新たなUX登場による業務オペレーションの変革

作成者:圓道 敦 投稿日:2016年10月13日

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SAP S/4HANA Enterprise Management が産声を上げて早11か月。もう間もなくその新バージョンとなる1610がリリースされる予定ですが、その話は次回以降のブログでお伝えしたいと思います。

さて、SAP S/4HANAの特長のひとつとしてUXの向上があります(詳細をお知りになりたい方はこちらのブログをご一読ください)が、それ以外の数多のSAPソリューションにおいても同様に向上している結果、会計領域における日々の業務オペレーションが大きな変革を迎えられるようになりました。

今回は数多のソリューションの中から3つ選び、どのような変化が期待できるのかをSAP ERPを少し意識した内容でお届けします。

【SAP Fioriが業務オペレーションを変える!】

SAP S/4HANA Finance がSAP Simple Financeという名前で世に出たタイミングより1年以上前に登場したSAP Fioriは、約3年の月日を経て1,000を超えるアプリケーションをご提供できるようになりました。簡単におさらいをすると、SAP Fioriの特長は以下の4点です。

・直観的なインターフェース
・業務分析と業務処理の融合
・異なるSAPシステム(ERP、CRM、SRMなど)のインターフェースの統合
・モバイルデバイスからのシステム利用

(SAP Fioriについて詳細をお知りになりたい方はこちらのブログをご一読下さい)

もちろん、このSAP Fioriの特長は経理や財務のユーザーにも十分に体感頂けます。今回は経理オペレーションの中で利用頻度の高い業務アプリにフォーカスしてご紹介します。

(1)一般仕訳転記

SAP ERPユーザーであれば知らない人はいないであろう「FB50:G/L勘定伝票入力」に相当するアプリです。一目見ればすぐに感じられると思いますが、見た目が大分すっきりしました。その大きな理由として、これは全てのFiori画面に言えることなのですが、全体が1画面に収まっていることが挙げられます。さらには貸方・借方の金額欄が設けられたことによって、今までは貸借フラグを確認しないと貸方・借方が判別できなかったのに対し、Fioriの特長である「直観的なインターフェース」という言葉通り、パッと見てすぐに貸借が分かるようになったのは経理ユーザーにとっては大きな変化ではないでしょうか。また、明細詳細の入力は必要に応じて展開できるだけでなく、勘定科目に紐づけられた入力可能な項目のみ表示されますので、伝票の入力や確認のしやすさはSAP GUIのそれらと比べても格段に向上しました。

(2)入金転記・支払転記処理

fiori_2債権管理の入金転記(F-28)と債務管理の支払転記(F-53)に相当するアプリです。多くのユーザーは入出金に係る消込処理を自動プログラムで行っていると思いますが、アンマッチ明細が発生した場合や急に入出金処理が必要な場合にはマニュアルでの処理を行っていると思います。GUIでは、第一画面で入出金の概要情報を入力し、入力された得意先や仕入先コードを元に、第二画面で未消込明細がリストアップされるという挙動ですが、SAP Fioriでは1画面上ですべての処理が実行できるようになりました。例えば、仕入先コードが誤っていた場合、正しいコードを入れなおして明細表示ボタンを押すと、即座に画面下段のフィールドに未消込明細が展開されますし、消込対象の明細を選択すると色が変わるのではなく、別フィールドへ明細がリストアップされるので、確定前の確認もしやすくオペレーションミスが格段に減る仕組みになりました。

本処理のSAP FioriとSAP GUIのオペレーションを比較した動画がアップしているので、ご興味ある方は是非こちらもご覧ください。

(3)支払期日超過債権管理

fiori_3債権管理のレポートである未消込明細の支払期日分析や期日超過明細残高による得意先未消込明細分析などに相当するアプリです。SAP GUIでは検索条件を入力しないと該当するレポートが表示されませんが、SAP Fioriではアプリを起動させるといきなりグラフが表示されます。そこから直感的に気になったところを掘り下げていきます。例えば得意先別や会社コード別に絞り込んだり、特定の得意先に対する債権明細管理から伝票情報へドリルダウンしたりと、自由度の高い調査・分析が行えるようになりました。さらには、必要があれば入金消込処理画面へジャンプし、そのまま業務オペレーションを実施できます。まさにSAP Fioriの特長の一つである「業務分析と業務処理の融合」を体現したアプリの1つです。

また、滞留債権確認の後続業務として「DSO確認」や「財務KPI 確認」に関するアプリも用意していますので、SAP Fioriが債権管理の一連の業務オペレーションの変革をサポートします。

【SAP BusinessObjects Analysis for Officeが業務オペレーションを変える!!】

上司から要求されたレポートがSAP ERPからダイレクトに入手できない場合、複数のオンラインレポート画面からデータをエクスポートし、PC上でデータを加工しフォーマットを整えようやく完成。上司にデータを送信すると感謝の言葉が添えられた返信が届き、達成感と充足感から自然と笑みがこぼれている・・・そんな方を社内で見かけたことはありませんか?

