5つの変革で語るSAPのグローバル人事


こんにちは、SAPジャパンの鎌田です。2015年6月16日、「SAP HR Connect Tokyo グローバルマネジメントフォーラム 2015世界で活躍するリーダーを創る」が六本木アカデミーヒルズ49にて開催されました。前回は、日本板硝子株式会社 執行役員 グループファンクション部門  人事部 人事開発・報酬部長 兼 アジア統括部 部長 梯慶太氏が講演した「日本板硝子のグローバルタレントマネジメント」を紹介しました。今回は、SAPジャパン株式会社の常務執行役員人事本部長であるアキレス美知子による講演、「多様性とスピードがグローバル人事を成功に導く」をレポートします。

SAPが直面したグローバルビジネスの壁

_MG_8928SAPは世界130カ国に拠点があり、従業員数は7万4,000人を上回ります。日本では1992年にSAPジャパンを設立し、主に基幹業務システムの販売、構築が事業の中心となっていました。しかし2010年の中期計画で、クラウドサービスを中心とした新しい事業を立ち上げ、2015年までに事業領域を2倍に拡大する目標を立てました。これをきっかけに人事戦略の変革を始めることになります。従来のグローバル人事の問題点について、アキレス美知子は説明します。

「2010年以前のSAPのグローバル人事は、各国ごとにバラバラで、非常に効率が悪い状況でした。グローバルに人材を把握しようと思っても、タイムリーに情報が上がってこない状態で、グローバル人材の育成もトップ層に限定されていました。国や地域をまたがるような人材配置も難しく、ダイバーシティ(人材の多様性)に関してもまだまだ対応に遅れがありました。事業の変革に合わせて、人材の配置戦略や育成戦略をよりグローバルに行えるようにすると共に、グローバルリーダーとして活躍できる人材を一層増やしていく事が急務でした」(アキレス)

グローバル人材マネジメントとは、世界拠点で活躍する人材を把握し、労働環境や価値観が異なることを前提として、ビジネスの変化にタイムリーに対応していくことです。そのためには、人事のビジネスモデル自体を変えていく事が不可欠でした。この人事部自身の変革について解説が行われました。

人事組織自身のグローバル化

「人事部はさっそく経営陣とともに、2010年以降の5年間でどういうことをやらなければならないのかという指針をまとめました。まず、最初に行ったのは、人事部自身をグローバル組織化することです。国ごとに分かれていた人事組織をグローバル人事組織として一つにまとめ、HRビジネスパートナー(HRBP)、センター・オブ・エクセレンス(COE)、シェアードサービスセンター(SSC)という3つの組織に再編成しました。

HRBPは、各国で経営層と部門のマネジメントを支援します。COEという組織は、シンクタンク・専門家としてグローバルプログラムの設計と展開を支援します。そして、シェアードサービスセンター(SSC)は、コールセンター及び給与計算業務、システム入力を統括する組織です。それまでにもSSCはありましたが、より業務範囲を拡大し、世界3拠点のSSCで全世界の業務をカバーできるようにしました」(アキレス)

クラウドを使ったタレントマネジメントシステム

変革の2番目は、グローバル人材情報の統合です。

「SAPのシステムは、日本および世界中で多くのお客様に利用していただいています。人事のマスター情報や基本的な情報の管理のみならず、クラウドを使ってタレントマネジメントに必要な情報、例えば各従業員の経験やスキルを付加していく事にしました。

こうしたタレントマネジメントシステムを導入するグローバル企業は、この5年で大幅に増加しています。ただ単に人材を把握するだけでなく、いかに戦略的に活用していくかというステージに、シフトしているのです。」(アキレス)

人事部門がグローバルで業務を行える体制を作り、情報システムによってグローバルに従業員や組織が見えるようになったことで、いよいよタレントマネジメント、共通の職務記述・等級制の導入、多様な人材の登用・活躍の推進が可能になりました。具体的な改革の内容をアキレスは語ります。

「3番目の改革は、全従業員を対象にしたタレントマネジメントです。それまで限定的な階層にのみ行っていたリーダー人材の選抜を、全従業員を対象に広げました。リーダー人材を多く育成するためには、その可能性のある人材を全ての層から漏らすことなく見つける必要がありました。具体的には、パフォーマンス(仕事の成果)とポテンシャル(個人の意欲と能力)という2本の軸で評価を行います。従業員の8割程度を占めるグロースポテンシャル、もう一歩高いレベルで次の段階を見据えて活躍できるアクセレレート、部署や地域を超えてチャレンジさせてもよい潜在力を持ったファストトラックの3つの段階に分けたポテンシャル評価を行い、これに人事考課であるパフォーマンス評価を組み合わせて、いわゆる9Boxによってリーダー候補を選抜します。このプロセスで選抜されたリーダー候補には特別な育成プログラムやキャリア支援を行います」(アキレス)

変革の4番目は、グローバル共通の職務記述・等級制の導入です。

「グローバル共通の等級制になったことで、より機動的な配置が可能になりました。同時に職務(Job Description)も統一したので、従業員は自分のポジションの職務内容や必要なスキルを理解するとともに、次にチャレンジしたいポジションや仕事を選択する事ができるようになりました。SAPでは、様々なポジションが社内公募されており、応募して合格すれば、日本のみならず各国で活躍する機会が得られます」(アキレス)

GREAT PLACE TO WORKを受賞したSAPジャパン

5番目はダイバーシティへの挑戦です。

「グローバルな組織では、いろいろなバックグラウンドを持った社員が、その考え方やユニークな強みを活かして、成果を上げていけるような環境をつくることが非常に重要です。SAPでは女性や様々な国籍、バックグラウンドをもったリーダーが上級管理職として活躍しています」(アキレス)

SAPジャパンは2015年のGREAT PLACE TO WORKを受賞しました。世界49カ国で「働きがいのある会社」の調査を行い、企業ランキングを発表しているもので、SAPはヨーロッパやフィンランドでも受賞歴があります。

日本におけるSAPのブランド力をさらに高め、グローバルで活躍できる人材育成の取り組みに注力していきたいと、アキレスは締めくくります。

当ブログでは引き続き、「SAP HR Connect Tokyo グローバルマネジメントフォーラム 2015」の模様をレポートします。次回紹介するパネルディスカッションでは、早稲田大学政治経済学術院教授の白木三秀氏をモデレーターに迎え、日本板硝子の梯氏とSAPジャパンのアキレスがパネリストとして登壇しました。白木氏が実施した「日本在外企業調査」の結果をもとに交わされた、日本企業が抱えるグローバル人材マネジメントの課題に関する議論を紹介します。

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