次世代データウェアハウスソリューション『SAP BW/4HANA』のご紹介
作成者:渡辺 清英 投稿日:2016年12月8日
SAPジャパンの渡辺です。
今回のブログでは、9月にリリースされました新しいデータウェアハウスソリューションである SAP BW/4HANA について、4つの特徴を中心に既存のSAP Business Warehouse (BW)環境からの移行方法などをご紹介します。
1.SAP Business Warehouse(BW)進化の歴史 
1990年代半ばには日本国内においてもERPの導入が本格化し、ERPに蓄積されたデータの分析・有効活用が求められるようになりました。
そのような背景から、ERPデータを活用した経営指標の可視化、多次元分析などを目的に最初のSAP Business Warehouse(以降、BW)が1998年にリリースされました。
その後、複数のバージョンに渡り機能拡張が続けられてきましたが、2011年にインメモリDBであるSAP HANAがリリースされたことにより、アーキテクチャ上の大きな転換点を迎えます。BWをSAP HANA上で稼働させることによって、クエリは圧倒的に高速化、データロードの処理性能も向上し、また、物理キューブを必要としないシンプルなモデリングも可能になりました。
そして2016年9月に、次世代データウェアハウスソリューション『SAP BW/4HANA』へと進化しました。
このBWにおける進化は、ERPにおいてSAP HANA上で稼働するSAP Business Suite on SAP HANA(SoH)からSAP HANAを前提に再設計されたSAP S/4HANAへ進化したのと同様のデザインコンセプトがBWにも適用されたものといえます。
BWは、2016年9月時点でグローバルで16,000社以上のお客様にご導入いただいております。
2.次世代データウェアハウスに求められる要件 
ソーシャルネットワークやクラウドコンピューティングが浸透し、あらゆる機器がインターネットに接続され刻一刻と大量のデータを生成する時代に求められる、次世代データウェアハウスとはどのようなものでしょうか?
まずは大量のデータをスピーディに効率よく管理するためのデータ管理基盤が必要となりますが、SAP HANA platformがそこに位置付けられます。インメモリDBであるSAP HANAによって、データの複製を極力排除したシンプルなビューを中核とした論理データウェアハウスが可能になります。
また、SAP HANA platform が持つ各種データ統合機能により、IoT機器からの得られる時系列データのストリーム分析やデータレイク(Hadoopなど)との統合が可能になります。 Hadoop連携についてご興味ある方は、SAP HANA Vora も参照してください。
上図のSAP S/4HANA のオペレーショナルレポーティングについてご興味のある方は、SAP S/4HANA embedded analytics を構成する要素技術を理解しよう!を参照してください。
3.SAP BW/4HANAの4つの特徴
SAP BW/4HANAのデザインコンセプトは、シンプル、オープン、先進のインターフェイス、そしてハイパフォーマンスの4つを特徴としています。ここからは、これらの特徴を順にご紹介していきます。
(1)シンプル 上図のように、従来のBWにおいては10種類のデータモデリング用のオブジェクトがあり様々な機能を実現していましたが、その種類の多さから難解で複雑なデータモデリングになりがちでした。
そこでSAP BW/4HANAでは、機能性を落とすことなくデータモデリング用のオブジェクトの種類を4つにまで削減しました。 これにより下図のような、極力冗長性を排除したシンプルなデータ構造に基づく柔軟なデータモデリングが可能になります。
(2)オープン 従来のBWでは専用の分析・レポーティングツールセットであるSAP Business Explorer(BEx)を前提としたSAP固有の接続方式(BICS)が中心だったため、対応している外部ツールは限られていました。
そこでSAP BW/4HANAでは、データへのSQLアクセスを可能にするために、BWのオブジェクトからSAP HANA の Calculation View を自動生成する機能を提供しています。これにより、SQLアクセスが可能な幅広いフロントエンドツールを利用する事ができます。
(3)先進のインターフェイス 従来のBWでは、データモデリングやモニタリングなどほとんどの作業をSAPGUIで行っていました。SAP BW/4HANAではHANA Studioに統合された使い勝手の良いモデリングツールやHTML5ベースの管理者向けモニタリングツールなどを提供しています。
注意点としては、SAP BW/4HANAではBExはサポートされません。SAP BusinessObjects BIなどの別途BIツールが必要です。
(4)ハイパフォーマンス インメモリDBであるSAP HANAをデータ管理基盤とすることにより、クエリやデータロードは高速化され、集約、ロールアップ、統計更新などの作業が不要になります。 また、BWの機能やロジック(OLAPエンジン、変換ロジック、計画機能)のSAP HANAへのプッシュダウンによるさらなるパフォーマンス向上も図られています。
さらに、HAP(HANA Analysis Process)を経由して、SAP HANAライブラリ(AFL)、R、カスタムHANAプロシージャを活用した高度な分析(予測分析、テキスト分析、データマイニング、機械学習など)も可能になります。
4.既存BWからの移行方法 
SAP BW/4HANAへの移行方法として上図には4つ記載がありますが、ここでは既存BW環境(BW on AnyDB)からの移行方法を簡単にご紹介します。
最初のステップは、SUM/DMOなどの移行ツールを使用したBWのアップグレードと既存DBからSAP HANAへのマイグレーションになります。これにより、所謂 BW on HANAの状態になります。
次のステップは、従来BWの古いオブジェクトで構成されるデータフローから新しいオブジェクトで構成されるデータフローへのマイグレーション*になります。これは、SAP BW/4HANAではSAP HANAに最適化された新しいオブジェクトしか利用できないためです。
*マイグレーションツールを提供していますが、現時点で変換対象としてサポートしていないオブジェクトがあるため、一部マニュアル対応が必要な場合があります。
そして最後に、SAP BW/4HANAへのアップデートを実施して完了します。
まとめ
今回のブログでは、次世代データウェアハウス『SAP BW/4HANA』について、4つの特徴を中心に既存BWからの移行方法についてご紹介しました。ここまでブログを読んでみて、もっとよく知りたい、体験版で実際にさわってみたい、と思われた方は下のリンクからサイトへアクセスしてみてください。
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