SAP HANAに触れてみよう!その2:SAP HANA 2.0, express edition + 各種ツール類のセットアップのご紹介


従来、SAP HANAはそのパフォーマンスを最大限に発揮するために、最適化された認定ハードウエアと組み合わせたアプライアンスモデルとしてご提供していましたが、9月にLas Vegasで開催されたTechEd にて用途の拡大と、開発者用の環境構築の敷居を下げることを目的に、お客様のお手元のハードウエアでご利用いただけるSAP HANA, express editionのご提供の開始が発表されました。このニュースから時をおかずに、11月にバルセロナで開催されたTechEdでは、SAP HANAのバージョン2 「 SAP HANA 2 」のリリースが発表されました。これにともない、リリースされておりましたSAP HANA, express editionのバージョンも2へと更新されました。先に公開いたしましたブログでSAP HANAバージョン1のexpress editionのインストールに関してご紹介いたしましたが、ここではSAP HANA 2に更新されたexpress editionのインストールに際しての前回との差分と、アプリケーション同梱パッケージで提供される、各種のツールの設定方法についてご紹介いたします。

1.SAP HANA, express edition  バージョン1 とバージョン2 の手順の違い

SAP HANA, express editionの専用サイトはバージョン1から変更はありません。またこのトップページにはバージョンに関する記述はありませんが、ページを進めるとバージョン2であることが明示されます。

hana2_1

手順に関してもおおむねバージョン1と変更はありませんので、こちらのブログをご参考に手順を進めてください。なお、本ブログでは、前回と同様Virtual Machine imageを利用した環境について取り上げます。

バージョン1からの重要な変更点は以下になります。

  • インスタンス番号が 00 から 90 に変更
  • 従来のテナントデータベースは、リソースの低減を目的に非活性化

また、提供される仮想環境上のOSはSUSE Linux Enterprise Server (SLES) for SAP Applications 12 SP1 、SAP HANA2.0 はあらかじめコンフィグレーションされ、仮想環境の起動とともにSAP HANA2.0も起動するよう設定されています。

インストールに必要なソフトウエア、ハードウエア、そして仮想環境に求められる要件は、前回のブログとほぼ共通ですが、メモリのみ推奨値が増えています。

Software

・JRE 8 – Download Manager のために JRE 8 以降が必要になります。Windows、LinuxでDownload Managerを使用される場合は、64Bit 版JREが必要になります。プラットフォームに依存しないDownload Managerを御利用いただく場合、 32Bitもしくは 64bit JREをご利用いただく事が出来ます。

Hardware

・RAM – 16 GB 以上のRAM  / 24GB 以上を推奨
HDD – 120 GB 以上のハードディスクを推奨
Cores – 2 コア (4 コア以上を推奨).

仮想環境

・VMware Player 7.1
・VMware Workstation Pro 12.1
・VMware Fusion or VMware Fusion Pro 8.x
・Oracle VirtualBox

ダウンロードの手順自体も前回と同様ですが、ダウンロード対象となるパッケージが若干変更になっています。hana2

・Getting Started with SAP HANA, express edition (Virtual Machine Method)
・Server only virtual machine
・Server + applications virtual machine
・Clients
・Text analysis files for additional languages

前回の構成に加えて、Clientsというパッケージが追加されています。これはSAP HANAの開発に際してクライアントPCからSAP HANA 2にアクセスするための4つのパッケージが含まれています。このClientsのインストールに関してはこちらをご参照ください(英語)。

  1. Linux64Bit用の SAP HANAクライアントパッケージ、ドライバ、必要なライセンスを含みます。
  2.  Windows64bit用の SAP HANAクライアントパッケージ、ドライバ、必要なライセンスを含みます。
  3.  SAP HANA XS advancedランタイム環境へのアクセスと制御のためのLinux用コマンドラインツール
  4.  SAP HANA XS advancedランタイム環境へのアクセスと制御のためのWindows用コマンドラインツール

それ以外のパッケージも更新されており、特に Server + applications virtual machine モデルのパッケージには XS Advanced、Web IDE、 SAP HANA Cockpit、そしてSAP HANA 2の新しいツールであるSAP Enterprise Architecture Designerが含まれています。今回はこちらのパッケージのインストールを取り上げます。なお、VMの起動までは前回の Server only のモデルと違いはありません(「3.仮想環境でのSAP HANA, express edition の起動」の手順まで)。

