情報活用サービス「BIクラウド」での協業を通じて、富士通とSAPが描くBI市場の未来

作成者:SAP編集部 投稿日:2016年3月17日

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SAP は世界で1万社を超える企業とパートナー契約を結んでおり、その中で多くのパートナー企業の皆様はSAP の OEMプログラムを活用して、それぞれの得意分野で独自のソリューションを展開しています。今回は、日本国内のSAPパートナーの中でもひときわ大きな実績を誇る富士通株式会社がSAP BusinessObjectsをベースに提供するSaaS型情報活用サービス「BIクラウド」をご紹介します。

高品質の製品&サポートに着目してSAP をOEM パートナーに選択

日本国内でも屈指のSAPパートナーである富士通とSAPの協業の歴史は長く、BIの領域では北米で2006年から展開されていたBIオンデマンドサービスを日本で展開する際、その先駆けとなったのが富士通でした。このサービスが2013年5月にSAP BusinessObjects Business Intelligence Platformをベースにリニューアルされたのが、今回採り上げる「BIクラウド」です。

「当時、すでに富士通は国内のオンプレミスBI市場で大きなシェアを獲得していました。それがクラウドへの転換期を迎え、さらなる成長と競合他社との差別化を図るため、世界でトップシェアを獲得しているSAP BusinessObjectsに着目したのです」と語るのは、イノベーティブソリューション事業本部 エンタープライズデータソリューション部 部長 堀之内裕二氏です。

堀之内氏は、そもそもSAPをOEMパートナーとして選定した理由について、製品やサポートが競合他社に比べてきわめて高品質であった点を挙げます。OEMの場合、たとえベースとなるBIツールは他社製品であっても、エンドユーザーには富士通のサービスとして提供されるだけに、その品質には高いレベルが要求されます。

High Angle View of Two Businessmen Standing and Talking to Each Other in an Office

「なかでも注目したのは、多言語対応の機能が標準で提供されている点です。グローバル展開を考えているユーザーには必須の要件ですが、この機能を自社開発するとなると膨大な手間とコストが避けられません。それがデフォルトで提供されている点は、SAP BusinessObjectsの大きな魅力でした」

ビッグデータ活用のニーズを背景に開発された「BIクラウド」

堀之内氏は「BIクラウド」の開発の背景について、エンドユーザーの間に情報の「見える化」へのニーズが急速に高まっている点を指摘します。特にメーカーなどを中心に、各企業にはすでにさまざまなデータが集積されています。しかし、これらのビッグデータ資産の価値を認識しながらも、営業や意思決定に有効活用できている企業はいまだ多くありません。そうしたジレンマの中で、情報の「見える化」を効率的に行える、いわゆるADV (Advanced Data Visualization)への要求が高まっているのです。

「当社では、BIシステムの中でも『簡単、迅速な情報活用を実現するための見える化の仕組み』に特に重点を置いています。さまざまなデータに対して、経営者層、管理者層、また業務の現場といった各レイヤーに向けた情報管理体制を構築し、それぞれに最適化された形で必要なデータを『見える化』し、モバイルなども含めた『いつでも、どこでも』使える情報基盤をトータルに提供していくことが狙いです」(堀之内氏)

富士通が考える BIシステムのあるべき姿

こうした基本コンセプトをバックボーンに、「BIクラウド」では強力な分析機能を提供するSAP BusinessObjectsと、富士通が持つ豊富な業務アプリケーションの開発ノウハウから生まれた100種類を超えるテンプレートを組み合わせることで、各エンドユーザーの業務スキームに最適化された「見える化」を実現しています。

Interior of server room in Cape Town, South Africa

BIクラウド」のサービス構成
クラウド+SAP独自の分析機能が、より高度なデータ分析・活用を可能に

では、ここからは「BIクラウド」がユーザーにもたらす多彩なメリットを見ていきましょう。BIクラウドのメリットは大きく分けて、「クラウド本来の特長」と「BIクラウドの独自性」の2つがあります。まずクラウド本来の長所としては、「ROIの最大化とTCOの最小化」が挙げられます。具体的には、①インフラ/ソフトウェア投資が不要、②必要な利用者数に応じた月額課金で運用コストを最適化、③スモールスタートでイニシャルコストを低減、といったメリットがあります。特に、これまでは費用対効果が見えにくかった情報系システムがクラウドに移行することで、小さく始めて、効果に応じて規模を拡大していく方法が可能になりました。

「この結果、経営者層や営業担当者がみずからデータを分析して、そこから新たな知見を得たいという要望により簡単に応えられるようになりました。将来的には『BIクラウド』に予見分析ツールであるSAP Predictive Analyticsや情報の可視化を支援するSAP Lumiraなどを追加していくことで、これらのニーズにより包括的に応えられるサービスを構築していきたいと考えています」(堀之内氏)

2つ目の「BIクラウドの独自性」としては、ダッシュボード、シミュレーション、多次元分析(OLAP)、レポートなどBI ツールの基本機能に加え、独自の自由分析機能など多彩な機能群が提供されています。また、これらを運用面から見ても「ユーザー登録が済めばすぐに使える」「バージョンアップや障害対応の手間がなくなる」「テンプレートの活用で社内での作りこみも不要」といった利便性が加わり、かつてのオンプレミス運用では考えられなかった情報活用環境が実現します。

BI クラウド」の特徴とメリット

SAPとの協業関係がもたらす新たなデータ活用市場の開拓

優れたBI機能やSaaSならではの利便性、そして省コスト効果などが高い評価を集め、BIクラウドの導入社数は現在、国内約40社/利用者数約5,000名に達しています。今後、富士通ではBIクラウドの見える化の機能を、よりリアルタイムで誰にでも手軽に高度な分析が行えるように強化・拡張していきたいと考えています。

「現在の課題としては、『今何が起きているかをすぐに見たい』というニーズの高まりがあります。これまでのように情報システム担当者が提供してくれた情報だけでは、自分たちのビジネスの展望が見えない。みずから現場で集めてきた情報や外部の資料などを迅速かつ自由に分析したいという声にいかに応えていくかが、これからの重要なテーマとなってきます。SAP Predictive AnalyticsやSAP Lumiraを追加していく構想も、そうしたニーズへの対応の一環です。富士通としては、こうしたクラウドサービスへの取り組みを、単なる新しいサービス提供やソリューション販売ではなく、むしろイノベーションや新たなデータ活用市場の開拓に近いものだと考えています」(堀之内氏)

また、富士通ではSAPとの協業関係にも、これまで以上の大きな期待を寄せています。

「SAPとは製品に対する疑問や質問、ロードマップなどについても、常に親身の回答や詳細な情報提供などを受けながら、非常に密接な関係を築いてきました。特に海外の開発拠点とも直接会話できたりする点などは、他のベンダーにはなかなか望めない対応です」(堀之内氏)

今後はさらに踏み込んで、共通のビジネスシナリオを考えていけるパートナーとなって欲しいと語る堀之内氏。富士通とSAPが描く今後のビジネスシナリオには、市場のニーズを先取りする無限の可能性が潜在しています。

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