3倍の物流処理をIoTで実現するハンブルグ港湾局(HPA) –ソリューション画面のご紹介-


2015年3月にハンブルグ港湾局においてIoTを活用し、港湾のコンテナ取扱量を3倍、渋滞を解消に取り組む事例をお伝えいたしました。

IoT活用で渋滞解消と処理能力アップを狙うハンブルグ港湾局
https://www.sapjp.com/blog/archives/10757

詳細な情報については上記ブログに譲り、このブログでは、このハンブルグ港湾局において、 物流オペレーター向けアプリケーション画面に焦点をおいて解説をしていきたいと思います。


■ハンブルグ港が抱えていた課題と解決策
ハンブルグ港には大きく以下2つの特徴があります。

・ハンブルグ港の2014年現在の取扱量は900万TEUだが、2025年にはこれが現在の3倍の2,500万TEUまで増えると予測されている。
・ハンブルク港はハンブルク市(ドイツの中心地)に位置するため地理的にも拡張ができない。

つまりハンブルグ港にとっては、 地理的制約の中で処理効率を少なくとも確実に3倍に引き上げなければならないという課題を抱えていました。
(※ドイツ周辺とハンブルグ港の地図。ポイントされている部分がハンブルグ港。)ハンブルグ地図

こうした解決必須の課題に対して、ハンブルグ港湾にかかわる多くの企業(運送会社、鉄道、海運、内航、駐車場、交通局など)をテレマティクスでつなぎ、物流の効率化を図った。ハンブルク港湾、SAPおよびTシステムズ(ドイツテレコム子会社)と共同で、スマート・ポート・ロジスティクスと名付けた施策に着手したという運びです。

※ハンブルグ港スマート・ポート・ロジスティクス(Smart Port Logistics)プロジェクトでは、企業の垣根を超えて非常に多くの企業が連携してIoTを適応したところに大きなポイントが2つあります。
①物流の全体最適
港内にとどまった物流の個別最適を超えて、荷の積み降ろし、トラック、鉄道、海運、内航、駐車場、交通局等々を含めた物流の全体最適化に向けた取り組みです。
②新たな収入源を獲得するビジネスモデルの変革
①に加えて、ハンブルグ港周辺の物流最適のために運送会社に対して、上記データを提供することで新たなサービスを展開しています。具体的には、鉄道、海運、駐車場のデータ等を加味し、いつどこに駐車場すればいいのか、運送時間の変更があった際にどこに何時に到着すべきか運送会社向けのカーナビゲーションサービスを新たに展開しています。
ハンブルク港湾局(HPA)様では、コンテナ船、トラック、交通情報などを含めた多様なデータプロセスを高速化するためにSAP HANA Cloud Platformを採用しました。

■ 物流オペレーター画面サンプル

・運搬船のステータス確認

海上にいるコンテナ船のステータス確認では、Ship=運搬船名、Arrival= 港への到着時間、Maximum TEU=コンテナ船最大積載量などコンテナ船の状況を確認できます。これによって、駐車スペース効率化のため、コンテナ船の入港時刻にタイミングを合わせ、その船のコンテナを載せる予定のトラックだけを港湾地区へ誘導し、それ以外のトラックは港湾地区の外で待たせることができます。また、コンテナ船が港に到着予定時刻に遅れがありそうであれば上記トラックの駐車スペースを確保、変更する予定を立てることを想定して作成された画面です。

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また、港に滞在中の運搬船のステータス確認もすることができます。こちらは港からの出港予定時刻(Estimated Departure)、積み荷予定と現在の積み荷実績状況、出港までの時間が画面右手にグラフで表されています。Screen Shot 2015-10-08 at 13.07.41

・異常事態をすぐに把握するお知らせ機能(Notification)

画面右手にはNotificationが表示されており、コンテナを運ぶトラックの交通の情報やコンテナ船が港のどの場所に何時に到着するかを示しています。例えば、右手Notification欄にはコンテナ船までコンテナを運搬するトラックに遅延が発生していることを知らせています。3

・コンテナ船への積み荷状況

Unloadingタブのコンテナ船アイコンを押すと(“Emma Mærsk”という名前のコンテナ船のアイコンを選択)、コンテナ船の積み荷の状況を確認できます。

Screen Shot 2015-10-08 at 13.11.26

“Emma Mærsk”の状況確認ができます。下記画面では、コンテナ船の名前や最大積載量などのコンテナ船に関する基本情報が画面上に表示されています。下のグラフでは、コンテナ積載の予実がグラフになっています。すでに積載完了しているコンテナに関しては濃い青、これからコンテナ船へ積載予定の積み荷は薄い青になっています。

Screen Shot 2015-10-08 at 13.14.56

画面中央にWarning(警告:交通状況によりトラックの遅延が予測されます。)が表示されています。Warningと出ている部分をクリックすると、遅延の状況とウィンドウが開き、遅延の原因と、遅延を回避するための選択肢が出てきます。

Screen Shot 2015-10-08 at 13.16.29

遅延の原因は、高速道路でアクシデントがあり、高速道路が閉鎖していることにあります。遅延を回避するための選択肢として、画面右手に①追加でトラックを手配する。②別ルートを選択する。があります。
①の追加でトラックを手配というところでは、交通渋滞に影響がない場所からトラックを手配することができます。また、②の別ルートを選択というところでは、別ルートを通った場合の遅延時間や、ハンブルグ港への予定到着時刻に対しての遅延時間などが表示されます。

Screen Shot 2015-10-08 at 13.16.41

ここでは①の追加でトラックを手配を選択します。

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そうしますとアウトソーシングしている業者からトラックが手配され、積載予定時刻を大幅に超えていたグラフ(オレンジの部分)が自動的に計算されます。結果として、 積み荷の積載が出港時刻前に完了することが表示されます。

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■まとめ

本ブログではIoTを活用したハンブルグ港湾局の物流最適の取り組みを例に具体的に物流オペレーターの画面を解説しました。

今回ご覧いただいた例の他にも、ハンブルグ港を中心として、荷の積み降ろし、トラック、鉄道、海運、内航、駐車場、交通局などを含めた物流の全体最適にIoTを活用することで、現在の3倍のTEU処理、ビジネスモデルの変革実現に向けて取り組んでいます。

このように、IoTのビジネス活用も本格化してきました。本ブログの内容がIoTをどのように活用するかご検討中のみなさまの一助になれば幸いです。