2. SAP HANA 2.0, express editionの起動

Server + applications virtual machine モデルのパッケージ(ダウンロードファイル名: hxexsa.ova)をVMにインポートし、VMを起動できたら、前回ブログの手順 「4.SAP HANA, express editionを利用してみる」に進みますが、ここから少しだけ手順に変更があります。コマンドラインで利用する際には指定していなかったインスタンス番号 ( 90 ) を指定する必要があります。具体的なコマンドを示します。

hdbsql -i 90 -u SYSTEM -d SystemDB -p HXEHana1

また、Server + applications virtual machine モデルのパッケージで追加されているユーザ(XSA_ADMINXSA_DEV)がありますので、SYSTEMユーザと同様初期パスワードを任意のパスワードに変更してください。

hdbsql -i 90 -d SystemDB -u XSA_ADMIN -p HXEHana1  (ログイン後パスワード変更)

hdbsql -i 90 -d SystemDB -u XSA_DEV -p HXEHana1  (ログイン後パスワード変更)

ここまでで、前回のブログをご参照いただきながらすすめていただく手順は終了です。以降は新たにSAP HANA 2.0, express editionをご利用いただく上での手順に進みます。

3. SAP HANAクライアントのネットワーク設定

今回ご説明しているSAP HANA 2.0, express editionはOSを問わずVM環境でご利用いただくことができますが、VM環境自体にWindow Systemを起動させることはできません。従いましてGUIを持つSAP HANA Studioや、ここでご紹介するWeb ベースのWeb IDE、 SAP HANA Cockpit、SAP Enterprise Architecture Designerといったツール類はVMとは別のOS環境上で動作させることになります。最もシンプルな構成は SAP HANA 2.0, express editionを稼働させているVMのベースOSを利用する構成となると思います。このベースOSにWindowsを使用している前提で以下の説明をさせていただきます。なお、このベースOS上のWindowsで稼働させるツール類を、以降HANAクライアントと称します。

SAP HANAクライアントが SAP HANA 2.0, express editionに接続するために、ベースOSのHOSTS情報を変更します。SAP HANA 2.0, express editionが稼働するVM環境で、以下のコマンドを使用してネットワーク情報を取得します。

/sbin/ifconfig

次の画面イメージの例ではVM環境のIPアドレスが「172.25.86.13」であることが示されています。ip

WindowsOSの場合、 \Windows\System32\drivers\etc. フォルダにHOSTSファイルがあります。管理者権限を持つ notepad 、もしくはテキストエディタにてHOSTSファイルに以下のようにVM環境のIPアドレスを追記します。

hosts

4. SAP HANA XS Advance、Web IDE、SAP HANA Cockpit、XSA Admin による接続確認

SAP HANAにはデジタルビジネスを支える統合プラットフォーム環境を提供するために、SAP HANA XSというアプリケーションサーバ機能を持っています。SAP HANA バージョン1のSPS11より、このSAP HANA XSはJAVA Script Engineが、従来のMOZILLA製 SpiderMonkey から google社製の V8 に変更されてパフォーマンスの向上が図られ、SAP HANA XS Advance (XSA) となりました。また、開発環境/運用管理面では統合開発環境であるeclipsベースのクライアントツール、SAP HANA Studio が主役でしたが、ご利用いただく環境をより広範囲に広げるために拡張性のあるWebベースの統合開発ツールとしてWeb IDE、SAP HANA Cockpitの提供も開始しています。 SAP HANA 2.0, express edition の Server + applications virtual machine パッケージには、これらのツールがすぐに利用できるように設定されています。

