ハノーバーメッセから見る「SAP S/4HANAで繋がるものづくり現場 “Live Business is Connected”」


前回のブログ記事では、基幹システムとMESの統合により製造現場の可視化が実現され、その結果として製造リードタイム短縮やトラブルに対するアクションの打ち手を迅速に判断できるようになるなど、真のリアルタイムシステムであるSAP S/4HANA (以下、S/4HANAとする)がものづくり経営を進める企業の製品製造に対してどのように有効であるかをご紹介しました。今回は更に視点を広げて、真のリアルタイムシステムであるS/4HANAがものづくりそのもののプロセスをいかにダイナミックに支援できるのか、去る4月25日~29日にドイツのハノーバーで開催された世界最大級の産業見本市であるハノーバーメッセ2016のSAPブースで展示されたコンテンツを紐解きながら見ていきたいと思います。

 

こちらがハノーバーメッセ2016のSAPブースの様子です。デジタルエコノミー時代においてビジネスをシンプルに繋げていく、”Live Business Is Connected”のコンセプトの元、Showcaseとして3つのデモンストレーション展示が行われました。

【Hannover Messe – SAPブースのレイアウトとShowcase】1

・Showcase① Connected Product Lifecycle
・Showcase② Connected Manufacturing
・Showcase③ Machine Manufacturing Analytics

来場者がその場で選んだ色や仕様に基づいてキーチェインが完全自動生産されるということでIoTを象徴するものとしてメディアに多く取り上げられていたのは2つ目のConnected Manufacturingですが、今回展示されたShowcaseは全て、データ構造のシンプル化を行い、HANA上で集計テーブルなしにリアルタイムにデータ集計を実現することで処理スループットを劇的に向上させたS/4HANAにより組み立てられています。

なぜS/4HANAなのか?SAP Business Suite powered by SAP HANA(Suite on HANA:従来のERPをHANAデータベース上で稼働させる)との違いは何なのか?よくお客様から受けるご質問です。もちろん従来のSoH(Suite on HANA)でもMES連携やHANAによるビッグデータ処理は可能ですので、繋がったシステムの実現そのものは可能です。

では想像してみて下さい。上記をSoHで実現していたとして、顧客オーダーに変更が入った時に、即座に現場在庫の確認と調整をし、変更オーダーに基づくもの揃えを確保した上で納期回答をリアルタイムに行うことは可能でしょうか?製造現場での突発的なトラブルにより納期に変更が発生してしまいそうな場合に、即座に全社のオーダー状況に紐付く全工場の製造進捗をリアルタイムに把握した上で正確な調整納期を提示することは可能でしょうか?これらのケースへの対応は、前々回ブログでご紹介したように、日中のバックフラッシュ処理と多頻度でのMRP実行による計画調整を可能としているS/4HANAでしか実現し得ることのできないものであることは明らかです。

その上で製品設計から顧客オーダーに基づく製造実行、製品製造品質や現場機器状況のモニタリングから蓄積され続けるビッグデータを活用した品質改善、予防保全。これらをシステム間連携を介すことなく全て1つのS/4HANA上で繋げる、これがSAPの掲げる真の統合ERPによるConnected Businessの実現です。

Showcase① Connected Product Lifecycle

一般的に設計時には原価企画に基づきコストシミュレーションを繰り返しながら設計調整を実施しますが、SAP Product Lifecycle Costing(PLC)によりExcel画面インターフェースからのコストシミュレーション実行が可能です。この時、統合されたS/4HANA上にある情報を読み込みながら実データに基づくコストシミュレーションを可能としているのがPLCの特徴です。例えば、設計作業中のBOMや製造リリース済の類似製品BOM情報、また既にサプライヤと取引されている汎用部品のコスト契約情報、各製造拠点別に異なる設備や作業者の工数等の間接費情報…繋がった基幹システム上には最適な原価計画立案のために活用できるリアルな元ネタが既に数多く蓄積されています。

