SAP S/4HANA – Central Financeが実現する、 デジタル時代の成長を支える理想のファイナンスプラットフォーム


9月9日にマンダリンオリエンタル東京で、企業のCFO、経理財務担当者の皆様をお招きして開催されたSAP Finance Summit。最初に、SAPでGM, Global Head of LoB Financeを務めるサック・ブラウン(Thack Brown)が「セントラルファイナンスプラットフォームの実現 ~グローバル企業のビジネス成長を支える次世代財務基盤~」と題した講演を行いました。サックは、自身のCFO経験と、多くの企業の経理財務部門を支援してきた経験を踏まえ、グローバル企業の持続的な成長に必要な次世代財務基盤のあり方に言及。来場したお客様に、SAPが提唱するセントラルファイナンスプラットフォームのコンセプトと、今後の課題を認識していただく場となりました。

ビジネスのデジタル化によってファイナンス業務も激変する

img_0318_%e3%83%96%e3%83%a9%e3%82%a6%e3%83%b3%e6%b0%8f現職に就く以前、長年にわたって企業の財務部門で仕事をしてきたというサックは、最初にデジタル化がもたらす環境変化について、音楽における記録システムの変遷を例に触れました。1880年代に蓄音機のレコード盤からスタートした音楽の記録システムは、1980年代のウォークマン、2000年代のiPod登場で大きな変遷を遂げましたが、これは個人が保有する音楽データをどのようにして持つかという変化でした。現在では、AppleやSpotifyなどのサービスを介して、個人が所有する以外の、全世界の音楽にアクセスできるようになり、状況は劇的に変化したと言います。

「このようなデジタル化による変革は、ファイナンスの領域でも同様に起きています。ファイナンスにおけるこれまでの変化は比較的緩やかなものでしたが、現在起きているのは抜本的な変化であり、ファイナンスのプロフェッショナルは自分の仕事のあり方そのものを、今後数年間で変えていかなければならなくなります」

サックによると、ファイナンス領域における現状の課題は大きく2つに分類することができます。1つは、為替の変動リスク、税制改正、複雑な規制要件などに代表される「マーケットの不安定性の拡大」。そしてもう1つは、曖昧になる業種間の境界線や、M&Aの進行、さらにデジタルサービスなどの新たな競合の台頭による「新しいビジネスモデルの急増」です。

このような状況において、これまで数十年をかけて培ってきた財務管理の手法はすでに限界に達しようとしています。例えば、月末締めや年度の予算編成といった運用のサイクルでは、現在のビジネススピードに追従することはできません。為替レートが毎日にように大きく変動する状況にも対応しなければなりません。サックは「現在起きている状況は、私自身のこれまでのキャリアの中でも最も大きな変革です。このような潮流の中で、SAPはテクノロジーこそが重要な基盤となると考えています」と強調します。

従来の財務システムの限界を超えるSAPのファイナンスプラットフォーム

サックは、過去10年間の財務システムの変遷を見ても、従来型システムの機能が限界に達している状況は明らかだと話します。その大きな要因となっているのが、データ量の増大です。当初は総勘定元帳を対象としていた財務システムに、品目元帳や固定資産台帳が追加、さらに管理会計のためのレポートや収益性分析のための情報も追加され、財務システムで管理するデータ量は急激に増加してきました。さらに財務データが複数の元帳に分散される状況が発生したことで、レポートのスピードを高めるための中間的なデータの集計テーブル、それらの整合性を保つための突合作業が発生し、データの加速度的な増加とあいまって、集計値から明細レベルのドリルダウンをスムーズに行うことは困難な状況となっていきました。

このような状況を回避し、リアルタイムな情報の把握を実現するために、SAPではインメモリーデータベースであるSAP HANAを開発しました。SAP HANAの瞬時に集計するハイパフォーマンスなテクノロジーを活用し、中間テーブルなどの冗長なデータを排除、トランザクション、実行、分析を同じデータベース上で行うことで、集計値から明細レベルまで即座にブレイクダウンできる仕組みを実現しています。財務会計のすべてのデータが1カ所に集約されたことで、突合などの煩雑な作業も不要となり、財務分析や経営判断における精度とスピードが格段に向上することが期待できます。

さらにSAP HANAをベースとしたファイナンスプラットフォームを確立することで、「戦略」「経営管理プロセス」「効率性とコンプライアンスの両立」という3つの領域で変革を図ることができます。

