SAPセミナー【SAP HR Connect 守りの人事から攻めの人事へ】レポート2


グローバルに活躍するための人財 ~“強さ”と“しなやかさ”の育成~

こんにちは、SAPジャパンの藤田園子です。SAP HR Connectの2つ目の事例講演では、「グローバルに活躍するための人財 ~“強さ”と“しなやかさ”の育成~」と題してTOTO株式会社 上席執行役員 人財本部長の平野氏貞(ひらの うじさだ)氏が登壇されました。グローバルで成長する企業に必要な“強さ”と“しなやかさ”を両立するためにTOTOが取り組んでいる、「理念経営」と「ダイバーシティ経営」について紹介します。280233_low_jpg_srgb

「海外住設の強化」と「理念・技術の継承」の両立が課題に

TOTO株式会社は1917年(大正6年)に北九州市の小倉で創業しました。2016年3月時点で連結売上高5678億円、従業員数2万8100名(連結)の従業員を抱える同社は、2017年に創業100年を迎えるにあたり、「真のグローバル企業」を目指して組織改革と人財育成に取り組んでいます。

衛生陶器(便器など)や温水洗浄便座(ウォシュレット)、洗面台や浴槽などを国内外で製造・販売するTOTOですが、事業セグメント別の売上構成を見ると約7割が「国内住設」事業によるもので、「海外住設」事業の売上は26%に過ぎません。

 

一方で利益のうち約半分が「海外住設」事業によるもので、利益構造のアンバランスさとともに海外市場での同社製品の普及が課題となっています。

 

「すでに日本では生活文化のひとつとなったウォシュレットも、まだまだ海外では普及していません。中国をはじめ東南アジア、北・中南米、欧州など世界18カ国、計36の海外拠点で製造と販売を行っていますが、販売網の整備も充分とは言えません。今後は欧州や南米、アフリカといった地域への普及が大きな課題で、いかにプロモーションを展開するかが問われてきます」(平野氏)

グローバルに事業を展開し企業としての成長を加速させるうえでは、イノベーションを起こすことと、そのための多様な人材を採用し適切なマネジメントを続けることが求められます。

TOTOも海外進出を決めた当初は、「自社の原点となる考え方」や「暗黙知として共有されてきた技術」を伝え、グローバルに浸透させていけるのかという不安があったそうです。グローバル市場で持続的に成長させていくために何が必要か。TOTOは「経営判断・意思決定のよりどころとなる企業理念の共有が不可欠」と考え、2007年にグループ共有理念と事業活動ビジョンをまとめた理念体系を策定しました。

自社の理念を体現する人財育成がカギに

この理念体系では、グループ共有理念を将来にわたって引き継いでいく『心』とし、事業活動ビジョンをその時代における進むべき方向性を示した『体の動かし方』とすることで、「変えないこと」と「時代に合わせて変えていくこと」を明確に分けています。すべての経営判断・意思決定の拠り所となる理念に直結する『心』の部分は「社是」、「企業理念」「企業行動憲章」の3つで構成されており、その根源には初代社長から次期社長へ受け継がれた言葉があるそうです。

 

「代々の社長に受け継がれてきた『良品の供給・需要家の満足が掴むべき実体です。此の実体を握り得れば利益・報酬として影が映ります。』という言葉を基に、社是『愛業至誠』や企業理念、企業行動憲章が作られました。次の100年、TOTOブランドをグローバルに根付かせるためには、TOTOが大切にしている考え方を共有する理念経営を推し進めることが何よりも重要だと考えています。そのうえで求められるのが、国籍に関わらずTOTOの理念を体現し続けられる、倫理観の備わった人財を育成することです」(平野氏)

 

TOTOでは企業理念を各国の言葉に翻訳し全世界の拠点で毎朝の朝礼時に唱和しているほか、創業者の想いや考え方を紹介するビデオを作成したり、現在の社長からのメッセージをムービーメールで配信したりもしているそうです。加えて「日本人出向者」や現地で採用した「海外リージョン経営幹部」には社長自らが現地に赴き講演を行うほか、対話の場を設けることで理念の共有・醸成を図っています。平野氏は「グループ全体のトップだけでなく海外の営業所やグループ会社・関連会社の代表や出向社員も同じように理念を重視し、その意味を説明できることが『TOTOは本当にこの理念を大事にしているんだな』という現地採用の従業員たちの納得感につながります」と語りました。

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トップ自らが動くことで、多様性を受け入れる土壌をつくる

グローバル市場で自社が目指す方向性を見失わないためには目的意識の共有が望まれます。しかし、同質な知識や経験だけではイノベーションはなかなか起きないものです。TOTOでは「異質なものから出てくる発想や異なるものの見方から生まれる知恵こそが、新たな革新を生む」といった考え方のもと、異質と異質がぶつかり合える、多様性と柔軟性に富んだ組織づくりを進めています。

 

「当社の商品は、『まいにち必ず使うもの』であり『みんなが必ず使うもの』です。一人でも多くの人が、より使いやすく、快適であるためには多様な生活者の視点が欠かせません。

そのために当社では、女性社員の活躍推進や障がい者の雇用促進を行っています。また、こうした取り組みは採用段階でも意識して行っており、例えば国公立と私立の割合が偏らず、かつ特定の大学や学部からの採用が多くならないように心掛けて採用活動を行うようにしています」(平野氏)

 

同社では女性社員の活躍推進には特に力を入れています。2005年に社長直轄の「きらめき推進室」を発足。2010年度からは「ダイバーシティ推進グループ」と改称し、多様な働き方を推進するだけでなく女性視点を活かしたものづくりも積極的に行っています。例えば、女性が使いやすい洗面スペース「New Lavatory Space」の商品企画や水道水を電解し除菌効果を加えた「きれいな除菌水」の開発は同社の女性社員が行ったものです。平野氏はダイバーシティ経営を推し進めるうえでは「トップによるコミットメントが非常に重要」と強調します。ともすると、きれいごととして捉えられがちなダイバーシティも、経営者自らがその重要性をくり返し説明することで新たな価値観を受け入れる組織風土が醸成されるのです。

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いかがでしたか?

トップ自ら、企業理念浸透やダイバーシティ推進に取り組まれているTOTOの事例をご紹介しました。次回は、同イベントで行われたパネルディスカッションの内容をお届けします。

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