー機能も追加されました。

予測解析ライブラリPAL(Predictive Analysis Library)では新たに、コンフュージョンマトリックスやSARIMAをはじめとする7つのアルゴリズムに対応し、65を超える分析手法やデータ加工関数を利用可能です。また、データフローベースでGUIを使ってモデル開発が可能なApplication Function Modelerが、新たにWeb インターフェースに対応しました。(SPS10の初期リリースでは、Rおよびデータ変換関数に対応します。PALには対応しておりません)

HANA StudioおよびWebベースの開発ツール

HANA Studioのモデリング機能では、代表的な追加機能として、時間依存階層、グラフィック計算ビューでのマルチテナントデータソース対応をサポートしています。Web IDEでは、新たに自動セーブ機能が追加されたほか、ソースコードのGitHubへの同期機能、グラフィックビューでのモデルへのコメント機能などが追加されているなど、開発者の生産性を向上させる機能が追加されています。

以上、SPS10の新機能をご紹介させていただきました。SPS10は、データベースの信頼性や可用性を高める拡張のほか、IoTシナリオへの対応など、アプリケーション開発に利用できる数多くの機能拡張のあるリリースとなりました。

参考資料:
[図解]インメモリーコンピューティングSAP HANAのテクノロジー解説 SAP HANA SPS10
https://www.sap.com/japan/cmp/dg/crm-jp15-3di-sapplit1t1/index.html

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