「やってみなはれ」のチャレンジ精神と自ら学ぶ風土の醸成が、サントリー食品インターナショナルのグローバルリーダーを育てる

作成者:鎌田智之 投稿日:2015年8月18日

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こんにちは、SAPジャパンの鎌田です。2015年6月16日、「SAP HR Connect Tokyo グローバルマネジメントフォーラム 2015世界で活躍するリーダーを創る」が六本木アカデミーヒルズ49にて開催されました。真のグローバルリーダーを育成するためのヒントが数多く示された本フォーラムの模様を数回にわたって紹介します。今回は、サントリー食品インターナショナル株式会社の人事部部長である宮脇潤治氏による講演、「サントリー食品におけるグローバル人材の育成について」をレポートします。

伝統的企業のグローバル化推進にあたり

_MG_8818サントリーグループは1899年に創業した後、第2の創業、第3の創業と、順調に成長を続けてきました。2009年には第4の創業としてサントリーホールディングスを設立。グループの中核企業である同社は2020年の売上高2兆円を目標に、グローバル企業として新たなスタートを切りました。急速にグローバル化を進めるサントリー食品インターナショナル(以下SBFという)の人事活動の柱は、大きく3つあると宮脇氏は説明しました。

「1つ目は海外人材のタレントマネジメント、2つ目はM&Aによってサントリーグループの仲間に加わった海外の皆さんにグループの理念を伝えるアンバサダープログラム、3つ目は日本の社員たちをどのようにしてグローバル化していくかということです」(宮脇氏)

グローバルリーダー育成を目的とする海外人材のタレントマネジメントについて、宮脇氏は次のように語りました。

サントリーホールディングスと連動してGTDP(Global Talent Development Program)という、選定-育成-評価の人材マネジメントサイクルを基本に据え、その土台としてサントリーのグローバルリーダーに求められる思考・行動特性をモデル化した「サントリー リーダーシップ コンピテンシー」を策定し、将来のグローバルリーダーになり得る社員を集めてフォーラム(SBF Global Leadership Forum)を開催しました。これは、キータレントへの動機付け、グローバルリーダーとしての役割や認識の促進などを目的とするものです」(宮脇氏)

タレントマネジメントの一環として、SBFでは海外ローカル社員の日本長期赴任も推進しているといいます。

「グローバル本社であるSBFでのビジネス経験を通じて、グループ全体を見渡す視野や考え方、日本流ビジネスの強み、人脈などを獲得することができます。帰国後には身についた能力が派遣元に還元される効果も期待でき、サントリーの強みをグローバルに拡げていく取り組みといえます」(宮脇氏)

理念・価値観を海外へ伝承「やってみなはれ」アンバサダープログラム

「アンバサダープログラムは、3年ほど前にサントリーホールディングスで開始しました。『やってみなはれ』というチャレンジ精神、『利益三分主義』という自然や社会と共生する精神をワークショップも織り交ぜて海外社員に体得してもらいます。海外におけるサントリーの伝道師、日本との橋渡し役になってもらうことを目的とした本プログラムは国内のみならず海外でも開催しており、参加者は現在およそ300人にのぼりました」(宮脇氏)

ユニークな英語学習プロジェクトで自ら学ぶ風土を醸成

SBFの日本人社員がグローバル化に向けて求められる姿として、宮脇氏は、ビジネスで使える英語力とコミュニケーション力の獲得が重要で、その第一弾としてTOEICの底上げが必要と述べました。

「TOEICプラス100点の土台づくりをするため、2013年、東京・京橋本社勤務の日本社員を対象にした、KEY(Kyobashi Eigo Yatteminahare) projectと称した英語力アップ推進プロジェクトを発足しました。活動は各部署に推進リーダーを配置し、アイデアを出し合いながら進めていきました。また、社長のインタビューやKEY projectへのアンケートを掲載した冊子を発行し、プロジェクトの成功事例を共有することによって、やる気の向上につなげていきました」(宮脇氏)

さらに宮脇氏は、KEY projectの第2弾では、目的をより具体的に設定するため、各種クラブ活動も発足したと続けました。

「意識調査の結果、4割程度の社員が“やらないといけない”という気持ちで義務的に英語を学ぼうとしていることがわかりました。そこで目指したのが、主体的に英語を学ぶ雰囲気をつくり、社員の7割が“自ら”学んでいる状態にすることです。一見、英語とは関係がないようですが、フットサルやヨガといったクラブ活動を開始。楽しく英語を学ぶ活動として盛り上がりました」(宮脇氏)

そして、2015年で第3弾を迎えたKEY projectには、さらなる進化が見られます。宮脇氏は次のようなコンセプトで活動を開始したと述べました。

「『グローバル化に向けた自ら学ぶ風土熟成』をコンセプトに、京橋本社勤務のメンバー層に加え、課長層全員が対象者になりました。活動のポイントは、グローバル化の理解と自分にとっての必要性を知る機会をつくることと、異文化交流といった単なる語学以外を学ぶ機会を増やすことです。課長層の参加と入門レベルの強化によってグローバル化を広く捉え、学習の成功パターンを獲得して、英語学習を習慣づけることが狙いです」(宮脇氏)

トレーニー制度の修了者が海外現地や海外関連部署などで活躍

こうした国内の英語学習プロジェクトに加え、SBFでは海外で職務遂行訓練を行うトレーニー制度も設けています。これまで21名の修了者を輩出し、海外現地や海外関連部署などで活躍しているそうです。最後に宮脇氏はSBFの人事部として日ごろ考えていることを次のように語り、講演を締めくくりました。

「今は効率よりも効果を重視しています。3年や5年といった中長期の詳細なプランを立てるのでなく、まず直感と仮説で行動することが大事です。行動して初めて見えてくることがたくさんあります。コンフリクトはつきものですが、『やってみなはれ』の精神を常に忘れないようにしたいのは人事担当者も同じです」(宮脇氏)

当ブログでは引き続き、「SAP HR Connect Tokyo グローバルマネジメントフォーラム 2015」のセッションを取り上げます。次回は、日本板硝子の梯慶太氏による事例講演です。梯氏が語った、被買収企業である英ピルキントン社に日本の組織を組み入れるという従来にないグローバル化のアプローチ、タレントマネジメントの変遷などについてご紹介します。

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