SuccessConnect 2016【グローバル経営に寄与する人事の要諦】レポート 2/3


こんにちは。SAPジャパン藤田園子です。2016年11月10日(木)に開催された「SuccessConnect 2016 Tokyo グローバル経営に寄与する人事の要諦」の特別講演2では、「アシックスにおけるグローバル経営に寄与する人事部門の取り組み」の題で株式会社アシックス 執行役員 グローバル人事総務統括部長の馬渕裕次氏が講演を行いました。アシックスが力を入れるグローバル人財の育成と組織の構築、運営を紹介します。

Male runners at start of race, close-up

個人とチームの成長をもたらす5つの方針

株式会社アシックスは、戦後間もない1949年に神戸で創業しました。65年超の時を経て国内外に約50のグループ企業と、7000名以上の従業員を抱える企業となった同社は、さらなる発展を目指して2020年までの中期経営計画「ASICS Growth Plan(AGP)2020」を策定。「売上高7500億円以上」「営業利益率10%以上(年平均成長率12%)」「ROE15%以上」「DTC(直営店および自社運営Eコマースの総称)売上高1500億円以上」という財務目標を達成するためのコア戦略を打ち出しました。

「このうちの一つが、『個人とチームの成長』です。『お客様に期待を上回る価値を届けるため、個人およびチームの能力を高める』というビジョンのもと、5つの方針を定めました」(馬渕氏)

どのような方針を掲げたのでしょうか。まずは、国境を越えたビジネス活動を一段と活発化させることを目的とした「グローバル競争に勝てるプロフェッショナルになる」です。アシックスでは、2015年の海外売上比率が70%以上に達するなど、事業のグローバル化が進んでいることが、1つ目の方針を立てた背景にあったそうです。

さらにグローバルな視点から適材適所の人事を推進していくために、2つ目の方針は「人事システムと働く環境を整え、多様な社員の能力を最大限活かす」にしました。

3つ目は、「外部からの人財登用も積極的に行い、グループ全体で人財の質を高めあう」という方針です。創業地の神戸にある本社を真の意味でのグローバル本社にするため、「グループ全体で人財の質を高めあうとともに、我々が必要としているノウハウや経験などを持っている外部人財の積極採用も考えています」と馬渕氏は言います。

続いての方針は、従業員に会社の発展に貢献する気持ちを備えてもらう狙いで、「企業家精神を持ち、変化や失敗を恐れずに挑戦する」です。「とはいえ、個人の力だけでは限界があることを踏まえ、最後の方針に『チームとして、高い成果にコミットする』を掲げました」(馬渕氏)

 

専門性や企業家精神、理解力を備えた人財求める

アシックスが求めているのは、専門性や企業家精神を持ち、かつ相手を理解し合うことができる「Professional」「Entrepreneurship」「Diversity」の要素を備えた人財だそうです。加えて、「海外売上比率の高さなどを踏まえると、『経営理念、ビジョン、スピリッツを実現できる人財』『AGP2020の課題抽出、解決策の立案・実行ができる人財』『グローバルでコンピテンシーを発揮できる人財』も必要としています」と馬渕氏は明かします。

アシックスの人財プロファイルを見ると、強みは「情報把握力」「成果管理力」「バイタリティ」「執着性」です。対する課題は「戦略的計画力」「創造力」「分析力」「影響力」となっています。アシックスでは、この強みと課題を踏まえた人財開発プログラムをつくっていると馬渕氏は説明します。

「人財開発の取り組みとして、オンボーディングプログラムがあります。優れた人財が本来のパフォーマンスを早期に発揮するためのプログラムを実施しています。これは、各拠点の幹部を中心に本社に集め、アシックスの歴史やアシックススポーツ工学研究所の最先端技術に触れるなど、講義形式ではなくアシックスの企業文化を感じ、理解してもらう研修を実施しています」(馬渕氏)

馬渕氏はもう1つのポイントに、自己啓発とCDP(キャリア開発プログラム)サポートを挙げます。同社の人事評価ではMBO(チーム目標管理)とコンピテンシー評価を運用していましたが、2016年にCDP(能力開発プログラム)を導入しました。これによって評価だけでなく、個々人が自らキャリアパスの道筋を描き、成長できる基礎が整ったと馬渕氏は話します。

人財育成の取り組みでは、「アシックスアカデミー」という選抜型研修もあります。アシックスアカデミーは4つの階層に分かれており、一番下から順に「チーム」、「部門」、「リージョナル」、「グローバル」のリーダー向けのプログラムになっています。例えば中期経営計画に関連した自社の課題を選定したうえで、プロジェクトワークを通じて事業計画を作成・提案したり、社内外のリーダーにインタビューする機会を設けたりしていると馬渕氏は解説します。

 

各拠点の人事責任者と目的共有に努める

アシックスではグローバル人事組織を発展させるため、「人事戦略」を起点に「現状把握」、「GAP分析」、「解決に向けた取り組み」、「施策展開」、「効果・検証」というプロセスをグローバルレベルで展開しています。「プロセスを回すというテクニカルなところに注力する前に、すべての拠点にいる人事スタッフが同じ方向を向いてもらうため、『なぜグローバルレベルでプロセスを展開しているのか』など、目的を共有するように努めています」(馬渕氏)

また、同社は「ダイバーシティ&インクルージョン」などのソフト面での活動を通じて、従業員が互いの違いを活かし、高めあえる環境整備を推進しているそうです。加えて、馬渕氏は「グローバルで人事管理を推進するプラットフォームとしてSAP SuccessFactorsを活用し、各取り組みの進捗の見える化を行っています」と語りました。

馬渕氏は、各拠点と情報共有を図るなど、グローバルで人事担当者との連携強化も図っていると言います。人事評価については、2016年、2017年中に世界共通のテンプレートで運用していく予定だそうです。一方で、各拠点にある程度の裁量も持たせています。「それぞれの強みを活かし、弱点を補完するという形で各拠点のためになる人事でありたい」(馬渕氏)からです。

グローバル人事の取り組みの進捗状況は、「富士山の3合目付近」と馬渕氏は見ています。グローバル人財になるには、海外に出て経験することが何よりも大切。その原動力となる英語などでコミュニケーションをとるためのスキルやマインドセットなどの醸成も行っていくと語っていました。

 

アシックスの人財開発プログラムの全体像

Asics

 

いかがでしたか?海外からのゲストに、日本で行きたいところは?と尋ねると、「オニツカタイガーのお店!」と言われます。海外売上比率70%以上のアシックス様のグローバル人事・人財育成、参考になりました。

次回は、SuccessConnect最終回、「デジタル変革するビジネス業界における人事管理システムのアップデートの重要性」について、レポートします。

また、本セミナーに関して、東洋経済オンラインでもご紹介いただいております。是非ご覧ください。

 

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