SAP S/4HANA のデータマネジメント技術『Data Aging』を理解しよう!


今回のブログでは、SAP S/4HANA で新しく導入されたデータマネジメント技術である『Data Aging』注)について、従来のデータマネジメント技術との違い、コンセプト、実装技術(仕組み)、および注意点などについてご紹介します。

注)Data Aging は Suite on HANA でも、アプリケーションログ、IDoc、変更文書、ワークフローなどで利用可能です。

1.SAP Business Suite のデータマネジメント技術の進化

SAP Business Suite を長期間使用していると、ビジネスの拡大によるデータ量の増加に伴ってストレージの増設が必要になったり、パフォーマンスの低下が見られるようになります。

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このようなデータ容量の増大やパフォーマンスの課題を解消するために、日常業務では不要なデータを長期保管用の別媒体へ移動して、データベースから削除する仕組みとして、データアーカイブがあります。

次に、データアーカイブの仕組みをベースに、ルールに基づいて、ビジネスデータの生成から廃棄するまでの情報ライフサイクルを管理するための仕組みとして、SAP Information Lifecycle Management (以下、SAP ILM)を提供しています。

そして、2015年に SAP HANA を前提に再設計されたSAP S/4HANAがリリースされましたが、SAP HANA では基本的にデータベース全体をメインメモリに保持する仕組みであるため、非常に高速なクエリー処理を可能にする一方で大容量のメモリを必要としています。

SAP S/4HANAを導入するうえで、ディスクと比較して相対的に高価なメモリをいかに有効活用するかが重要なポイントの1つになります。このメモリ使用量を最適化するために、SAP HANAのパーティション技術をベースとした新しいデータマネジメントの仕組みとして『Data Aging』を導入しました。

データアーカイブや SAP ILM では、対象データはデータベースから削除され、長期保管用の参照専用ストレージなどへ移動されます。一方、Data Aging では、対象データはデータベース内に存在しており、必要なときにディスクからメモリへ読み込み、更新操作も可能です。 また、データアーカイブや SAP ILMは、後述する一部の制約はありますが、データマネジメント技術として引き続きSAP S/4HANAでも利用できます。

2.Data Aging のコンセプト

Data Aging の目的は、HOT/Currentデータ(データベースの中でアクセス頻度が高く、相対的に新しいデータ)だけを常時メモリに保持しておき、COLD/Historicalデータ(アクセス頻度が低く、相対的に古いデータ)については通常はディスクのみに保持しておくことで、常時必要なメモリ容量を低減することです。

例えば、財務会計データにおいては、現在の会計年度のオープンステータスの伝票はHOT/Currentデータであり、消し込まれた伝票や前年度の伝票はCOLD/Historicalデータとして扱われます。このようにデータの区別は、データベースの技術的な観点ではなく、関連するオブジェクトやプロセスなどを考慮した業務アプリケーションの特性に依存します。

3.Data Aging の実装技術

Data Aging は、1つのテーブルを特定の項目(日付)で分割するSAP HANAのパーティション技術を利用しており、HOT/Currentデータ用のパーティションとCOLD/Historicalデータ用のパーティションで構成されます。

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そして、定期的にData Aging 用のジョブを実行(Aging Run)することで、業務アプリケーションの観点でData Aging の条件に合致したデータをHOT/Currentデータ用のパーティションからCOLD/Historicalデータ用のパーティションへ移動します。

Data Aging を使用した場合、通常のクエリーではHOT/Currentデータのみが検索対象となるため、Data Aging を使用しない場合と比べて高速になります。また、通常はディスクにのみ保持しておくCOLD/Historicalデータも必要に応じてメモリに読込みアクセスすることが出来ます。このようにしてメモリに読み込まれたCOLD/Historicalデータは、SAP HANA のパラメータ設定とアルゴリズムによって自動的にメモリから解放されます。

まとめ

今回のブログでは、SAP S/4HANA で新しく導入されたデータマネジメント技術である『Data Aging』について、従来のデータマネジメント技術との違いを交えて、コンセプトや実装技術を中心にご紹介しました。

SAP S/4HANAにおいても従来のデータマネジメント技術は引き続き利用することができ、『Data Aging』の対象となる業務アプリケーションデータは、SAP S/4HANA のリリースと共に拡大していく予定です。

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