ドキュメントサービスをクラウド提供するSAP Forms as a Service by Adobe
作成者:山澤 雅史 投稿日:2016年1月12日
SAPジャパンの山澤です。
数回にわたってお送りしてきたSAP HANA Cloud Platform(HCP)の紹介シリーズですが、いかがでしょうか? 今回は既にSAPのシステムを使用している方にとって活用可能性のあるサービスとしてSAP Forms as a Service by Adobe(以下 Forms as a service)のご紹介をしたいと思います。
SAP Forms as a Service by Adobe とは?
SAPはAdobe社と共同でフォームベースのビジネスプロセス最適化のソリューションとして SAP Interactive forms by Adobe(以降IFbA)を提供しております。
このソリューションにより、SAP カスタマーは以下のような作業が可能となります。
- 紙の文書におけるフォームと同様なインタラクティブフォームの登録および配置
- オンラインおよびオフラインシナリオフォームでの作業
- PDF 文書の注釈付けおよび PDF ドキュメントレビューでのコラボレート
- SAP システムに含まれるデータからの動的PDF 文書の生成
- フォームを使用したデータ取得および SAP システムへのそのデータの直接インポート
- ユーザへの PDF 文書のデジタル署名の許可
- PDF 文書への添付文書としてのその他のファイル形式の埋込
具体的には、一般従業員の方がSAP GUIなどの専用の入力I/Fを使わずにPDFからSAPの業務を行うことが可能です。
このIFbAソリューションのために SAP NetWeaver ASでは Adobe Document Service(ADS)および、Adobe lifecycle designerのソフトウェアが提供されています。 このADSの機能が SAP HANA Cloud Platform上で提供されるのが、SAP Forms as a Service by Adobeです。
IFbAについての詳細は以下をご参照ください。
http://www.adobe.com/jp/enterprise/partners/sap.html
https://help.sap.com/saphelp_nw70/helpdata/ja/b7/64348655fb46149098d95bdca103d0/content.htm
http://www.sap.com/solution/lob/sales/software/interactive-forms/index.html
クラウド化によるメリット
もし、既にAdobe Document Services(ADS)をローカルコンポーネントで使用しているならば、容易にForms as a Serviceに置き換えることも容易です。
オンプレミスのADSの同等の機能を提供しながらも、管理は容易になります。ABAPシステムとHCP上のADSを接続するための構成を行うことで、特に追加のリソースの準備などを必要とせずにこのサービスを使用開始することが可能です。
では、クラウドサービスとして これを活用することにどのようなメリットがあるでしょうか?
オンプレミスからのクラウドサービスの移行メリットとして以下が挙げられます。
- Java Stackの導入コスト
- ADSのパッチ適用や新規バージョンの管理コスト
- インフラ費用の削減
- IT Landscapeのシンプル化
また、コスト面以外においても、ピーク要求時のスケール拡張などのメリットも挙げられます。
アーキテクチャ
Forms as a serviceと既存ABAPシステム間の構成イメージは以下のようになります。
ローカルハードウェア上には、SAP HANA Cloud Platformとインターネットを通じてやり取りをするのに必要な標準コンポーネント [コミュニケーションレイヤ(ICF,RFC)を含むSAP(ABAP)システムと 追加コンポーネントして導入するSAP HANA Cloud Connectorなど] が配置されます。
利用設定の流れ
Forms as a serviceを使用するには以下の手順で設定を行います。
- HCPアカウントの基本設定
- HCPアカウントで、Forms as a ServiceがEnableになっていることの確認
- HCPアカウントにADSAdminとADSCallerロールを設定
- ADS on HCPとAS ABAP間コミュニケーション設定
- HCPとのSSL接続の確立 - 証明書のインポート
- ADS on HCPを呼び出すためのRFC Destinationの構成
- ICFサービスの構成
- SAP HANA Cloud connectorの構成
- SAP HANA Cloud Platform Accountでディスティネーション(接続先仮想ホスト)情報の構成
- 構成確認のためのテストレポート実行
- オプション:構成ツールを使用しての設定
まとめ
Forms as a serviceは ローカルでのJavaサーバ環境を持つことなしに、PDFドキュメントを使用したソリューションを提供します。 ランドスケープのシンプル化と管理コストの削減などを容易に具体化することができ、またプリントジョブの膨大な処理ピークに対応する自動スケール環境を提供します。
下記案内通りトライアルの利用も可能ですので、ぜひお試しいただければと思います。
Forms as a serviceトライアル
現在SAP Forms as a Service by Adobeをフリートライアルとして、利用することが可能です。HANA Cloud Platformのトライアルアカウントのコックピットにアクセス頂きサービスの有効化を行うことで このトライアルは利用できます。
トライアル版においては、30日間の使用、300リクエスト(最大5ページ / リクエスト)といった制限があることにご注意ください。