【SAP Product Lifecycle Costing(PLC)でのコスト情報入力画面】2原価ターゲットが策定されたものに対して実際の設計が走りますが、CADで設計したモデル情報や設計図面や関連ドキュメントなど、全ての設計情報はSAP Engineering Control Center(ECTR)で統合管理されます。ECTRはマルチCADのコンセプトであるため、連携先CADに制約されることなく設計情報をS/4HANA上に取込みながら設計作業の効率化を支援します。

都度の設計変更に対しても、CADでの設計変更情報はリアルタイムに次版としてS/4HANAに連携され、その情報を即時にPLCでコストシミュレーションして設計変更の妥当性を評価することが可能です。またCADのモデル情報はS/4HANAへの連携時に自動で軽量化され、S/4HANAの様々なアプリケーション画面に組込まれているビューワーで参照できるようになっています。例えば、製造リリース前の工程設計実施時に、この軽量化されたモデルデータを参照し作業工程をビジュアライズに確認しながらの工程計画立案が可能ですし、更に確定した作業工程手順はモデルデータへのアニメーション編集を加えて製造現場へ動画形式の作業手順インストラクションとして配布することもできます。

【SAP Engineering Control Center(ECTR)における3Dビューワー】3

Showcase② Connected Manufacturing

実際に顧客からのオーダーはクラウドソリューションであるSAP Hybrisにて登録されます。この際にPSMで作成された「スーパーBOM」情報に対してHybrisで受けた顧客仕様のマッチングをかけ、顧客オーダーに基づく製造実行のための構成情報が引き当てられ、現場への製造指示に展開されます。

【SAP Hybrisからのオーダー登録画面】4製造現場では指示情報がSAP Manufacturing Intelligence(SAP MII)を介してMESへシームレスに連携されます。またライン設備に対してはSAP Plant Connectivityという情報連携ツールを介した指示情報連携により、エッジ部分のコントローラーに毎回MESの指示を出すのではなくエッジ側で完全に自律した作業を行える環境を実現しています。マスカスタマイゼーション製品の製造に伴う現場への負担の懸念は、これらの仕組みにより払拭されることがご理解頂けるかと思います。

Showcase③ Machine Manufacturing Analytics

センサーからの現場作業情報や機器情報はHANA上で全てリアルタイムに分析レポートを介して可視化されます。リアルタイムな実績に基づくプロセス分析、品質分析が実行され、現在の製品品質のモニタリングだけでなく傾向値から将来起こり得る不具合の予測、品質改善のためのルートコーズ分析など、先んじた打ち手の改善活動を計画し実行するための強力な支援が可能です。不具合ゼロの実現、製品品質担保によるコンプライアンス維持は今後のグローバルものづくり企業には欠かせない要素であり、S/4HANAで統合されたシステム環境だからこそ繋がるデータを活用することが可能なのです。

【現場機器の稼働状況及び品質モニタリングレポートサンプル】5【SAP Predictive Maintenanceによる予測分析】6

2015年11月にリリースされたS/4HANAは、今後も順次機能リリースを予定しています。SAPとNon-SAP製品、クラウドとオンプレミス、社内と社外、企業のものづくりに必要な全てのデータを1つに繋ぐ、真のERPであるS/4HANAにより、マスカスタマイゼーションにビジネスを移行するための支援をSAPは提供します。

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SAP Forum Tokyo
Reimagine Business for the Digital Economy  

≪開催概要≫
【日 時】2016年7月29日(金) 10:00~19:30
【会 場】グランドプリンスホテル新高輪
【主 催】SAPジャパンジャパン株式会社
【参加費】無料・事前登録制
【対 象】SAP及びSAP製品にご関心のある全ての方
【詳細・お申し込み】http://forum.sapevent.jp/
【併 催】
■7月28日開催
・SAP HR Connect
・SAP Ariba Commerce Innovation Forum
■7月29日開催
・SAP Tech JAM
≪プログラム≫
第4次産業革命における日本企業が描くべき成長戦略について、またそのために必要なデジタル変革・事業変革を主要テーマとし、国内外の有識者ならびにSAP本社ボードメンバーを迎え、SAPの戦略や新製品、サービス、および先進事例を発表します。本フォーラムでは、パートナー企業とともに多数のセッションや展示を通じて、ITで現実社会を変革するためのヒントをお届けします。