SAPの次世代ERP SAP® S/4HANA Enterprise Management


SAPは昨年11月に次世代ERPとしてSAP® S/4HANA Enterprise Managementをリリースいたしました。

今回よりSAP S/4HANA Enterprise Managementで何がSAP ERPと変わったのかをご紹介していきたいと思います。
SAP S/4HANAは、SAP HANAに最適化された次世代のERPとして設計され、会計領域をSAP HANAに最適化したSAP Simple Finance (現在はSAP S/4HANA Financeに改称)が昨年3月にリリースされました。そして、SAP ERPの会計以外の領域も含め、全体をSAP HANAに最適化したものがSAP S/4HANA Enterprise Managementです。
SAP S/4HANAではバージョンではなく製品をリリースした年月をリリース名としており、今回リリースしたものは1511リリースと呼ばれます。今までのSAP ERPの機能領域をカバーするデジタルコアとしてのSAP S/4HANA Enterprise Managementとともに、SAP S/4HANA Enterprise Managementと組み合わせることで各業務部門向けの高度な専門機能を提供するSAP S/4HANA Lines-of-Businessソリューションを提供しています。

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SAP® S/4HANA Enterprise Management:主なイノベーション

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SAP S/4HANA Enterprise Managementの主要なイノベーションは大きく3つに分類されます。

  1. HANAに合わせたアーキテクチャーの再構築
  2. ユーザが業務を遂行しやすい設計
  3. 周辺からコアに機能を統合

1.の「HANAに合わせたアーキテクチャーの再構築」は、SAP S/4HANA Financeでも会計データテーブルがシンプル化され、集計テーブルやインデックスが不要になり、ユニバーサルジャーナルという単一の明細テーブルにすべての会計データが記録されるように、大規模な再構築が行われました。このような構造の見直しは、SAP HANAの大量データを高速に処理できる能力があって初めて可能になりました。
SAP S/4HANA Enterprise Managementではこのような構造の見直しを幅広い機能領域で行っています。その中でも最も大幅な構造の見直しを行ったのが、在庫管理領域です。これまでの在庫管理は入出庫データだけでなく、下図のような多数の集計テーブルやインデックステーブルに現在の在庫残高や在庫金額等の情報を更新する複雑な構造になっていました。これは、これまでのデータベースを前提としてパフォーマンスに支障のない業務アプリケーションを構築するうえで、不可避の構造でした。
しかし、SAP S/4HANA Enterprise Managementでは、入出庫は単一のテーブルに記録されるのみで、在庫の照会はこの単一のファクトテーブルからオン・ザ・フライで集計されて表示されます。このようなテーブル構造の大胆な見直しによって、入出庫におけるパフォーマンスが大幅に向上し、デジタル化時代に求められる高スループットを手にすることができたのです。この再構築された在庫管理がもたらすイノベーションについては、次回のブログでもう少し詳細にご紹介したいと思います。

2.の「ユーザが業務を遂行しやすい設計」は主にSAP Fioriによるユーザ・エクスペリエンスの変革です。これは過去にも当ブログで何回か紹介されているMRPコクピットに代表される洞察からアクションへとつながる新たなUIであり、これまでの仕事のやり方を変える可能性を提供します。(SAP Fioriについてはこちら記事もご参照ください。「速さとシンプル化だけではない。SAP S/4HANAの描く未来の業務のあり方を、SAP Fioriを通じて読み解く。」)

3.の「周辺からコアに機能を統合」はデジタルコアとしてのSAP S/4HANA Enterprise ManagementにこれまでSAP Business Suitesで提供されてきたより専門的な機能を統合していく今後の開発の方向性を示しています。
かつてSAP R/3は販売、購買、在庫、生産、会計など企業のすべての業務領域をカバーし情報がリアルタイムに統合されたOne Fact One Placeを実現していましたが、時代の要請でより高度なソリューションが求められ、SAP Supply Chain Management(SCM) , SAP Customer Relationship Management(CRM) , SAP Supplier Relationship Management(SRM) , SAP Product Life Cycle Management(PLM)等のSAP Business Suites製品群が提供されるようになり、これらを組み合わせて利用されることが増えてきました。
もちろんSAPソリューション同士なので、それらはシームレスに連携され、整合性も取られているのですが、システムランドスケープはどんどん複雑化していきました。SAP S/4HANAではシンプルなシステムランドスケープを目指し、SAP Business Suitesで提供されてきた機能を段階的にSAP S/4HANAに統合し、SAP AribaやSAP SuccessFactors, SAP Integrated Business Planning(IBP)に代表される業務部門向けクラウドソリューションとSAP S/4HANAを組み合わせて業務全体をカバーする方向で開発が進められています。
SAP S/4HANA Enterprise Management 1511リリースでは統合されている機能はまだ少ないのですが、今後のリリースではSAP SCMで提供されていた機能の一部がS/4HANA Enterprise Managementに統合されることが計画されています。

また、これまで様々な業種別ソリューションをSAPは提供してきましたが、SAP ERPに存在する業種別ソリューションは他の業種別ソリューションと組み合わせて使うことができない、という制約がありました。
しかし、現実の世界では企業が他業種に進出したり、グループ内に複数の業種の子会社を持ったりすることが増えてきており、ある業種別ソリューションを利用されるお客様が別の業種別ソリューションも利用したいというニーズが現実に起こっています。
そこでSAP S/4HANAでは、これまで業種別ソリューションとして提供してきた機能を標準機能としてコアに取り込むことを進めていきます。その第一弾としてSAP S/4HANA 1511リリースでは、組立製造業・素材業界向けソリューション(SAP for Discrete Industry / Mill Products)を標準機能としてコアに統合し、異なる業界のお客様でもご利用いただけるようにしております。今後もこの方向で開発を進めることになっており、他の業種別ソリューションが将来リリースでコアに統合される予定です。

今回はSAP S/4HANA Enterprise Management 1511の主要な変更点の概要をお伝えしました。次回、この変更で具体的にどのようなメリットがあるのかをご説明したいと思います。

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