4-1 SAP HANA XSAの起動確認

それではSAP HANA XSA が稼働している事を確認してみます。ブラウザーを起動し、以下のURLを入力し、以下の画面が表示できれば正常に起動していることを確認することができます。

http://hxehost:8090

 xsengine

次に、SAP HANA 2.0, express editionを稼働させているVMに戻り、プロンプトに以下を入力してHANA XSAにログインします。パスワードは「2. SAP HANA 2.0, express editionの起動」で変更したものを入力してください。

xs login -u XSA_ADMIN -p <password> -s SAP

API endpoint の項目に  https://hxehost:39030. が表示されれば SAP HANA XSA のインストールは正常です。 続いて SAP HANA XSAアプリケーションをリストするために以下を入力します。

xs apps

4-2 Web IDEへのログイン

アプリケーションのリストの中から webide の行を確認してください。 ステイタス表示のSTARTED と、インスタンス表示が 1/1 となっていることが確認できればWeb IDEが利用可能な状態を示しています。行の最後にあるURLを確認し、そのURLにブラウザからアクセスしてみてください。

xsapps

上記の例の場合

https://hxehost:53075

以下のログインが表示されたら、XSA_DEV と、先に変更したパスワードでログインして下さい。 Web IDEの使い方については、別の機会にゆずります。

xsalogin

4-3 SAP HANA Cockpitへのログイン

Web IDEと同様、SAP HANAアプリケーションのリストの中から cockpit-admin-web-app の行を確認してください。同様の稼働確認をしたうえでURLを確認し、ブラウザからアクセスします。ログインには XSA_ADMIN を使用します。

cockpit

4-4 XSA Adminへのログイン

SAP HANA XSAの各機能を管理するメニュー画面は、リストにある xsa-admin を確認し、そのURLにアクセスしてください。上記のSAP HANA Cockpitでログインした直後であれば、ログインは不要ですが、直接XSA Adminを起動した場合は SAP HANA Cockpit と同様、ログイン時に  XSA_ADMIN を使用してください。

xsaadmin

 

5. SAP Enterprise Architecture Designer の設定

SAP HANA 2 の新機能の一つであるSAP Enterprise Architecture Designer (以降 SAP EA Designer) は、企業における組織、戦略、業務プロセス、データといった様々なメタデータをモデル化するツールです。標準化された表記方法を使用し、企業運営に必要な定義やプロセスをモデル化することで、システムやデータの情報を共有する事が可能になります。

以下の手順でSAP EA Designerのインストールを行います。

SAP HANA 2.0,express edition が起動しているVMの任意のディレクトリ(ログイン直後の /usr/sap/HXE/HDB90 で問題ありません)に、以下のテキストを含むファイルを作成し、ファイル名を firstTime.mtaext として保存します。インデントのスペースや(タブは不可)、- の後にあるスペースに気を付けてください。また、ここでSAP EA Designer用の一時的なパスワードを設定します。このパスワードは初回のログイン時に変更が促されることにご留意ください。

_schema-version: “2.0.0”
ID: com.sap.hana.eadesigner.ext
extends: com.sap.hana.eadesigner
modules:
  – name: eadesigner-backend
    properties:
      ADMIN_PASSWORD: 一時的なパスワード

HANA XSA にログインします。

xs login -a https://<hostname>:39030

パスワードが求められたらXSA_ADMIN用のパスワードを入力します。プロンプトが戻ってきたら、以下のコマンドで SAP EA Designer パッケージをインストールします(1 行で入力してください)。このコマンドが完了するまでに数分かかります。

xs install  /usr/sap/HXE/home/HANA_EXPRESS_20/DATA_UNITS/XSA_CONTENT_10/XSACHANAEAD00_0.zip -e firstTime.mtaext

以下のような表示を伴ってプロンプトが戻りましたらインストールは完了です。

eadesignerinst4

サービスが正常に動作しているか、以下のコマンドで確認します。

xs apps | grep eadesigner

以下の4つのアプリケーションのエントリを確認します。

・eadesigner – SAP EA Designer application
・eadesigner-service – SAP EA Designer Node application
・eadesigner-backend – SAP EA Designer Java application
・eadesigner-db – SAP EA Designer database creation application. このアプリケーションのみ停止しています。

eadesigner の行の一番右にあるURLを確認し、ブラウザからアクセスすると、SAP EA Designerのログイン画面が表示されます。ログインは 「ADMIN」 パスワードは SAP EA Designerのインストール時に作成したファイル firstTime.mtaext に指定した一時的なパスワードを使用します。eadesignerloginjpg

ログインが成功すると、一時的なパスワードの変更が促されるので、指示に従いパスワードを変更すると、SAP EA Designerが起動します。

 

今回のブログによるご紹介は以上になりますが、SAP HANA, express edition の専用サイトではチュートリアルをはじめとしたさまざまな情報を提供しておりますので、併せてご参照ください。

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