SAP HANAプラットフォーム開発者のための入門ハンズオン
作成者:花木 敏久 投稿日:2015年8月17日
こんにちは。SAPジャパンの花木です。最近あちこちでSAP HANA関連のハンズオンデモやワークショップが行われています。今年の5月20日に開催されたSAP Tech JAMでは、SAP HANAやSAP HANA Cloud Platform(SAP HCP)の使い方をハンズオンでご説明しました。また、7月18日は休日にもかかわらず、なんと沖縄で,SAP HANA Innovation Day OKINAWA Vol.1と銘打ちSAP HANA Cloud platformを使用しまして、SAP Fiori、WebIDE、SAP HANAなどのワークショップを開催しました。パートナー向けや小規模なものも含めるとほかにもいろいろ行っています。
どのセッションにもたいへん多くの皆様にご来場いただき、SAP HANA及びSAP HCPに対する関心の高さをあらためて感じることができました。誠にありがとうございました。
この記事では、当日参加いただけなかった方や、もう一度ハンズオンを行いたいという方に向けて、SAP HCPの登録からSAP HANAのハンズオンまで、解説ビデオと合わせて分かりやすくお伝えしたいと思います。ご説明する一連ステップは、1〜2時間程度で実施することができると思います。
それでは、まず開発用ライセンスの取得手順から見ていくことにしましょう。
SAP HCP開発用ライセンスの取得
ここではSAP HCP開発用ライセンスを取得しますが、その前提としてユーザーの皆様にはSAPのコミュニティに参加していただく必要があります。まずSCN(SAP Community Network)アカウントを取得ください。
ビデオ:本編のビデオコンテンツはこちらからご覧いただけます
SCNアカウントの取得
http://scn.sap.com にアクセスして、画面のガイドに従って必要情報を入力します(入力項目など詳細についてはビデオをご覧ください)。必要情報の入力が完了するとメールで通知が届き、その後、アカウントをアクティベーションすることでSCNアカウントの取得が完了します。
SAP HCPライセンスの取得
SCNアカウントが取得できたら、いよいよ本題であるSAP HCP開発用ライセンスの取得手続きに進みます。http://developers.sap.com にアクセスして、ビデオの字幕で示される通り「SAP HANA Developer Editionの[Start Here]リンク」をクリックします。
SAP HANA Developer Editionは、SAP HCPが提供するサービスの1つで、機能は限定されますが、誰でも無料で利用できます。ビデオの内容に従って、一連の入力や確認が終わると、以下のようなWelcomeページが表示されます。
こちらのPから始まる11文字(こちらの例では“P1940843450”)が、以降の作業で使用するIDとなります。[Continue] をクリックして開発者コックピット(SAP HANA Cloud Platform Cockpit : https://account.hanatrial.ondemand.com) を表示します。
SAP HANAトライアルインスタンスの作成
次に、開発者コックピットにログインして、SAP HANAトライアルインスタンスを作成するまでの手順をご紹介しますが、最初に全体構成について、少しだけ触れておくことにします。
ここに図示したように、オンプレミス環境でのSAP HANA、SAP HANA Studioに該当するのが、それぞれクラウド環境のSAP HCP、SAP HANA Cloud Platform Cockpitになります。今回はクラウド上のサービスであるDeveloper Editionを使用しています。皆様のPCにEclipseをダウンロードし、Cockpitに接続します。接続方法は2種類(ToolsとSDK)あります。それでは、実際の操作についてビデオで見ていくことにしましょう。
ビデオ:
https://account.hanatrial.ondemand.com にアクセスし、[Cockpit] ボタンをクリックしてログインして開発者コックピットを開きます。その後は、ビデオでご紹介している手順でインスタンスを作成してください。
Eclipse IDEの設定
ここでは、Eclipseのダウンロード及びインストール、SAP HCP Toolsのインストール、SAP HCP SDKのダウンロード、そしてローカルランタイム環境の設定について説明します。
ビデオ:
Eclipseのダウンロード~ローカルランタイム環境の設定
最新のEclipse(LunaまたはKepler)をローカル環境に搭載していない場合は、最初にEclipseのホームページ http://www.eclipse.org のダウンロードページで“Eclipse IDE for Java EE Developers” を選択の上、ダウンロードし、ローカル環境で展開してください。
次にビデオの内容に従って、必要となるプラグインをインストールします。
インストールページのAvailable Softwareダイアログで、上記のようにURLを入力します。https://tools.hana.ondemand.com/kepler
※これはKepler使用の例で、Lunaの場合には最後が….com/lunaとなります。
上記を記述後、[Add…]ボタンをクリックするとプラグインが一覧表示されるので、SAP HANA Cloud Platform Toolsを選択し、以降のインストラクションに従ってインストールを行います。
また、必要に応じてSDKをダウンロードし、設定します。https://tools.hana.ondemand.com/#cloud にアクセスしてビデオのインストラクションに従ってください。
※SDKはクラウド環境のみを使用する場合には必要ないのですが、たとえば、自分のPC内で動きなどを確認してから、クラウドに移行しようとする場合、PC上に動作環境を作るために使用します。