まず「戦略」の観点では、ダイナミックなプランニングを可能にするSAP HANAプラットフォームによって、特に買収案件などを手がける際に、シミュレーションやその結果に基づく戦略の見直しを迅速に行えるようになります。

また、新たな「経営管理プロセス」は、従来のように標準化された絶対的なプロセスが必要、との経営管理の考え方の変革を促します。新しいファイナンスプラットフォームによって、従来の仕組みを残したままでグループ全体の経営情報を一体的に管理できるようになることで、例えば、ビジネスをより大規模化するメリットを活かしてコスト削減しながら、同時に個々の要求に応じたカスタマイズを実現するといった、マス・カスタマイゼーションという手法を取ることが可能になります。このような考え方を導入することで、買収先との経営統合においても、迅速な情報統合とアクションの遂行が可能になるのです。

「効率性とコンプライアンスの両立」では、これまでは基本的なトランザクション処理に使われていた60〜80%もの経費を、自動化により大幅に削減。節約された費用を、より戦略的な要件に割り当てることが可能となります。同時に手作業を排除して、モニタリングやコントロールの機能を盛り込むことによって、全社的にコンプライアンスを強化することができます。0909fs_01-01

セントラルファイナンスアプローチによる分散する財務システムとのリアルタイム連携

SAP HANAをベースとしたファイナンス基盤として、SAPはSAP S/4HANA Financeを提供しています。また、企業買収や合併などが多発する時代における一貫したファイナンス業務のプラットフォームとして、現在SAPが提唱しているのが、SAP S/4HANA Financeをベースとしたセントラルファイナンスアプローチという導入形態です。またこれに特化した機能モジュールとして、SAP S/4HANA – Central Finance を提供しています。

セントラルファイナンスアプローチの適用にあたっては、SAP S/4HANAを財務システムの核として位置付け、ここにコネクターとしてCentral Finance機能を組み込みます。そして、買収などによって多数存在する既存財務システムをCentral Financeを経由してSAP S/4HANAとつなげます。次に、既存システムとSAP S/4HANA間で財務項目をマッピングします(この際、既存の各システムで使用されている項目などを変更する必要はありません)。この後は既存システム側でトランザクションが実行されるタイミングで、SAP S/4HANAへも同じ内容が反映されるようになるため、分散するすべての財務システムを含めた、グループ全体のリアルタイムかつ一貫した財務状況をシンプルなビューで把握できるようになります。

「このようにして統合されたセントラルファイナンスプラットフォームを活用して、グループ全体の資金管理や連結決算、さらに各種プランニングを行うことができるようになります。さらに既存のシステムよりもはるかにスピーディに拠点をまたがる各事業別レポートなどを参照することが可能となります。トランザクション処理も可能なSAP S/4HANA がベースなので、基本的なプロセスの実行や売掛・買掛の管理も可能で、中央でシェアードサービスを提供する組織は、より効率的に活動できるようになります」(サック) 0909fs_01-02

財務状況を単一のビューで把握するセントラルファイナンスプラットフォームの導入事例

セントラルファイナンスプラットフォームの導入事例の1つとして、サックは「ビジネスモデルの進化」にフォーカスした成功例として、ある大手バイオメディカル企業を挙げました。

「この企業では、自社と同等の事業規模に当たる約50億ドルの会社買収に際して、セントラルファイナンスを導入して統合の加速化に成功しました。現在は全体で100億ドル規模の事業の財務状況を単一のビューで把握することで、両社の合併による相乗効果をより迅速に発揮しています。同時にセントラルファイナンスプラットフォーム上でSAP Global Trade Services を使用して、グループ全体の輸出入など貿易に関わるコンプライアンスの確保を実現しています」

この他にも、SAP S/4HANAによるセントラルファイナンスプラットフォームの導入で予測やシミュレーション機能を強化して、リアルタイムなダイナミックプランニングを実現したドイツの航空カンパニーの事例を紹介するなど、非常に盛り沢山な内容となったサックの講演ですが、最後はCentral Financeに関する製品ロードマップを紹介する形で締めくくりました。Central Financeは、SAP S/4HANA Financeの機能の1つとして構成されており、今後SAPではSAP S/4HANA Finance全体の機能拡充を図ることで、お客様企業におけるセントラルファイナンスプラットフォームの推進を強力に支援していく考えです。今後の製品ロードマップについてご興味をお持ちの皆様は、いつでもSAPジャパンまでお問い合わせください。

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