SAP S/4HANAとSAP SuccessFactorsの連携

作成者:山澤 雅史 投稿日:2016年7月29日

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SAPジャパン 山澤です。

前回のSAP S/4HANAとAriba Networkの連携に引き続き、今回はSAP S/4HANA(以降S/4HANA)とSAPのクラウド型人事ソリューションであるSAP SuccessFactors (以降SuccessFactors)の連携について、深掘りを行いたいと思います。

SuccessFactorsはこちらのリリースでも触れられているように 2011年にSAPのポートフォリオに加わりました。以前のブログ記事内でも触れているように、人材管理を効率化、展開の容易さやエンドユーザからの使い勝手などを含めたソリューションを提供しております。

SAPは従来SAP ERP HCMという人事管理のソリューションを提供してまいりましたが、S/4HANAにおいては SuccessFactorsを標準ソリューションと位置付けています。もちろん従来のHCMソリューションを継続して利用することも可能です。

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展開パターンとデータの流れ

S/4HANAやSAP ERPとSuccessFactorsを組み合わせて利用する場合には、人事管理業務における中核機能をどこまでSuccessFactorsで実装するか、もしくは従来のHCMを使用するのか、本社機構と海外支社などでの使い分けなどを含め、さまざまな展開パターンが考えられます。以降ではS/4HANAやSAP ERPとSuccessFactors Employee Central(以降Employee Central)との組み合わせでコアHRプロセス全体をクラウドソリューションで使用する展開パターンをベースに記載します。

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フルクラウド展開におけるデータの連携を見た場合のデータの流れを上記に示します。 従業員情報、組織情報、などをSuccessFactorsとSAP ERP上で管理されるFinanceの情報を組み合わせて利用することになります。

定義済み連携コンテンツ

データ連携においてはSAP HANA Cloud Platform, integration serviceによるEmployee Centralの連携が早期限定顧客向けプログラムを経て、本年2月の中旬から一般出荷となりました。これによりSAP ERPとEmployee Central 1602リリースからの標準の連携ソリューションはSAP HANA Cloud Platform, integration serviceになります。

また、そのための定義済み連携コンテンツも提供しています。

下記に示す図のサイトでは SAP HANA Cloud Platform, integration serviceで既に提供が行われている、利用可能な定義済みコンテンツが確認できます。

ここで、Filterを使用してProductでEmployee Centralを選択すると、20前後の連携コンテンツが存在することが確認できます。
S4HANA_SFSF_Integration_画像_3_1

例えば、「SAP ERP to SuccessFactors Employee Central Cost Center Replication」を選択することでSAP ERPのコストセンタ情報をSuccessFactorsに連携させるためのフローを確認することができます。

S4HANA_SFSF_Integration_画像_3_2

コストセンタ情報レプリケーション

コストセンタに関してはSAP ERP (Financials)が常にマスタシステムとなります。

S4HANA_SFSF_Integration_画像_5

Employee Centralは従業員情報をコストセンタ、コスト振り分けリストへ従業員を割り当てし、その情報は従業員情報とともにSAP ERPへ送られます。

 

 

 

コストセンタのレプリケーションに関してはファイルベースもしくはメッセージベースによる対応が可能です。

ファイルベースの場合にはシステム設定が容易なためプロジェクトの初期段階では大変有用です。ただし差分を反映させるために、定期的なEmployee Centralに対しての更新が必要になります。メッセージベースのレプリケーションではODTF_CCTR IDocを使用します。

従業員情報、組織情報レプリケーション

その他の連携情報として、従業員情報や組織情報などがあります。

S4HANA_SFSF_Integration_画像_7

従業員データはEmployee CentralからS/4HANAへ転送されます。

SOAPベースのレプリケーションで、変更はスケジュールされたミドルウェアジョブによりEmployee Centralより抜き出され初期ロードや、差分レプリケーションがサポートされます。

 

ビジネスユニット、部門、などの組織構造の連携では、これらに対する S/4HANAの組織管理のオブジェクトにそれぞれの従業員割り当てを行います。

レポートラインのデータ連携は従業員とマネージャの関連を示します。

Employee Centralのジョブ情報はS/4HANAの組織管理にマップされ、従業員とラインマネージャポジション間の関連などの情報を含んでいます。

コストセンタ割り当て情報において、SAPは従業員とそのコストセンタ割り当てをS/4HANAの組織管理へレプリケーションするためのWeb Serviceを提供します。

 

まとめ

前回前々回とS/4HANAと他クラウドソリューションの連携とした記事を書かせて頂き、今回はSuccessFactorsとS/4HANA連携に焦点を当て説明をさせて頂きました。

冒頭でも記したように、人事業務に関してどこまでをクラウドソリューションを活用するのかによって、展開のパターンはさまざまです。またそれに応じて連携する対象データなどもさまざまです。

SAPは基幹業務と人事業務(またそれ以外も)の複数ソリューションを提供するとともに深い経験と知識を備えています。またその連携のためのインターフェースを提供することでお客様におけるリスクをも低減します。

また、SAPはS/4HANAをデジタルビジネスのコアとして、また他のLine of Businessに求められる機能を迅速な展開が可能なクラウドソリューションとして提供し、それらを有機的に結合することで迅速さと柔軟さを兼ね備えた企業システムを提供していきます。

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