SuccessConnect 2015【世界最強人事 事例に学ぶグローバル人事への取り組み】レポート3


パナソニックのグローバルタレントマネジメントの取り組み

こんにちは、SAPジャパンの藤田 園子です。2015年12月4日、都内で『SuccessConnect 2015世界最強人事 事例に学ぶ グローバル人事への取り組み』が開催されました。今回は、パナソニック株式会社で人事改革に取り組むコーポレート戦略本部 人材戦略部 タレントマネジメント課 課長 細川純治氏の講演「パナソニックのグローバルタレントマネジメントの取り組み」をお送りいたします。

274115_l_srgb_s_gl

未来から逆算し、巻返しをかけた事業改革を断行

連結売上高7兆5537億円、従業員数約25万人を抱える世界的大企業パナソニック。そんな同社も2011年、12年と2期連続で過去最大の赤字を計上し、過去最低水準の株価を記録しました。これを受け、本社機能を見直すための人員削減や配当修正など、多岐にわたる事業改革が行われたのです。まず初めに、2000人いた本社部門の人員を150名まで削減し業務の省力化やシェアドサービス化を図りました。それに伴い全社タレントマネジメント機能をコーポレート戦略本部で統括。事業発展のストーリーの中で人事部門も機能させていく方針へと転換を遂げていきました。一連の改革の契機となったのが、将来の人材育成に対する危機感であったのです。

panasonic

同社では2018年に向けた非常に高い利益成長目標を掲げています。この経営目標から逆算した場合、人事面における2つの課題が浮かび上ってきます。

 

「1つ目に経営者の絶対数が足りないことが挙げられます。当社の事業規模から、仮に1つの事業部の大きさを1000億円とした場合、それを担う経営者が100人必要となります。この規模を任せられる人材が圧倒的に不足している実態があったのです。2つ目に海外の成長を支える経営者の層が薄いことが挙げられます。役員42名中、非日本人はたったの2名。これが2012年当時の姿でした」と細川氏は将来に対して、課題を指摘しました。

 

こうした課題の解決に向けて、コーポレート戦略本部ではタレントマネジメントに関して3つの方針を立てたのです。1つ目が「ゲームのルールをはっきりさせる」。どうやったらこの会社でキャリアを伸ばしていけるのか、幹部登用にあたってはどんなプロセスで選ばれるかをはっきりさせようというわけです。2つ目に、「グローバル統一方針」を掲げ、海外視点に立って国内のタレントマネジメントを考える姿勢への転換を目指しました。そして最後が「“場の提供”にこだわる」。経営者育成に関していえば、早い段階で自律的に経営資源をコントロールできる事業の場を提供することが重要になってくるのです。

閉じていたキャリアパスを明確に

事業の要請に応じて迅速に人材を調達するには、外部から優秀な幹部人材を採用する方法もあります。しかしパナソニックでは、創業者松下幸之助の「モノをつくる前に人をつくる」という企業風土が、タレントマネジメントの背景にあるのです。同社ではこうした経営理念や事業戦略をベースに人材の発掘や育成、登用や処遇がうまく連動する仕組みづくりが行われたのです。

 

「バラバラに機能していた人事部門の活動に例えば、優秀者の選抜や登用、育成の一環としての幹部研修の企画、幹部の報酬マネジメントに関する機能をコーポレート戦略本部の人事部門へ集約させました。これにより人事部門の多様な活動が連動し合う環境が整備されました。経営者の登用については、将来の経営職幹部候補として選出された者には内示する制度を導入しました。これにより本人に強く動機付けられることはもちろん事業部トップや人事担当者には彼らへ育成機会を与え続ける責務が出来ました」(細川氏)

 

加えて、役員候補人材の明確化を図るために、社長や経営幹部が集まり人事配置を議論するタレントマネジメントコミッティや外部の有識者も交えた選考の場を設けたそうです。その結果、いままで閉じていた役員に上がるまでのキャリアパスが明らかになりました。役員報酬制度においては、業績連動部分を大きくし、長期インセンティブとしては株式報酬型ストックオプションを導入したということです。

さらなる成長に向けたグローバル人事戦略

現在、同社のタレントマネジメントの取り組み及び幹部開発は、国内のみに留まっています。人事から見た海外事業の課題として「海外に事業のコアが少ない」「ローカル幹部人材の絶対数の不足」「グローバル企業としての価値観、仕組みの欠如」が挙げられ、クリアしていくことで、さらなる成長を追求していくそうです。

 

「現在海外には37の事業部があります。しかし、その中でも自律的に経営を行える本部機能を備えた事業部は1箇所のみです。海外市場での成長を考えると、市場に近いところで商品企画も含めた意志決定機能を持ち、現地のお客様へ迅速な対応ができる事業部が必要なのです。加えて、こうした事業部を支えるローカル幹部の数も足りていないのが現状です。

「役員総数40人に対し、非日本人は3人しかいません。また人事構造の点においても、国内の一部関連会社と共有できていたのが実情であり、海外とは人事構造を完全に共有できていませんでした。そこで現在国内と海外で共有できるグローバル人事プラットフォームの構築に踏み出しました。このように当社は、今後海外市場で戦う上で必要な人材戦略も検討し実践しつつあります」とタレントマネジメントの側面から細川氏は未来の成長を見据えました。

社内の人材発掘、育成、登用する仕組みを作り、制度を透明化し、将来のリーダーのモチベーション向上に繋げられたのですね。国内からグローバルに展開された世界で戦う為の人事戦略に更なる成長の期待が高まります。

ご質問はチャットWebからも受け付けております。お気軽にお問い合わせください。