デジタルビジネス環境に対応する経理/財務オペレーションの高度化その①(債権管理)

作成者:楠野 史人投稿日:2016年8月16日

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経理/財務業務は必ずどの業界でもビジネスを行う上で必要な業務領域です。また、バックオフィスの代表格に上がる業務領域のため、特に経営管理改善という名の活動において、「効率化」・「省力化」というキーワードと常にリンクされることが多いと思います。この経営管理改善という点では主に①人手によるマニュアル処理(人手)のIT活用による自動化や、②紙面で管理されている情報のデジタル化、といった、これまで行われている業務をいかに「時間短縮」して「手間がかからない」ようにできるかを見つけて対応することが主な改善活動となります。もちろんその取組が、「効率化」「省力化」のはじめの一歩であるのは確かです。

ただし、今日ではB2CのみならずB2Bの分野でもデジタルネットワークによる大規模な商取引が行われるようになり、経理/財務業務においてもすることが求められるケースも増えてきました。旧来の改善活動のように、今の業務プロセスをIT化・デジタル化による自動化では不十分であり、業務の在り方を再構想しさらに再構成することが求められます。

例えば、入金処理を効率化するために電子取引(インターネット経由)で受付けるようにするのであれば、顧客の請求書情報についても、これまでのように紙面による通知・送付から、オンラインで参照可能にすることが求められるでしょうし、入金確認ならびに決済処理もオンライントランザクションとしてリアルタイム対応が必要となります。もちろん顧客はPC経由で処理するかもしれませんし、モバイル端末から処理するかもしれませんので汎用的なユーザインタフェースが必要となります。また、入金結果を受けて、回収状況をモニタリングすることで、入金の遅延に対する督促や、請求に伴う顧客からの問い合わせ・クレームへの対応が適切に管理されることが必要となります。

一例としてインターネット入金を取り上げましたが、それだけでも、バッチプロセス的な処理では、デジタルビジネス環境で必要とされる要件が全く異なることが十分理解されるかと思います。

今回のブログでは、経理/財務業務の中でも「債権管理業務」について取り上げ、今日のビジネス環境に対応するために必要なIT・デジタル化基盤としてSAPが提供できるソリューションをご紹介したいと思います。


債権管理に関する業務プロセスでよくある課題

海外、特に欧米では、経理/財務領域の各分野でスペシャリストが配置されるため、債権管理においても高度化に対する取組がアクティブなケースが多いようです。例えば、与信管理であれば、「与信管理者(Credit manager)」が配置され、一般事業会社でも営業債権の貸倒損失を最小限にすることをミッションとしています。また、その責任を完遂するためのスペシャリストとして、業務改善も提案しますし、改善・高度化のためにIT活用も積極的です。しかしながら、下記にBefore/Afterで一例を示しました通り、債権管理業務のオペレーション改善・高度化を行うべきポイントは多岐にわたり、改善・高度化と一言で片づけることはできません。

そこで業務プロセス全体の管理機能(アプリケーション)を包含しているパッケージソフトウェアを使用し、自身の業務状況に合わせた利用により業務プロセスの改善・高度化を合理的に効率よく実現しているケースが多いです。

債権管理業務のオペレーション改善


SAP債権管理ソリューション

債権管理業務とは主として「与信管理」「請求管理」「入金管理」「回収遅延管理」で構成されますが、弊社SAPではSAP Receivable Management (SAP債権管理) (以前、FSCMと呼ばれていました)としてSAP ERPとの統合ソリューションを提供しております。特徴としましては、顧客別の売掛金の発生/決済管理や入金管理をするだけでなく、①キャッシュフロー予測の精度の向上、②運転資本の最適管理、③オペレーションコストの削減 、④取引発生から入出金までのプロセス統合管理が適切に遂行・実現することで、コスト/売上債権回転日数の削減、キャッシュフローの改善、不良債権の削減を目的としているソリューションとなります。

SAP債権管理

SAP債権管理ソリューションサマリー

もちろん従来のSAP ERPでもSAP S/4HANAでも動作します。またシステム構成も1つのシステムに売掛金管理プロセス+債権管理プロセスを統合するケース(ケース1)や、複数の売掛金管理システムの情報を1つの債権管理プロセスの統合するケース(ケース2)と、システム構成は柔軟に対応可能です。

債権管理システム構築例

システム構成パターン

しかし、債権管理の自動化や統合管理を行うために大事な点は、債権発生/決済のトランザクションが明細単位でリアルタイムに債権管理プロセスに連携されて処理が行われ、現時点の最新状況を常にモニタリングできる環境を維持することです。たとえ複数のシステムから連携でも多くの情報をリアルタイムで詳細管理するためには、SAP S/4HANAのように大量データを高速に処理できる能力をもつOLTPシステムが必要となります。また、SAP S/4HANAではセントラルファイナンスというソリューションが用意されておりますので、会計明細情報を複数のシステムから収集して、明細情報のままユニバーサルジャーナル(統合GL)へ転記することが可能です。セントラルファイナンスについてはこちらでご紹介しておりますのでご参照ください。


デジタルビジネス環境の変化に向けて

冒頭では、「今の業務プロセスをIT化・デジタル化による自動化では不十分であり、業務の在り方を再構想してさらに再構成する」と述べましたが、簡単なことではなく、また、その取組に与えることができる時間も以前に比べると圧倒的に短くなっています。課題を解決する方向性が決まったのに、その具現化(IT化)に取組むための構築期間が長引き、完成した時にはビジネス環境とアンマッチでは本末転倒です。

SAPではより早く適切なソリューションをご提供するために、クラウドソリューションの拡張に取り組んでおり、経理/財務オペレーション分野でもどんどん進んでおります。例えば「債権管理」領域としてご紹介するのは、「SAP S/4HANA Finance Cloud for customer payments」です。このソリューションはSAP HAHA Cloud Platform(HCP)上で稼働するWebベースアプリケーションとして提供されます。SAP HAHA Cloud Platform(HCP)についてはこちらでご紹介しております。

SAP S/4HANA Finance Cloud for customer paymentsはSaaS型の債権管理ソリューションとして、請求~回収管理プロセスをカバーしております。内容としては、顧客からの支払処理をWebポータル経由で365日(24×7)受付可能とし、電子請求書の照会や、支払状況や債権残高をリアルタイムで照会可能とするポータルを顧客に提供します。提供側としては、既存SAPとのマスタ統合、トランザクションのリアルタイム連携が可能なため、顧客の支払プロセスを効率化することで、債権回収にかかるコスト削減や、自社の債権管理プロセスの高度化につなげることができます。

SAP S/4HANA Finance Cloud for customer payments

SAP S/4HANA Finance Cloud for customer payments

SAP S/4HANA Finance Cloud for customer paymentsでの支払処理画面

例:SAP S/4HANA Finance Cloud for customer paymentsでの支払処理画面

デジタルビジネス環境ではビジネスでのコネクション数も増大し、さらに多くの情報を取扱う必要があるため、これまでの延長線上に対応案を見つけるのは難しいのではないでしょうか?

今回、デジタルビジネス環境に対応する経理/財務オペレーションの高度化として、「債権管理」業務を取り上げて、業務プロセス視点の課題やそれら課題に対するSAPソリューションの概要や、高度化に向けた新しいソリューションをご紹介いたしました。次回以降では、その他の経理/財務オペレーションに関するトピックや、各SAPソリューションが持つビジネスアプリケーションの詳細をお伝えしたいと思います。

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