日本企業の「ダイバーシティの浸透」でグローバル人材を育成


こんにちは、SAPジャパンの鎌田です。2015年6月16日、六本木アカデミーヒルズ49で開催された「SAP HR Connect Tokyo グローバルマネジメントフォーラム 2015世界で活躍するリーダーを創る」。前回は、SAPジャパン株式会社のアキレス美知子による講演、「多様性とスピードがグローバル人事を成功に導く」を紹介しました。今回は、日本板硝子株式会社の執行役員 グループファンクション部門 人事部 人材開発・報酬部長 兼 アジア統括部 部長の梯慶太氏および、SAPジャパン株式会社の常務執行役員 人事本部長のアキレス美知子の両パネリストと、モデレーターに早稲田大学 政治経済学術院 教授の白木三秀氏を迎えて行ったパネルディスカッション「世界で戦う日本企業のこれからの人材戦略~グローバルで活躍できるリーダーをいかに育てるか~」の様子をレポートします。

人材マネジメントの強化が日本のグローバリゼーションを実現

パネルディスカッションを始めるにあたって、白木氏は「企業の優秀な人材を育成・活用ができないことが、日本企業や世界本社のグローバル人材マネジメントの大きな課題」と問題提起し、「この人材戦略の解決なくして、日本企業が競争力あるグローバリゼーションを実現させるのは難しいでしょう」と強調しました。

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その上で、グローバル人材マネジメントに必要な要素について、「たとえば、マネジメントシステムの構築やリーダーシップ経験のチャンス、ダイバーシティにおける仕事機会の創出などが挙げられます」と語り、パネリストへの質問につなげました。

M&Aによって日本板硝子は“社員全員が海外駐在員化”

グローバリゼーション強化のきっかけとなるビッグプッシュ(底上げ)によって、日本企業全体の経済発展が加速すると白木氏は力を込めます。

梯氏は、同社のビッグプッシュの例を挙げました。「2006年にイギリスの上場企業ピルキントン社を買収し、両社の組織をグローバルで統一。短期に真のグローバル化を実現するために、日本人には痛みを伴いましたが、日本をグローバル組織の一部として組み入れることを選択しました。これはいわば、“社員全員が海外駐在員化した”状態といえるでしょう」(梯氏)

アキレスは、「当社でもビジネスモデルを方向転換すべく、もともとSAPにない要素といえるクラウドに強みを持つ企業と合併しました」と語り、これによりSAPは「クラウドカンパニー」としてさらなる発展を目指す体制が整ったと続けました。

優秀な人材を「データベース化」と「見える化」で選出

欧米では、1990年代からすでに優秀な人材を選抜し育成するハイポテンシャルマネジメントや後継者育成システムが出来上がっていたと白木氏。今後、日本企業でもこの仕組みは定着するのかという問いに対し、2人は次のような見解を示しました。

「日本では公平性という観点のもと、社員全員を平等な機会で育成していくスタイルが浸透してきたといえます。グローバル人材を育成しようと全員に同じTOEIC目標を掲げて目指している企業もあります。ただ、私どもでは決して社員全員がグローバル人材になる必要はないと考えており、上昇志向を持ち、グローバルリーダーとしての特性が傑出した人材を早期に選抜し、将来のCEO候補として育成していく方針です」(梯氏)

「企業の拡大に伴い、優秀な人材が埋もれてしまわないためにも、人材の『データベース化』と『見える化』が急務といえるでしょう。社員の特性が整理された次の段階で、新規事業立ち上げなどを行う際は、それに必要な人材の要件定義を明確に打ち出し、それに当てはまる人を計画的に育成していく仕組みをつくることが求められています。日本ではまだタレントマネジメント自体に出遅れ感があるため、今後の発展に期待します」(アキレス)

続けて梯氏は、後継者育成という面では、「多くの企業では人事が役員クラスの人材育成に関わることはなく、たとえばCEOの選任は前任のCEOが後継者をブラックボックスで決定する方法が未だ一般的といえるでしょう」と分析。

今後、さらにコーポレートガバナンスの要求が高まる中、人事のプロフェッショナルが社員からCEOまで一貫してタレントマネジメントをサポートして行くことが大切でしょうと、力強く語りました。

ダイバーシティによってイノベーションを起こす

白木氏は、「日本企業には今、ダイバーシティ(多様性)が求められている」と指摘し、今後どのように企業に浸透させていくべきかを2人に投げかけました。

「グループ全体では女性管理職比率は約12%、欧州に限るとこの倍近くあり、まずまずの水準ですが、日本を含めてまだまだウエイトを高めていきたいと思っています」と梯氏。

グローバル人事ではマネジメントの多くのポジションを女性が占めるなど、女性の活躍が加速する一方で、「あるポジションの候補になったイギリス人女性から、日本社会のダイバーシティに対する理解や取り組みに対して不安の声があがるなど、今後日本では社会・企業ともに意識改革への底上げを図る必要性を感じました」(梯氏)

アキレスは日本の女性管理職の割合はアジアで最も低水準と指摘します。まずは、いつまでに何人といった数値目標をつくるところから始めなければ浸透が難しいのが現状と明かしました。

「ただ、ダイバーシティを恐れる必要はありません。むしろ、女性や外国人といった多様性を持つ企業の方が、新たな発想が生まれイノベーションを起こしやすくなるかもしれません。その上で、多様な能力を強みに変えるインクルージョン(スキルの活用)が求められているのです」(アキレス)

グローバル人材育成には、「仕組みづくり」と「意識改革」が不可欠

グローバルで活躍できる人材を育成するためには、タレントマネジメントの仕組みづくりや日本人の意識の変革が不可欠といえます。白木氏は、「グローバル人材のプロフェッショナル化に、私たちも研究や調査をもって貢献していきたい」と意気込み、パネルディスカッションを締めくくりました。

当ブログでは引き続き、「SAP HR Connect Tokyo グローバルマネジメントフォーラム 2015」の模様をレポートします。次回は、SAPジャパン人事・人財ソリューション部長の南和気、同部シニアソリューションスペシャリストの佐々見直文による講演から、SAPが提供する人事ソリューションの強みと活用事例を紹介します。

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