Build a Live Business through Digital Finance -ファイナンス部門が担う変革の推進-


デジタルエコノミー時代は、変動の激しい環境と相まって、経営者やCFOに対して新たな課題とビジネスチャンスを生み出しています。このような時代の中で勝ち抜くためには、あらゆる事象を瞬時に感知すると共に、一歩先を予測しながら対応する”Live Business”の実行が求められます。数々のグローバル企業の財務変革を提案・支援してきた、SAPグローバル・バイス・プレジデントのIvo Bauermann(イヴォ・バウアーマン)は、2017年3月8日に開催されたセミナー「SAP Finance Day デジタルエコノミー時代に求められるファイナンスの展望」の中で、Live Businessを推進するために求められる、ファイナンス部門の役割について、講演を行いました。

革新的な先端企業から、学べるものは何か

Ivo Bauermanバウアーマンはまず、「今、世の中ではたくさんの面白いことが起きている」として、タクシー車両を持たない世界最大の“タクシー会社”Uber(ウーバー)、在庫を持たない小売業者のアリババ、映画館を持たない映画会社のNetflix(ネットフリックス)、不動産を持たない宿泊サービス企業Airbnb(エアビーアンドビー)に言及しました。「例えば、Airbnbの企業価値は300億米ドルで、第2位のヒルトンよりも70億米ドルも高い。約100年もの歴史があるホテルチェーンの時価総額を、創業して数年の企業が上回っているのです」とバウアーマンは指摘します。

これら4社は、従来型のビジネスのあり方を変える、先端的な企業です。そのビジネスをそのままマネすることは、もちろんできませんが、だからといって全く参考にならないわけではありません。それどころかこうした先端企業は「『何が可能か』を教えてくれ、企業のあり方が将来、どう変わっていくかというヒントを与えてくれる」と言えます。

デジタルテクノロジーを重視し、先端技術を早い時期に導入して変革をリードする企業には、大きなチャンスが広がっていることを、データが示しています。バウアーマンは、先端技術を迅速に導入している企業は、売上を9%、収益力を12%、時価評価を26%も上げる傾向があるとの調査結果を示しました。「我々はテクノロジーの進化についていかなくてはなりません。さもないと、リスクに追い付かれ、囚われてしまう」と言うのです。リスクが存在するところにこそ可能性が存在し、新たな可能性はテクノロジーによって生み出されているからです。

デジタルエコノミーの“燃料”、アナリティクス

デジタルエコノミーの中で重要な役割を果たす技術の1つが「アナリティクス」です。「例えばF1の車は、ガソリンを燃料として走りますが、デジタルエコノミーの燃料となっているのはアナリティクスです。業績の高い企業は、『データとは、ビジネスをサポートするだけのものではなく、ビジネスを牽引する戦略的資産だ』と認識している。そして時にはデータそのものがビジネスになりえることを、彼らはよく理解しているのです」

競合を制するために、一刻も早く、社内にデータ志向の文化を作らなくてはなりません。しかし、それは簡単なことではありません。課題は大きく2つあります。

まず1点目の課題は、重要な“シグナル”を、どうやって“ノイズ(雑音)”の中から選び出すか。大量のデータを持っている、ということ自体には価値は無く、その中からカギとなるトレンド、つまり“シグナル”を見つけられるかどうかが、ビジネスの勝敗を決めます。

2点目の課題は、データから取り出したシグナルを、どうやってビジネスの成果に繋げるか、です。多くの企業は、社内のすべてのビジネスユーザーに、適切なデータを適切なタイミングで提供できていないのが実状です。社内で(シグナルを得るために)データにアクセスし、ビジネスに活用して成果に繋げられているユーザーは、わずか10~20%と推測されています。80%以上のユーザーにおいて、アナリティクスが持つ可能性を、有効活用しきれていないのです。

企業の経理財務部門こそが、変革を推進する力になる

「こうしたデジタルエコノミー時代において、企業の経理財務が重要な役割を持つのです」とバウアーマンは強調します。新しいビジネスモデルにどう対応すべきか、新たな競合にどう対応すべきか、既存のビジネスをどのように変革させていくべきか―。これらの答えを見つける上で、CFOや経理財務部門が中心的な役割を果たす必要があると言うのです。なぜなら経理財務部門こそが、企業の持つ様々なリソースや資産を、どう配分すべきかを判断することができるからです。

