SAP BusinessObjects Predictive Analyticsによるマーケティング施策事例のご紹介
作成者:瀬尾 直仁 投稿日:2016年11月11日
ビッグデータやモノのインターネット(IoT)の活用が身近な話題となる中、蓄積したデータから傾向やパターンを明らかにし、ビジネスに役立てる予測分析モデルに注目が集まっています。2016年9月14日に開催したセミナー「SAP Predictive Day」では、予測分析の領域で大変注目されている“機械学習”エンジンを搭載したSAP BusinessObjects Predictive Analyticsソリューションについて取り上げました。大きな成果を挙げているお客様の事例を中心にご紹介し、大変ご好評をいただきましたセッションの内容を振り返ります。
目指す世界はビジネスバリューを最大化すること
予測分析の領域で機械学習が大変注目を浴びていますが、ベースとなるデータマイニング自体は古くからあるもので、決して珍しいものではありません。ただし、従来のデータマイニングは「人」のノウハウに依存してしまう傾向にあり、属人化が避けられませんでした。それに対して機械学習エンジンを搭載したSAP BusinessObjects Predictive Analyticsは、人のノウハウが注入された「機械」を「人」が使う、つまり属人化を解消した予測分析ソリューションです。これによって大量の分析モデルを短時間に作成し、プロモーションやキャンペーンなどに活用することが可能になります。機械学習で実現できる代表例として、分類、発生確率の予測、セグメンテーション、インフルエンサー分析、関連性分析、予測値計算が挙げられます。
SAP BusinessObjects Predictive Analyticsが目指す世界は、「ビジネスバリューを最大化する」ことにあります。通常の解析モデルでデータ加工とモデル構築に何カ月もかけ、数カ月後にアクションを実行したとしても、すでにビジネスチャンスを逃しているかもしれません。しかし、SAP BusinessObjects Predictive Analyticsならわずか数日でアクションまで移行できるスピードがあるため、ビジネスバリューは飛躍的に高まります。
従来のデータマイニングツールでは越えられない壁には、「量、継続性、ビッグデータ対応」の3つがあります。従来のツールでは分析モデルが量産できなかったため、一部の分析モデルの実装に留まっていました。モデルの精度も分析者の力量に左右され、個人の嗜好に偏る傾向にあります。さらに、導入チームが解散すればせっかく作ったモデルも放置されることになり、継続利用が難しくなっていました。結果として新しいデータや市場の変化に対応できず、即時対応や精度の向上は見込めないことになります。
こうした課題を解決するのが、世界初の商用機械学習エンジン(特許取得済み)を搭載したSAP BusinessObjects Predictive Analyticsです。分析の自動化によって大量の施策への適用を実現するもので、分析人材への依存が下がることで社内データの活用のボトルネックを解消し、分析の継続性を確保することが可能になります。10年以上にわたって提供されてきた実績のあるソリューションで、現在は世界で600社以上のお客様に採用されています。
SAP BusinessObjects Predictive Analyticsの導入により、工数削減、既存業務の高度化、従来不可能であったことが可能になるなど、さまざまな効果が見込めます。例えば、ポイントカード事業を中心に現在さまざまな分野で事業を広く展開されているカルチュア・コンビニエンス・クラブ様の場合、データ定義と入力のみ行えばあとは自動で分析モデルが構築できるようになり、データアナリストの負荷が大幅に削減されています。通信販売事業のディノス・セシール様は、400万の会員顧客1人ひとりに対して購買確率を付与し、その数値に基づいてカタログの発行数を決定しています。また、オンライン通販のMonotaRO様では、毎営業日に実施するキャンペーンのために年間数百以上のモデルを作成して活用されており、これは手作業では到底不可能なモデル数です。
データ準備作業からモデル構築・検証作業まですべてを自動化
伝統的なデータマイニングのアプローチでは、データ準備作業を手作業で行い、モデル構築・検証もすべて手作業で実行します。分析モデルは複数構築して検証を行うため、すべてが終わるまでには数週間から数カ月かかるのが普通でした。
一方、SAP BusinessObjects Predictive Analyticsのアプローチは、データ準備作業もモデル構築・検証作業もすべて自動化されており、データマイングプロセスの手動設定はほとんど必要ありません。数時間から1日あれば分析は終了できます。
