SAP S/4HANAとAriba Networkの連携
作成者:山澤 雅史 投稿日:2016年6月30日
SAPジャパン 山澤です。
前回SAP S/4HANAと他ソリューションの連携という紹介記事を投稿させて頂きましたが、今回は SAP Aribaとの連携について より掘り下げを行い、ご紹介をしたいと思います。
Ariba Network and SAP ERP
Ariba NetworkはAriba Network portalやcXMLの交換を介して, 購買担当者とサプライヤが異なるビジネスプロセスを管理する共同のクラウドベースのネットワークです。
購買部門はAriba Networkを使用してサプライヤを見つけ注文から支払いまでのビジネス処理を自動実行します。 サプライヤはAriba Networkを使用して新しいビジネス候補を見つけるとともに、顧客に対して効率的、かつ効果的に提案や受注処理を行うことができます。
SAP ERPの顧客は、Ariba Networkと連携することで、Ariba Networkが提供するコラボレーション機能と効率の向上の恩恵を受けながら、SAP ERP内で調達処理を管理します。サプライヤも同様に彼らのSAP ERPシステムを、Ariba Networkと連携させることができます。
Ariba Network and cXML
Aribaや他の多くの企業はコマース分野におけるビジネス対ビジネスのトランザクションのオープンなプロトコルとしてcXMLを定義しました。これは多種多様な共通ビジネスプロセスをカバーする包括的なXML標準であり、Ariba Networkに取り込まれている連携プロトコルです。
cXMLプロトコルは 継続的に更新が行われ新しいビジネスプロセスや新たなビジネス文章をサポートします。(詳細情報は以下参照: https://cXML.org)
SAP AribaはネィティブなSAPとの連携ソリューションを提供します。これはSAP ERP , SAP Business Suite , SAP S/4HANAや他のSAPソリューションでのcXMLの直接サポートを意味します。 事実、SAP S/4HANAはネィティブにAriba連携を提供し、標準でcXML言語を理解します。このことはSAP S/4HANAとAriba Networkの連携に追加での導入が不要であることを意味します。
Technical architecture Ariba Network Integration
Ariba Cloud Integration frameworkはSAP ERPとの連携に対して以下の標準パスを提供します。
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SAP Business Suite Add-On for Ariba Network
SAP Business Suite Add-On for Ariba Network は SAP ERPシステムに導入されます。主な目的はSAP ERPがcXMLによりAriba Networkとネィティブにコミュニケーションを可能にすることです(cXMLとSAPの技術であるBAPIやIDOC間のプロトコルマッピングを必要とせずに)。SAP Business Suite Add-On for the Ariba Networkにより, SAP ERPシステムはcXMLを直接もしくはSAP PIを仲介して受信・送信することができます。既にSAP PIをレガシーシステムとの接続に利用しているのであれば, SAP PIを介して中継されるコミュニケーションは柔軟な構成を提供します。
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Ariba Network Adapter for SAP NetWeaver
Ariba Network Adapter for SAP NetWeaverは SAP PIシステムに展開され、 cXML と伝統的なSAPインターフェースであるIDOC, BAPI,RFC間で変換を行います。下記コンポーネントを含みます。SAP NetWeaver PI componentコンポーネントのデザインパッケージ:連携プロセス、インターフェースオブジェクトとマッピングを含みます。SAP PIコンポーネントに導入されるcXML アダプタ:J2EE Connector Architecture (JCA)使用に適合され、cXMLトランスポートプロトコルを実行します。SAP Transport ファイルはSAP ERPシステムに導入されます。
メッセージ交換
SAP ERPとAriba Network間のコミュニケーションには2つの方法があります
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同期コミュニケーション
このコミュニケーションタイプは通常ERPからAribaへメッセージを送る際に使用されます。これはERPが直接Aribaからメッセージ処理の可否を受け取ることを意味します。もしエラーが発生した場合にはXMLのペイロードでエラーメッセージを確認することができます。
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非同期コミュニケーション
このコミュニケーションタイプは通常Ariba NetworkからSAP ERPへメッセージを送る場合に使用されます。これはERPがメッセージをピックアップすること、Aribaは直接SAPのシステムにアクセスしないことを意味します。 このタイプのコミュニケーションはPolling メカニズムとよばれます。SAPでは周期的なJobが計画され、それがメッセージをシステムに取り込みます。このJobは短期の周期で実行され、リアルタイムなコミュニケーションのように行われますが、実リアルタイムではありません。
Ariba Network とSAP ERP 連携シナリオ例
SAP Ariba は多くのビジネスプロセスをサポートするための多くの連携シナリオを提供しますが、もっとも代表的な連携シナリオは注文書(PO)の送付と請求書の受信です。このシナリオでは、ユーザがERP上でPOを作成し、Ariba Networkのサプライヤ宛に送付します。POを受信したサプライヤは、オーダーの確認状況、出荷状況、請求書の作成などを行うことができ、作成された請求書等がERPに連携されます。
以下にこのシナリオのフローを示します。
SAP ERPはERP上で作成されたPOをcXMLのドキュメントに転送し、Aribaのweb serviceの呼び出しを行います。(例として)メッセージタイプcXMLOrderRequest_Outが使用されます。このメッセージタイプはcXMLドキュメントの構造を定義します。
Ariba NetworkはcXMLOrderRequest_Outのメッセージを直接確認します。これはAriba側でメッセージの受信が正常に処理されたかどうかをリアルタイムに確認できることを意味します。
サプライヤはAribaにログインし、オーダー確認や出荷通知、請求書を作成することができます。AribaはデータをcXMLメッセージに変換しポーリングクライアントに送ります。メッセージはキューに蓄積されます。ERPにて計画されているポーリングジョブが実行されすべてのメッセージをキューからピックアップします。メッセージのタイプに依存して(例えばcXMLShipNoticeRequest_In)ポーリングジョブはメッセージを正しいインターフェースに振り分けします。インターフェースはcXMLメッセージをSAP構造に変換し要求を処理するERPのファンクションを呼び出します。
SAP S/4HANA とビジネスネットワークの連携
- SAP S/4HANAは 次世代のビジネススイート製品として、SAP S/4HANA コアコンポーネントとSAP AribaのようなSAP SaaSクラウドソリューションが統合され、エンドツーエンドエンドのビジネスプロセスをサポートする革新的なソリューションを提供します。
- SAP AribaクラウドソリューションとSAP ERP連携はSAP ERPアドオンとAriba Network Adapter for SAP NetWeverを介して可能になりますが、SAP S/4HANAではアドオンはネィティブな連携サポートのために標準になります。
(本内容は SlideShareに公開されているAriba-SAP Integration Whitepaperの内容を一部抜粋し、抄訳、意訳したものです。 ご興味のある方はぜひ原文もご参考ください。)
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