企業のためのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)、その全体像とは

作成者:SAP編集部 投稿日:2015年7月15日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

企業がIoTから収益を上げるためには、ハードウェアレイヤー(センサー、計器、電子装置などのデバイス)を企業のコアビジネスに結びつけるエンドツーエンドのソリューションが不可欠です。コネクテッド冷蔵庫を覚えていますか? かつてはIoTの夜明けを象徴したシンボル的な存在です。冷蔵庫から洗濯機、鍵、スプリンクラーにいたるまで、すべての消費者向けデバイスがスマート化し、インターネットに接続されている、まさに未知の世界の話でした。皮肉なことに、現在はこれらのコネクテッドデバイスの多くが入手可能ですが、消費者向けのIoTは比較的小さな市場にとどまっています。ウェアラブルでスマートなサーモスタットといったいくつかの人気商品を除いて、まだIoTの本格的な時代は到来していないと言えるでしょう。

企業におけるIoTは進行しつつも、ピークを迎えるのはまだこれからです。ガートナーは2020年にはコネクテッドデバイスの数が500億に達すると予測しており、その収益のほとんどは企業におけるIoTによってもたらされると考えられています。

では、どのようにすれば企業はエンタープライズIoTを迅速に展開し、ここから収益を上げることができるのでしょうか?

SAPソリューションおよびSAPと連携するIoTのシナリオを稼動させるためには、ハイパースケールへの対応と標準化が求められることを想定し、SAPは定評のあるCloud FoundryやOpenStackなどのIaaSの技術コンポーネントを戦略的に採用してきました。これらハイパースケールの技術基盤はSAP HANA Cloud Platform環境に緊密に統合され、将来における企業のIoTのニーズに応えられる拡張性の高い基盤となっています。

また、お客様にとってIoTの重要性が今後ますます高まることを見越し、SAPはすでにSAP Connected Assets、SAP Connected Logistics、SAP Connected Manufacturingをはじめとした多くのエンタープライズIoTのアプリケーションを展開しています。さらに、IoTサービスを予測分析、テレマティクス、ジオロケーション、その他にまで拡大しています。

しかし、これはSAPが推進するエンタープライズIoTのごく一部でしかありません。IoTの本当の価値は変化の触媒となることで、ビジネスモデルの根本的な変化やプロセス内で想像を超えるような新しいビジネスチャンスを生み出していきます。

これを実現するために、ビジネスにはIoT(モノのインターネット)の「モノ」たるハードウェアレイヤーをコアに繋ぐ、真のエンドツーエンドのIoTソリューションが不可欠です。こうしたソリューションには、ハードウェアレイヤーからアプリケーション、アナリティクスにいたるまで、5つの柱となる重要なコンポーネントが必要とされます。

IoT+end+to+end+slide

SAPは既存のIoTサービスとソリューションの上に、企業と企業を繋ぎ、変革を後押しし、それらの企業がどうビジネスを行うのか考えさせるエンドツーエンドのIoTソリューションのポートフォリオを作り上げています。このポートフォリオには、5つの柱のうち4つが含まれています。それは統合と接続、データおよびアプリケーションサービス、産業シナリオです。5つ目の柱は産業のハードウェアデバイス(たとえば、機械センサー)で、SAPのIoTソリューションと緊密に統合されています。

SAPは、このソリューションのポートフォリオに必要なコンポーネントを提供できる数少ない企業の1つです。特にデータおよびアプリケーションプラットフォーム、接続レイヤーなどのインフラを提供する能力を強みとしているため、顧客企業は数百万のコネクテッドデバイスのネットワークに安全にアクセスすることができます。

私たちは文字通り、あらゆるデバイスをあらゆるお客様のビジネスプロセスに繋げることができ、あらゆるデバイスをSAPのグループ企業であるアリバの世界最大のビジネスネットワークに接続することができます。この強みによって、私たちのお客様はコアビジネスをネットワークの隅々まで繋げることができ、既存のビジネスプロセスの変革による運用効率の向上、ビジネスの再考のほか、新しい収益モデル、商品、サービスの創造が可能になります。

