SAP S/4HANA 1610 FPS01のリリースにおけるSAP HANA2対応


 

SAPジャパンの山澤です。

SAP S/4HANA 1610(以下 S/4HANA)のFPS01が2017年2月22日にリリースされ、これによりSAP HANA2(以降 HANA2)がデータベースとして対応することになりました。

今回はこのHANA2対応により、S/4HANA において拡張される機能についてご紹介します。

拡張される機能についての説明の前に、Feature Pack Stack(FPS)について簡単に説明します。 S/4HANAのOn-Premise Editionはほぼ一年おきに新規のリリースが提供されております。 現在の最新リリースは1610であり、次期リリースは今年度の後半に出荷が予定されています。

このメジャーリリースの間で、ほぼ4半期毎に新規の機能追加や不具合の修正を提供しているものがFPSとなります。

FPS_schedule

冒頭述べましたように、最新のリリースである1610に対する最新のFPSがFPS01ということになります。(2017年3月時点)

このリリースにおける、基盤系の大きな特徴はそのプラットフォームとしてHANA2に対応したことになります。

S/4HANA 1610 FPS01より、SAPのインメモリデータベースプラットフォームの第2世代であるHANA2のサポートを開始することにより、顧客はデータベースシステムの最新の技術の活用による恩恵を受けることができます。 たとえば、SAP HANAシステムレプリケーションのアクティブ/アクティブ機能により、読み取り専用のワークロードを高可用性クラスタのセカンダリシステムに割り当てることができます。 S/4HANAシステムの複数のSAP Fioriアプリケーションやその他の分析機能においてこれらが有効になってきます。 もう1つの重要な点は、S/4HANAのシステムサイズを拡張する、SAP HANAスケールアウトのサポートです。

Slide1

以降では、これらの特徴・注意点に関して解説をします。

 

HANA システムレプリケーションにおけるアクティブ/アクティブ機能

HANA2では HANAシステムレプリケーション用の新しい操作モードである ”logreplay_readaccess”が導入されています。

これにより、HANA システムレプリケーションクラスタ内のセカンダリシステムへの読み取り専用アクセスが可能になります。

S/4HANAでアクティブ/アクティブを使用するには、HANA2のSPS00が必要です。

 

読み取り専用要求をHANA システムレプリケーションクラスタのセカンダリシステムで使用するには、アプリケーションの変更が必要です。 S/4HANA 1610 FPS01以降、いくつかのSAP Fioriアプリケーションがこの機能を利用するようになっています。また、HANAシステムレプリケーションが”logreplay_readaccess”モードで動作している場合、分析エンジン(ABAPのINAインタフェース)を介してアナリティカルABAP CDSビューを使用するABAPアプリケーションを自動的にセカンダリにリダイレクトすることもできます。

対応アプリケーションではなくても、一般的にHANAシステムレプリケーションセットアップのセカンダリノードのSQLインターフェースに直接接続することが可能です。

Active_Active

継続的なシステムレプリケーション操作と意図したデータアクセスの両方に対応するために、セカンダリへの読み取りアクセスの使用はハードウェアのサイジングの際に別途考慮が必要です。

スケールアウト構成サポート

S/4HANAのシステムサイズを拡張する、SAP HANAスケールアウトがサポートされました。スケールアウトシナリオに関して下記の点にご注意ください。

・ハードウェア構成に関して

構成の検討に際しては、運用上のコストや短所も含めて考慮し経済的に合理的であれば、スケールアップを推奨します。

複数パターンのスケールアウト構成が可能な場合においても、ノードの少ないものを推奨します。

各ノードでは 同一ハードウェア構成を、Powerベースにおける各LPARでは同一ハードウェア上で同一構成を持つ必要があります。

SAP HANAは、MDC(マルチデータベースコンテナ)、MCOS(マルチコンポーネントワンシステム)、MCOD(マルチコンポーネントワンデータベース)などの一つのハードウェア上で複数のアプリケーションを操作するための幅広い技術的可能性を提供しますが、SAP HANAスケールアウトを使用してSAP S/4HANAを運用する具体的なケースに関する推奨事項を以下に示します。

  • スケールアウト(ハードウェア)では1つのSAP HANAインスタンス専用として、複数のSAP HANAデータベースインスタンスが同じハードウェアにインストールされるような、つまりMCOSセットアップを使用しないでください。この推奨の理由は、スケールアップシステムに比べて、スケールアウトシステムのパフォーマンスは、ストレージと内部ネットワークコンポーネントを含むすべてのハードウェアコンポーネントの動作と負荷にさらに大きく依存しているためです。
  • SAP MDCモードでSAP HANAデータベースを運用する場合、1つのテナントデータベースのみで運用します。理由は上記と同じです。
  • 1つのHANAデータベース内(MCOD)または1つのテナントデータベース(MDC)内で複数のSAPアプリケーションを運用しないでください。テーブルグループ化とテーブル分散の方法は、データベース内で単一のSAPアプリケーションを実行する場合向けに設計されています。 1つのデータベース内で複数のアプリケーションを運用する場合、テーブルのグループ化/分散の結果は最適ではありません。

・ データ配置に関して

大量のデータを生成する可能性のあるアプリケーションに関して、SAPはあらかじめ定義したテーブルグループにアプリケーションのテーブルを割り当てます。同一グループに属する(パーティションを含む)全てのテーブルは、 S/4HANAのスケールアウト構成に置いて、単一のノードに配置される必要があります。

また、独自のテーブルグループを追加したり、必要に応じて既存のテーブルグループを拡張することも可能です。これにより、アプリケーションのメモリやワークロードが複数ホストに均等に分散されることで、メモリ拡張や、CPUスケーリングを実現することが可能です。

今回サポートを開始したスケールアウト構成は、メモリサイズの拡張に関して大変有効な機能ではありますが、スケールアウト構成を管理、構成、最適化するには、特定のコストと欠点があります。 是非スケールアップ構成を使用する可能性も含め評価してください。

マルチストア・テーブル・パーティショニング技術を使用したHANAダイナミックティアリングに関して

HANA2における大きな特徴であるマルチストアテーブル分割の新機能を含む HANAのダイナミックティアリングは、アプリケーションのマニュアルで特に明記されている場合を除きS/4HANAアプリケーションでは使用されていません。 SAPアプリケーションテーブルに手動でマルチストアパーティショニングを導入することはサポートされていません。

 

まとめ

FPS01により、S/4HANAはその基盤として最新の技術要素を含むHANA2の利用が可能になりました。

基幹業務においても最新状態を維持し、技術の革新の恩恵を常に享受できる変化対応のシステムとするのか? 安定した運用を優先して、新機能適用などは長期の計画サイクルのもとにのみ実装する安定した基盤を目指すのかはお客様のポリシーにゆだねる部分が多いと思います。

SAPはこの両者の要望に対応できるよう、HANA1.0のSPS12をデータベースとして使用する安定した基盤や、最新機能の取り込みも可能にするHANA2をデータベースとして使用する革新基盤の提供も可能としています。

また、S/4HANA 1610 FPS01では HANA2活用以外の特徴として、

  • 小売り、オイル&ガス、航空宇宙などの業界ソリューションの強化
  • ファイナンス、サプライチェーンの業務アプリケーション機能強化
  • Ariba Networkとの統合強化
  • ローカライゼーション機能強化

などの機能強化を含んでいます。 これらの詳細については、こちらの資料をご参照ください。

以上

 

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