急速に変化するビジネス環境の中で、これを実現させるためには、迅速に必要な情報を集め、分析する必要があります。そのためには、組織の中で部門ごとに分断された、情報の縦割りの壁を越える必要がありますが、それができるのはCFOおよび経理財務部門です。「縦割りの壁を越えて、企業全体で統合された情報をもとにしたアナリティクスを実現しないと、数々の変革を推進することはできません」とバウアーマンは話します。

また「起こさなくてはならない変化は他にもある」とバウアーマンは言います。「事業側がイノベーションのために投資してデジタル化を進めるのを後押しする一方で、サーバーセキュリティやデータプライバシーなど、新しく生まれるリスクの管理を支援する役割が必要となる。経理財務部門の人材は、こうしたイノベーションとリスクのバランスを測ることができ、こうした人材になり得る」

2つの側面でライブビジネスを支援するSAP

ビジネスを推進するには、大きく2つの側面があります。1つ目は、既知の予測可能な分野に対して、業務の自動化を極限まで高めること。2つ目は、新しいビジネスチャンスを探索し、競合との差別化を図ることです。人やアイデア、イノベーションを繋げ、膨大なデータの中から重要な予兆となるシグナルを見つけ出すことが、ビジネスチャンスを拡げます。

「両方の側面において、SAPは皆様のビジネスを支援します。SAP HANAは、高パフォーマンスのデータ基盤を提供し、膨大なデータを管理します。SAP S/4HANAは、日々のビジネスプロセスを迅速に回すお手伝いをします。SAPアナリティクスは、データを戦略的資産に変え、より確度の高い戦略的な決断を支えます。皆様のビジネスにおいてデータ志向の文化を促進できるでしょう」

「ライブビジネスのためのデジタルフレームワーク2.0」は、こうした仕組みの全体像を示しています。SAP S/4HANAが“デジタルコア”となり、企業のすべてのトランザクションを管理。SAP Aribaでサプライヤーと繋ぎ、SAP SuccessFactorsが従業員と繋ぐ。SAP Hybrisでカスタマーと繋ぎ、ビジネストラベルパートナーとはConcurを使って経費精算・管理を行います。GRC(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)についても、中央でチェックがかけられる仕組みにより、海外のグループ会社などの管理を強化することが可能です。

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バウアーマンは、このフレームワークこそが「成長著しいデジタルビジネスを推進しながら、コストを削減して収益性を高められる」と説明。「今この瞬間のためだけでなく、将来のためにも、こうしたフレームワークを活用した健全なビジネスが必要なのです」と話しました。

ライブビジネスを促進するデジタルプラットフォーム、SAP Digital Boardroom

デジタルコアを中心としたデータ活用の仕組みとして、SAPは、これらの情報を統合し、リアルタイムに可視化するSAP Digital Boardroomを構築しました。

これはデジタルフレームワーク上においてビジネスの全体像をつかむだけでなく、ビジネスのあらゆる側面を分析するアナリティクス機能を提供します。従来のBIツールと同様に、短期的な数字、長期的な数字はもちろん、ビジネスユニットごと、地域ごと、製品ごとなど、さまざまな角度で掘り下げて詳細を見ることだけでなく、SAP Digital Boardroomは、計画のPDCAを回したり、シミュレーションや将来の予見ができる点がポイントです。「ビジネスユーザーがマシンラーニング機能を活用し、さまざまな新しい機会を探求することができる。今後、ビジネスが向かう方向性を見極める上で、大きな力を発揮します」と強調します。

将来予測をする際は、変数をどんどん変えてシミュレーションすることが可能です。「主要なビジネスドライバーになるものは何かを、膨大な履歴データの中から機械学習によって抽出するのです。難しいアルゴリズムなどを理解しなくても、結果を素早く見ることができ、意思決定のスピードも速くなります」。新しい情報が入れば、アナリティクスのサイクルを新たに走らせて分析し、シミュレーションを実行。そして新たな計画を立案して実行するというサイクルを、ライブデータを使いながらリアルタイムで回すことができます。

「これこそがライブビジネスです」とバウアーマンは強調します。「常に、競合相手の一歩先、消費者の嗜好の変化の一歩先を行く、先見性を持つことができます。革新的技術変革も先取りできる。シミュレーションを行って次に何が起こるかを予見し、計画や実行に繋げるのです」。そしてバウアーマンは、「ぜひ多くの企業でこれを活用して、データ主導型の意思決定の文化を醸成してほしい」と述べて、講演を締めくくりました。

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