さらにSAP BusinessObjects Predictive Analyticsは、統計の初心者向けと、高度なデータサイエンティスト向けの2つのモジュールで構成され、自由に選んで使うことができます。初心者向けの「Automated Analytics」は使うデータセットを選び、分析モデルを作成する機械学習を用いたシンプルな使い方です。自動モデル評価による最適アルゴリズムが組み込まれているため、特別な統計の知識は必要ありません。それに対して、データサイエンティスト向けの「Expert Analytics」は、Rを使ったカスタムコンポーネントなど、4,000以上のオープン化されたアルゴリズムを駆使してよりカスタマイズされた複雑な分析モデルを作る機能も提供しています。
機械学習によるモデルの自動作成機能の基本的なステップは、データ分割を行い、複数のモデルを生成することから始まります。次に、評価したいデータに対して最適なモデルを適用してテストを実行し、最終的なモデルを確認します。
モデルの評価は、『リスク』と『モデルの複雑性』が相関関係にあり、モデルの精度を高くするほどリスクは小さくなりますが、汎用性が落ちることになります。そのため、モデルの質と頑健性の最適な点を見つけるSRM(構造的リスク最小化)原理をベースにしたモデリングにより、トータルリスクが最小になるところをベストモデルの形で提供します。
続けて、クレジットカードの利用履歴を例に、具体的なデータセットとモデル化のデモンストレーションを実行しました。通常のデータマイニングソリューションは分析結果に対して知見を導き出すまでですが、SAP BusinessObjects Predictive Analyticsはソースコードの生成機能があり、作成したモデルからCやJava、SQLなどのコードを生成してシステムに組み込むことも可能です。そこから商品オファー、解約防止、不正、リスクの検知、需給予測など業務に即座に適用することができます。分析モデルの精度が低下すると誤差をトリガーとする再学習機能も備えており、最適なモデルが維持されます。
分析によるビジネスモデルの強化
最後に、SAP BusinessObjects Predictive Analyticsを活用して成果を挙げている代表的なお客様を紹介します。
まず、全国で約3,000のファミリーレストランを展開するすかいらーくグループ様です。同グループでは、POSデータ、レシートの詳細情報など100億のデータセットを用いて、売れ筋商品、店舗、地域、顧客属性、来店時間などを分析し、それらをもとにプロモーションを実施したところ、従来の分析時間を80%削減する一方でクーポンを利用した来客反応率も3倍に増加し、集客効率は飛躍的に高まりました。
ロシア国内150都市に350店舗を展開する家電量販店Eldorado(エルドラド)は、20の製品カテゴリーの管理者がそれぞれ異なるアプローチで製品別売上予測や店舗別売上予測をモデル化していましたが、高い精度が得られませんでした。そこで製品カテゴリーを450に細分化してモデルを作成し、SAP BusinessObjects Predictive Analyticsを活用してSKU単位別、エリア別の需要予測を実施しています。その結果、高度な需要予測が可能になり、短期の需要変動にも対応ができるようになりました。
あるアメリカの重機メーカーでは、トラクターの信頼性分析および故障予防に活用されています。車両に取り付けたセンサーから、エンジン温度や油圧、回転数などを取得してSAP BusinessObjects Predictive Analyticsで相関分析を行い、原因因子や先行指標を特定しています。今後も収益性の向上や需要予測などに活用し、最終的には生産、保守、メンテナンス、エンジニアリングなどあらゆる部門の最適化に活用することを予定しています。
ここでご紹介した以外にも、さまざまな活用例があります。興味がある方はお気軽にお問い合わせください。
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~イベント開催のお知らせ~
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■開催日:2016年11月29日(火)14:00-18:00 (受付開始 13:30)
■会場:ナレッジキャピタル カンファレンスルーム Tower 8F
(〒530-0011 大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪タワーC 8F)
■対象:SAPユーザー企業・組織の情報システム、経営企画、事業部門の情報活用を推進する責任者の方々
■参加費:無料(事前登録制)
■主催:SAPジャパン株式会社
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