人間とシステムの関わり方を変革するべく、さらに進化を遂げるSAP Fiori 2.0とは?


こんにちは。SAPジャパンの濱田と申します。2016年10月末を持って、SAPのコアソリューションであるSAP S/4HANAの最新バージョン1610がリリースされましたが、それに伴いUIであるSAP Fioriも機能面での強化が図られたSAP Fiori 2.0として生まれ変わりました(SAP Fiori2.0は厳密には、Front-end Server 3.0を導入し、かつSAPUI5 1.40用の新しいデザインガイドラインに沿ってデザインされたUIを指し、SAP Fiori2.0という製品があるわけではありません)。今回はそのSAP Fiori2.0の概要についてお伝えします。

なお、SAP Fiori(1.0)についてはこちらの記事もご参考ください。

SAPは使いづらい?!デジタルネイティブが本音で語る 進化したSAPのUIとは?
速さとシンプル化だけではない。SAP S/4HANAの描く未来の業務のあり方を、SAP Fioriを通じて読み解く。

 

基本思想:

図1:イノベーションの3つの輪

図1:イノベーションの3つの輪

Innovationの3つの輪、という考え方をご存知でしょうか?図のように、イノベーションにはBusiness(採算可能性)、Technology(技術的実現可能性)、Human Values(人間にとっての価値)の3つを満たす必要があるといわれています。例えば、世界初の音速旅客機であるコンコルドは、技術的に実現可能かつ乗客にとっての利便性も非常に高く、TechnologyとHuman Valuesは満たしていたものの、採算性が取れず全機が退役してしまいました。最近ではIoTが注目を集めている一方で、なかなか上手くいくケースが増えていないのは、Human Valuesをどう出していくが難しいというのも一つの原因ではないでしょうか?そして業務用ソフトウェアの業界でいうと、昔からTechnologyやBusinessに重点を置き気味で、Human Valuesを軽視してきた、あるいは経済的・技術的にそうせざるを得なかったということがあり、必ずしもユーザーにとって使いやすいものではありませんでした。システム導入プロジェクトが失敗した原因のうち20%は、ユーザーのシステム利用の仕方に起因していたという調査もあります。

しかし今日では、テクノロジーは昔より確実に進歩しており、ソフトウェアのUIの表現の幅、つまり人間とソフトウェアとのかかわり方のバリエーションも確実に多様になっています。

SAP Fioriはその最新の技術をいかにHuman Valueへと落とし込み、システムとユーザーとの関係にイノベーションを起こすか、ということを第一に考えてデザインされた、SAP 製品の標準ユーザーインターフェースとなります。2.0以前からある部分については別のブログ(参照リンク貼る)での紹介に譲るとして、今回は新たに付け加えられた要素のうち代表的な3つのものについてご紹介したいと思います。

 

ホーム画面の3つの領域(Me Area, Workspace, Notification Area)

図2:Fiori2.0

図2:SAP Fiori2.0

SAP Fiori2.0のホーム画面は、大きく3つの領域に分かれており、両端を選択すると、そのエリアが拡大されて表示されます。

Me Areaでは、ユーザーの顔写真やオンライン状況が表示されるのに加え、各種画面設定や、使用できるアプリケーションの検索、最近利用されたアプリケーションへのアクセスができることにより、システムの直感的な操作を実現します。

Workspaceに並べられたタイルは、各アプリケーションへのアクセスを提供します。また、タイル上にそのアプリケーションに関係のあるKPIや、残タスクの数などをリアルタイムで表示することによって、ビジネス遂行上の異常や変化を即座に検知し、何を行わなければならないのか、どのアプリケーションを開けばよいかを直感的に把握することができます。

Notification Areaでは、他の同僚からの承認申請(ワークフロー)や、業務、ディスカッションの依頼などが表示され、その時に行っている業務や操作の妨げになることなく、対処の必要な重要なタスクを管理する(頭の中で整理して把握しておく)ことができます。Notificationの内容に関して他の同僚とコミュニケーションをとる必要がある場合には、後述するCo-pilotを活用します。

 

Overview Pages

図3:Overview Pages①

図3:Overview Pages①

Overview Pageは、タイルの並んだホーム画面と各アプリケーション画面の中間に存在するような画面で、ある一連の業務の遂行に必要なアプリケーションや情報を、1画面に並べて表示するページです。実際の業務では、複数のデータを参照し、また複数のアプリケーションを利用して一連の業務を行うことも少なくありません。それら一連の業務の遂行に必要なアプリケーションのセットを1画面に配置し効率のよい業務遂行を実現するのがOverview Pageです。

開発に際しては、カード(Overview Pageではタイル状のものをカードと呼びます)のテンプレートが複数あるため、それとCDSビュー(DBのビュー)を組み合わせ、基本的にはノーコーディングでカードの作成を行います。

図4:Overview Pages②

図4:Overview Pages②

Co-pilot

Co-pilotは副操縦士を意味し、ユーザーが業務を遂行することをあらゆる面からサポートするベストパートナーとしての役割を果たします。

例えば前段で触れた、他の同僚とのコミュニケーションツールとしてチャット機能やスクリーンショットを共有する機能も持っています。従来のシステムでは、電話や直接の会話など人間系で別途処理されていたものを、業務システムという1つの同じツール内で解決しようという試みです。

図5:Copilot①

図5:Copilot①

 

特筆すべきは、単に同僚間でコミュニケーションを取るだけでなく、ユーザーとシステムとのコミュニケーションツールとしての利用も今後想定されていることです。いわゆるボットのような形で、システムに対する操作や、トランザクションの実行、必要な情報やグラフの取得まで、文字や音声により指示を出し、それに人工知能が応えていきます。下図はIoTのセンサーやボットと連携して業務をこなしていくシナリオ例です。

なお、Co-pilotは現在ベータ版として提供されており、本格的に提供が開始されるのは2017年以降となります。

図6:CopilotとIoT①

図6:CopilotとIoT①

図7:CopilotとIoT②

図7:CopilotとIoT②

 

一通りSAP Fiori2.0のハイライトをご紹介しましたが、よりイメージを明確にして頂くために、こちらの動画をご覧ください。英語になりますが、これまで説明された部分が実際の画面を動かしながら解説されています。

 

 

いかがでしたでしょうか?ここで一旦目を閉じてイメージしてみましょう。これらの機能を活用することで、あなたは今何が起きているのかを一目で直感的に把握し、同一画面上で他の同僚/関係者と(さらにゆくゆくはシステム自体とも会話で)コミュニケーションをとり、シンプルかつ効率的に業務を遂行していきます。新たな人間とシステムとの関わり方がイメージできましたか?

 

最後に:アップグレードに関する注意事項

Fiori2.0はSAP S/4HANA1610に対して適用されるもので、1610を新規導入される場合には何ら問題はありませんが、1511以前のSAP S/4HANAのバージョンについてはそのままでは利用できず、図のようにバックエンドとフロントエンドサーバ双方のアップグレードが必要となるのでご注意ください。

図8:Fiori2.0へのアップグレード

図8:SAP Fiori2.0へのアップグレード

 

Overview Pagesについての詳細はこちら(英語)

https://blogs.sap.com/2016/08/25/sap-fiori-20-the-ideal-overview/

SAP Fiori2.0の詳細についてはこちら:SAP Fiori2.0 Welcome Package(英語)

https://experience.sap.com/documents/sap-fiori-2-0-welcome-pack-master-document.pdf

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