デジタル時代における意思決定スタイルの変革
作成者:栃本 成尚 投稿日:2016年10月27日
ITテクノロジーの進化に伴い、あらゆる情報はデジタル化され、身近なものでさえデータで管理する時代になりました。デジタル化の波は、企業内の様々な業務に影響を与え、目覚ましいスピードで変化を迫られています。
経営会議の場においても例外ではありません。経営陣は、企業グループ全体の経営情報をリアルタイムに把握し、より迅速に、より適切な意思決定が求められています。決定された戦略・戦術は、各グループ会社や、各事業会社のマネジメントと、タイムリーかつ的確に共有され合意形成を図る必要があります。
今回のブログでは、デジタル時代の経営会議をサポートするSAPの新しいソリューションをご紹介したいと思います。
従来の経営会議と、よくある課題
今までの経営会議はどのようなものだったでしょうか。
会議の2週間前から、各地域、各事業のデータの収集が始まります。
基幹システムが散在している場合、エクセルのバケツリレーを繰り返しながら、人海戦術でデータの収集を行います。そして集計したデータに誤りがないか、計算ロジックが正しいか、2重3重にチェックを重ねる必要があります。
そのデータを利用し、報告用の資料をエクセルやパワーポイントを駆使しながら作成し、さらにそれを紙へ印刷し、大量の報告資料ができあがります。
前の会議での指摘事項があれば、それも含めた報告資料を作成しなければなりません。
1度しか利用されない社内資料のために、非常に多くの工数がかかっているのです。
では、会議中はどうでしょうか。
1か月前の情報をもとに会議が行われ、パワーポイントや、エクセルに張り付けられた静的なデータは集計された固定フォーマットで表現されます。
そこにあるデータ以外の情報は確認することはできません。その場で、課題のある事業を掘り下げ、製品型番単位や、伝票レベルで原因を追究することは不可能です。そのため持ち帰り事項が発生し、翌月には2か月前の課題に対する報告が再度行われるのです。
「過去を振り返る会議」から「今と将来を見て決める会議」へ
デジタル時代の経営会議とはどのようにあるべきか考えてみましょう。
人海戦術によるデータ収集を行うのではなく、常に最新のデータが、明細レベルで1か所に集約され、全社共通のマスターデータに基づき、必要な粒度へリアルタイムに集計される状況が理想です。
会議になって初めて前月の報告を受けるのではなく、常にその情報は手元にあり、報告を待たずにいつでも確認できる環境を用意することで、経営会議は報告の場から、企業の戦略を決める場となります。
リアルタイムに集計された情報は、その場で明細レベルのデータまで掘り下げることができ、課題の原因分析・問題の特定を行い、すぐさま必要な対策をとることができます。
また、テクノロジーの進化により、大量のデータを扱い、高度な分析を瞬時に行うことができるようになりました。蓄積された大量のデータから、先数か月の業績を予測したり、為替や原料価格の変化による収益シミュレーションを行えたりなど、過去のデータを生かし、そこから将来を導き出すことで、今までにはない新しい情報を活用し、より的確で、迅速な意思決定が可能になります。
SAP Digital Boardroomによる意思決定スタイルの変革
2015年末に、エグゼクティブの意思決定プロセスをサポートする可視化およびプレゼンテーションソリューションとして、SAP Digital Boardroomをリリースしました。
SAP Digital Boardroomは、SAP BusinessObjects Cloudに含まれる機能の1つとして提供され、タッチスクリーンを用いて、ビジネスインテリジェンス、計画・予算策定、予測シミュレーションなど豊富な機能を利用できます。
SAP Digital Boardroomの特徴的なポイントを3点ご紹介します。
1. SAP S/4HANAの情報から、企業全体の“今”を可視化
経営会議で必要となる多くの業務データは、SAP S/4HANAからシームレスに取得することができます。SAP S/4HANAには、業務データを可視化するためのデータ定義が雛形として事前に定義されているため、すぐに必要な情報を取得することができます。加えてSAP HANAのインメモリテクノロジにより、大量の明細データを高速に集計・分析し、ライブデータを確認しながら、現在のファクトに基づく意思決定を可能にします。
さらに、システム間のデータ連携だけではなく、マニュアル処理によるデータの入力や修正へも対応しているため、経営会議で必要となる各拠点から収集した予算・計画データも、同様に可視化することが可能です。
これにより、会議のためのデータ収集という作業を排除し、いつでも正しい情報をリアルタイムに確認できます。
2. 直感的で一目瞭然のインタラクティブなインターフェース
SAP Digital Boardroomは、タッチディスプレイに対応しており、直接手でグラフに触れることで、そのデータの詳細を確認することができます。またマルチスクリーン環境で利用することができ、メインスクリーンでサマリを表示し、別のスクリーン上には、シミュレーション結果を表示するなど、議題に関連する情報をひと目で確認することが可能です。
また、豊富なグラフテンプレートを元に、簡単な操作でダッシュボードを作成できます。新たなグラフの追加や、表示するKPIの変更など、IT部門に依頼する必要なく、担当者レベルで対応することが可能です。
3. 会議参加者による双方向のディスカッションをサポート
今までの一方向の報告プレゼンテーションから、共通データに基づく双方向のディスカッションを可能にします。
リモート環境にあっても、同一の画面をモバイル端末から確認でき、オンライン会議機能により、ドリルダウンなどの操作時にも、全く同じ画面を共有することが可能です。
さらに、チャット機能や、画面上に手書きの注釈を記載でき、その場にいないメンバーとのインタラクティブなディスカッションを可能にします。
これらの特徴的な機能により、意思決定者はその場であらゆる情報を確認でき、シミュレーションによりリスクを回避し、会議の参加者共通認識のもと、ためらうことなく適切な経営判断を行うことができます。
まとめ
SAPジャパン半蔵門オフィスに、このSAP Digital Boardroomを体感頂ける3画面ディスプレイを用意しました。
半蔵門オフィスへご来社頂いた際には、実際に画面に触り、新しい会議の可能性を体感下さい。
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