SAP S/4HANA embedded analytics を構成する要素技術を理解しよう!


今回のブログでは、第1回の「SAP S/4HANA を可視化・分析できるアナリティクスソリューション」でご紹介しました「SAP S/4HANA embedded analytics」について、SAP S/4HANA のデータを最大限に活用するうえで理解しておくべき重要なコンセプト、アーキテクチャーなどの要素技術、およびツールセットの概要をご紹介します。

仮想データモデル(VDM=Virtual Data Model)のコンセプト

仮想データモデル(VDM)とは、SAP Business Suite のデータを様々な用途で活用するための業務視点のビューセットのことです。この仮想データモデルは SAP Business Suite powered by SAP HANA (SoH) では SAP HANA Live として提供されていましたが、SAP S/4HANA では新しい実装モデル Core Data Services (CDS) View として提供されています。いずれのモデルもカスタマーによる拡張も可能です。

VDM

仮想データモデル(VDM)に基づく Analytics アーキテクチャー

SoH の Analytics は、クライアントとデータベース層からなる2層モデルのアーキテクチャーであり、BI ツールなどのクライアントから SQL で直接データベースへアクセスします。 このアーキテクチャーは、リアルタイムの分析を可能にし、柔軟性・オープン性が高い一方で、SAP HANA Live はデータベース層で管理されるためユーザ認証・権限管理、開発オブジェクトの移送管理はアプリケーション層(ABAP)とデータベース層(HANA)で2重に管理する必要がありました。

ARCH_SOH

一方、SAP S/4HANA の Analytics では、クライアント、アプリケーション層(ABAP)、データベース層(HANA)からなる3層モデルのアーキテクチャーを採用しており、仮想データモデルをアプリケーション層(ABAP)で CDS View として管理することにより、SoH における Analytics の2重管理の課題を解消し、アーキテクチャーをシンプル化しています。

ARCH_S4

Core Data Services (CDS) View とは?

業務的により高度なデータモデルの定義を可能にするためSQLを拡張したものが Core Data Services (CDS)です。CDSで記述したビューのことをCDS Viewと呼びます。 SAP S/4HANA におけるデータモデルのシンプル化によって、集計テーブル・インデックステーブルなどが廃止されましたが、このとき互換性を担保するために導入されたビュー(互換ビュー)は、CDS View として定義されています。 SAP S/4HANA 1511リリースでは、4,600以上の CDS View が提供されています。CDS View は、ABAP ディクショナリでは「DDL SQL ビュー」というタイプのオブジェクトで定義されています。現時点では、このタイプのオブジェクトは、eclipse プラグインとして提供している ABAP開発ツール(ABAP Development Tools for eclipse)でのみ定義可能です。ABAP ディクショナリツール(SE11)では定義できません。この ABAP ディクショナリの CDS View が有効化されると SAP HANA データベース上に SQL View が生成されます。

CDS

SAP S/4HANA embedded analytics を構成するアプリケーション/ツールセット

SAP S/4HANA embedded analytics は、CDS View を管理するための IT ユーザ向けのツール ABAP Development Tools for eclipse、クエリデザインや Smart Business cockpit の KPI モデリングのためのキーユーザ向けのツール Query Designer、KPI Modeling Apps、そして、分析・レポーティングのためのエンドユーザ向けのツール Query Browser、Multidimentional Reporting、Analytical Fiori Apps、Smart Business cockpit などで構成されます。

TOOLS

以下、各ツールの画面イメージと概要をご紹介します。

ABAP Development Tools for eclipse:SAP S/4HANA embedded analytics の中核技術であるCDS View の管理

ABAP

Query Designer:CDS View に基づくクエリーの定義

QUERY_DESGINER

KPI Modeling Apps:業務毎のKPI定義 (閾値の設定など)

KPI_MODEL

Query Browser:CDS View の定義情報の照会、ダッシュボードツール(Design Studio)との連携

QUERY_BROWSER

Multidimentional Reporting:多次元分析レポーティング

MULTI

Analytical Fiori Apps:業務毎の分析アプリケーション

FIORI

Smart Business cockpit:KPIに基づく分析とアクション

SMART

最後にご紹介しました Smart Business cockpit は、SAP S/4HANA の重要なコンセプトである業務(OLTP)と分析(OLAP)の一体化によるビジネス上の価値をご提示するアプリケーションとして分かりやすいと思います。Smart Business cockpit についてご興味のある方はこちらのブログも是非参照してください。

速さとシンプル化だけではない。SAP S/4HANAの描く未来の業務のあり方を、SAP Fioriを通じて読み解く。

まとめ

今回のブログでは、SAP S/4HANA embedded analytics について、業務視点のデータモデリングにおいて重要なコンセプトである仮想データモデル(VDM)と実装技術としての CDS View、シンプル化された Analytics アーキテクチャー、そして、SAP S/4HANA のデータを有効活用するためにユーザロール毎に用意されたアプリケーションやツールセットについてご紹介しました。

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