これらすべてを支援できる企業は他には存在しないため、私たちのお客様が持ちうる可能性は簡単には計り知ることができません。コスト効率が良く、短期間で開発されるSAPのIoTアプリケーションの手厚いサポート、あらゆるデバイスに対応したプライベートクラウドの展開などにより、お客様はIoTビジネスの価値をより素早く享受することができます。この他にもできることはたくさんあります。これまで単にデータが「見える化」するだけだったのが、計測、監視、分析、予測、指示、そして最終的な意思決定までをも後押しすることができます。

IoTのブレイクスルーにおける収益の獲得は、SAP単独ではすべてを支援することができません。そのため、私たちは最高品質のソフトウェア、ハードウェア、システム統合機能を提供するトップ企業とパートナーシップを結んでいます。SAPのIoTエコシステムのパートナーには、Jasper、Accenture、T-Systems、Volkswagen、Shellといったトップ企業が含まれています。さらに多くのお客様のためのエンドツーエンドのエンタープライズIoTを実現するため、私たちはシーメンスやインテルとも提携しています。

シーメンスと共に目標としているのは、法人のお客様のためのIoTのシンプル化であり、これはSAP HANA Cloud Platformの共同開発によって成し遂げられるものです。Siemens Cloud for Industry powered by SAP HANAは、世界中の法人のお客様にご利用いただけます。

インテルのソリューションは、業界をリードするプラットフォームによってシームレスな管理、接続、そしデバイスのセキュアな管理を可能にします。インテルとの提携は、エンタープライズIoTのシンプル化、保護、拡張において、主に小売、石油とガス、輸送、製造、公共事業などを対象にスタートしたものです。

私たちは強力なパートナーエコシステム、新たなプラットフォームとアプリケーションの立ち上げ、またお客様と共に積み上げた成功事例によって、IoT市場におけるリーダーとしてのポジションを確固たるものとしました。IoTの取り組みがもたらす全体的な成果は、その大きな相乗効果から、個々の取り組みの成果の足し算だけにはとどまらないのです。IoTをエンドツーエンドでリンクさせた結果がもたらすものは、最適化されたビジネスプロセスや画期的なビジネスネットワークと連携した最先端のインテリジェンスです。

これは本当の革命です。SAPのIoT戦略について詳しく知りたい方は、SAPPHIRE NOWで受けたビデオインタビューをぜひご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=J4K95OAFVbw

出典:Internet of Things (IoT) for the Enterprise – the big picture 投稿者 Irfan Khan

ご質問はチャットWebからも受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

●お問い合わせ先
チャットで質問する
Web問い合わせフォーム
電話: 0120-554-881(受付時間:平日 9:00~18:00)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

連記事

  • 米国通信大手ベライゾンのデジタルトランスフォーメーションの推進力とは

    ベライゾン・コミュニケーションズ(以下、Verizon)は、世界100カ国以上で事業を行い、売上Verizon_Communications_Logo_20151300億ドル、利益155億ドル(金額にしてNTTグループの約2倍)をたたき出し、Forbes Global 2000でも20位(Apple, Google, Microsoft などに続くグループ)に指名される超優良企業です。米国のIT企業といえば、すでに事業のデジタル化を済ませ、強いガバナンスで協力に事業を牽引し、昨今言われるデジタルトランスフォーメーションなど無用と思われるかもしれません。しかし、この大企業がさらなる成長を目指して大きな変革を開始しました。その取り組みについてご紹介します。

    続きを見る

  • エンジニアリングとデジタル ふたつのノウハウを持つ強みで新たな価値を生み出すコスタイン(英)

    以前に紹介したエンジニアリング企業のビジネストランスフォーメーションは、工場やプラント建設というエンジアリング事業にITソリューションを組合せることで新たな価値を提供していたのに対し、今回コスタインは、ITソリューションの提供のみで事業を成立させているケースだった。この事業を支えるていたのは、培ってきた業界知見やエンジニアリングのノウハウに加えて、日々進化するデジタル技術の双方を理解する人材の存在だった。

    続きを見る

  • プロトタイプを作り使ってみて体感することがデザイン思考では重要だ

    IoTのプロトタイプを作る際に利用できるのがlittleBitsだ。センサーを使って、得られたデータをWi-Fi経由でSAP HANA Cloud Platformに渡すことが簡単にできる。

    続きを見る

SAPからのご案内

SAPジャパンブログ通信

ブログ記事の最新情報をメール配信しています。

以下のフォームより情報を入力し登録すると、メール配信が開始されます。

登録はこちら