突発的に要求されるレポートがSAP ERPのオンラインレポートに無かったり、SAP ERP内のデータだけでは足りず他システムのデータも合わせたレポートが必要だったりした場合でも、容易に対応できるのがSAP BusinessObjects Analysis for Officeです。

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SAP BusinessObjects Analysis for OfficeはExcelをUIとして利用できることが特長の1つです。ほとんどの方がExcelの利用経験を持っていると思いますので、定着化するまでにあまり時間を必要としない点もお客様のメリットです。そしてSAP S/4HANA上のデータを簡単に抽出し、使い慣れたExcel上で難なく作表が行えます。しかも、過去に作成したレポートデザインを保存しておけば、次からはアクセスする度に最新のデータを取得しExcel上の数値が更新されます。

つまり、上司から要求されたタイミングでExcelを開けば、簡単に最新のデータによるレポートが出来上がりますので、今まで時間をかけていたデータ収集や加工の作業から解放されます。

【SAP Lumira が業務オペレーションを変える!!!】

経理・財務のユーザーの方の業務は伝票入力やレポート作成、データの確認だけではありません。先のSAP Fioriのパートでもご紹介しました債権の年齢別調べをはじめとした分析作業も日常業務の1つです。ただ、定型的に行う分析業務であればSAP GUIで用意されているものや、Excelのピボットテーブルを駆使して行えたとしても、突発的に必要となった場合はどうでしょうか。部門に1人IT担当要員を抱えていた一昔前なら、すぐさまその人に依頼をして、新しい分析目的のレポートや画面を作ってもらえたかもしれませんが、管理部門のスリム化やアウトソーシングが注目されてから久しい現在では、そんな恵まれた環境にある組織は少ないかもしれません。そんな中SAP Lumiraがあれば、ITスキルがそれほど高くない経理・財務ユーザーでも簡単に自分の求める分析業務が行えるようになります。

lumiraSAP LumiraはSelf-Service BIと呼ばれるソリューション1つで、ユーザーが許容されたデータ項目およびデータ範囲において自由に分析が行えるツールです。例えば、月別売上情報に対して地域や相手先、商品・サービス群などの項目をマウス操作で追加すると、即座に地域別、相手先別、商品・サービス別のグラフや表が作成できます。グラフの種類が約40も用意されているので、分析内容に最も適したグラフを選択すれば、誰がみてもすぐに伝わるレポートに変わります。lumra_2さらに、そこから必要に応じてドリルダウンすることで原因の特定が即座に行えますので、対策を講じるスピードがあがり、その対策の内容も質の高いものが生まれやすくなります。

またSAP Lumiraでは、ビジュアル化された分析結果を組み立ててプレゼンテーションのためのストーリーを作成できます。経営会議用のWordやPowerPoint資料を作成する際に、その都度Excelで加工したグラフや表を貼り付け、コメントを追加して作成されるケースが多いと思いますが、SAP Lumiraを使えばプレゼン資料に埋め込まれたグラフや表のデータが適宜更新されるので、資料作成やファイル管理の時間が大幅に削減できます。

このSAP Lumiraや先ほどのAnalysis for Officeは、SAP BusinessObjects BI Suiteに含まれるソリューションですが、これらの分析系UXの扱いやすさやレスポンシビリティの良さは、製品自体の成長もさることながら、バックエンドにあるSAP S/4HANAのアーキテクチャがシンプルになったことも大きく寄与していることを最後にお伝えしておきます。

 

いかがでしたでしょうか。新しい技術や製品が誕生するにつれ、経理・財務に携わる方々の業務の在り方も大きく変革しています。SAPはSAP S/4HANAをデジタルコアに据え、お客様のデジタルビジネスプロセスが実現できるよう、業務オペレーションレベルの「変革」もお届けしていきます。

※訂正のお知らせ(2016年10月13日)
【SAP BusinessObjects Analysis for Officeが業務オペレーションを変える!!】の文中に一部標準対応していない内容が含まれており、誤りがあったため訂正いたしました。
ご迷惑をおかけした関係者、読者のみなさまにお詫びし訂正いたします。

 

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