プロキシの設定:接続が上手くいかない場合
トラブルが発生した場合には、SAP HANA Cloud Documentationの記載内容で問題と解決方法を調べることができます。トラブルとして比較的多いケースが、プロキシの設定によって社内からクラウド環境に接続できないというものです。
クラウド環境に接続できるプロキシの設定については、基本的に利用される方にお願いしていますが、決して難しいものではありません。ここでは、サンプルとしてプロキシ設定例のスクリーンショットを掲載しますので、これを参考にしつつ、自社の環境に合わせて設定を行ってください。
ToolsとSDKの更新
SAP HCP ToolsとSAP HCP SDKは更新されることがあるため、時々最新の状態にする必要があります。ここではその方法について説明します。
※今後、更新が発生する状況になったら、下記のビデオを参照の上、ToolsやSDKの更新を行ってください。今回は解説を省かせていただきます。
ビデオ:
SAP HANA Studio(Eclipse)をSAP HANAインスタンスのスキーマに接続
SAP HANA Studio(Eclipse)をSAP HANAインスタンスのスキーマに接続する方法や、接続に説明文を付ける方法などについて説明します。
ビデオ:
ご注意事項
最初にhttps://account.hanatrial.ondemand.com へアクセスし、[Cockpit] をクリックしてログインし、開発者コックピットを開きます。(ビデオの46秒前後に表示される字幕では“HANA http://trial.ondemand.com” と記載されていますがこれは誤りです。たいへん失礼しました)。
また、本ビデオの中でSAP HANA Studio及びEclipseという用語が混在して使用されていますが、オンプレミス環境で使用されるSAP HANA Studioは、SAPがEclipseに対してToolsをインストールしたもので、外見的にはEclipseとしての表示でも問題ありません。一方、クラウド上ではEclipseという表現になりますので、この点もご留意いただければと思います。
SAP HANAインスタンスのスキーマに接続
ビデオのガイダンスに従ってSAP HANAインスタンスのスキーマに接続します。接続に先立ち「Add SAP HANA Cloud Platform System」というポップアップメニューが表示されますので、次の内容を記入して[Next]ボタンをクリックします。
項目名 | 設定内容 |
Landscape host | hanatrial.ondemand.com |
Account name | pxxxxxxxxxxtrial<HCPライセンスの取得で確定したID+”trial”> |
User name | pxxxxxxxxxx<HCPライセンスの取得で確定したID> |
Password | 開発者コックピットにログインする際のパスワードを指定します。保存(Save password)を推奨しています。 |
以降、ビデオのガイダンスに従うことで、SAP HANAインスタンスのスキーマに接続することができます。なお、スキーマには、以下に示す2つがあります。
- DEV_xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
- NEO_xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
DEVは、自分専用(自分のみしか見ることができない)のスキーマで、NEOは、外部から使用することのできるスキーマになります。
これで、アカウント登録、HCPのインスタンスの立ち上げから、利用にいたるまでの一連の手順をご説明しました。それほど難しくなかったのではないでしょうか?
最後に、ここまでの手順で立ち上げたSAP HCPの環境を使ったSAP HANAのインフォメーションビュー作成のハンズオンを紹介します。恥ずかしながら私が日本語で説明を入れていますのでブログ上での説明は簡単にしておきます。今まで何度も実施したシナリオですのでご理解いただけると思います。(滑舌の悪さはご容赦ください;-P)
以下のリンクをクリックしてご覧いただければと思います。
1.Import機能を使用してテーブルにデータを登録する
Eclipse(オンプレミス環境ではSAP HANA Studio)のimport機能を使用してテーブルにCSVデータを登録する手順です。SAP HCPのトライアルユーザーでは、CSVファイルをHANAインスタンスのローカルファイルシステムに持って行くことができません。ですので、importコマンドではなくこの方法を使っています。
2.Attribute Viewを作成する
多次元分析の分析軸となるマスタービューをAttribute viewで作成します。ビデオでは商品マスター系の3テーブルから1つの商品マスタービューを作る過程を説明しています。他のマスタービューに関しては1ビュー、1テーブルですので割愛しています。
3.Analytic Viewを作成する
最後に、Analytic viewでファクトテーブルとマスタービューをジョインし多次元キューブ型のビューを作成します。
残念ながら、SAP HCPのSAP HANAはトライアルライセンスで使用する限りフル機能が使用できません。管理者権限が与えられないのもその1つで、代替手段としてのプロシージャが用意されています。このため、普段行うデモと若干手順が異なっています。また、操作によっては数分ほど待ちが発生するところもあるのですが、ビデオでは編集してあります。(あしからず。)
ぜひ、皆様の環境でまずSAP HCPをお試しいただき、SAP HANAにおける開発をご検討いただければと思います。
【参考資料】
「触ってみよう!SAPのPaaS――第1回:ディベロッパー向けアカウントのセットアップ手順」
https://www.sapjp.com/blog/archives/11485
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