SAP S/4HANAに「トッピング」できる、経理財務向けクラウド拡張アプリケーション群

作成者:市瀬 優子 投稿日:2017年4月20日

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SAPジャパン市瀬です。

今回は、経理財務/経営管理領域でお使いいただける、SAP S/4HANAのクラウド拡張アプリケーション群(Cloud Extensions for SAP S/4HANA Finance)をご紹介します。
従来、SAP S/4HANAの価値はお伝えしてきましたが、これらはSAP S/4HANAにトッピング(拡張)し、SAP S/4HANAをより「おいしく」使用する(=価値を高めていく)ためのアプリケーション群です。

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クラウド上に構築されたSAP S/4HANAの拡張アプリケーション

当アプリケーション群は、SAPが提供するPaaSであるSAP Cloud Platform(旧称:SAP HANA Cloud Platform、HCP)上で開発されています。それらのアプリケーションをSAP Cloud Connectorを使用してSAP S/4HANAに連携し、SAP S/4HANAの価値そのものも「拡張」し、より業務の効率化や高度化に活かせる仕組みになっています(注:前提条件はアプリケーションにより異なります。SAP S/4HANAの利用が必須ではないものもあります)。
これらはSAP標準システム内を拡張したものではなく、外部のSAP Cloud Platformを使用して構築されたソリューションのため、SAP S/4HANA等基盤への影響を最小限に抑えた形で導入いただくことが可能です。また、クラウドソリューションであることから、アップデートが継続的に行われ、常に最新のソリューションを利用することができる、サブスクリプション形式でのご利用が可能等、クラウドであることのメリットも享受いただけます。

業務特有の課題に対応する数々の専門アプリケーション群

アプリケーション「群」という呼び方をしましたが、一つ一つは個別のSaaSアプリケーションとして提供されており、採用したいアプリケーションのみを適用することができます。財務経理/経営管理領域の幅広い領域をカバーする品揃えになっており、その一つ一つが業務特有の専門課題にしっかりと対応するように設計されています。

では、どんなアプリケーションがあるのか?代表的なアプリケーションをご紹介していきます。

  • SAP RealSpend – 部門予算責任者向け、予算の最大限の活用を支援
  • SAP Financial Statements Insights for Profit and Loss – 「財務諸表」をアドホック分析
  • SAP S/4HANA Finance Cloud for Customer Payments – 顧客自身で行う、セルフサービス債権処理
  • SAP S/4HANA Finance Cloud for credit integration – 与信管理業務の省力化
  • SAP Cloud for Real Estate – 不動産管理に必要な洞察を提供、業務効率化と革新を実現

SAP RealSpend – 部門予算責任者向け、予算の最大限の活用を支援

SAP RealSpendは、SAP S/4HANAのユニバーサルジャーナルに直接アクセスし、リアルタイムな予算の支出分析を実現するアプリケーションです。

  • コストセンター管理者等、部門予算に責任を持つユーザー向けに開発されており、部門予算を最大限に活用するという課題に対応します。
  • ブラウザからアプリケーションを実行し、現在どこまで予算が消費され、いくら消費される見込みなのかを一目で把握、明細レベルまで分析することができます。
  • タグ管理機能を使用してアプリケーション上で任意にグルーピングし、予算分析やシミュレーションを行うことができます。
  • SAP S/4HANAオンプレミス、クラウド両基盤との接続が可能です。
  • こちらからトライアル版をお試しいただくことができます。

RealSpendSAP S/4HANAには、日々きちんと整合性のとれた業務データが蓄積されます。その堅牢な業務データを、予算管理業務に特化し柔軟に分析やシミュレーションを行い、意思決定者に適切なアクションを促すことが可能になります。
製品デモはこちらです。

 

SAP Financial Statements Insights for Profit and Loss – 「財務諸表」をアドホック分析

財務諸表をより自由度高く分析したいというニーズに対応するのが、SAP Financial Statements Insights for Profit and Lossです。パワフルな分析やシミュレーション機能を通し、隠されたトレンドを探索することを実現するアプリケーションです。

  • SAP S/4HANA上の実会計データをリアルタイムに取得し、財務諸表のトレンドを可視化します。ユーザーはアプリケーション内で分析項目を選択し、アドホックな分析を行うことが可能です。期間の切り替えや分析のグルーピングを変えての比較分析を行うことが可能です。
  • 表示されたチャートから会計伝票明細を参照し、詳細分析を行うことができます。
  • 組織構造変更に関するシミュレーションがアプリケーション上で手軽に行えます。シミュレーション用階層を保存し、実組織とシミュレーション組織の比較分析等に応用できます。
  • SAP S/4HANAオンプレミス、クラウド両基盤との接続が可能です。

こちらも、SAP RealSpend同様、SAP S/4HANA上のデータをもとに分析やシミュレーションを行い、データに基づいた意思決定を支援するためのツールです。いわゆる管理会計数値ではなく、全社の財務状況全般を示す「財務諸表データ」を自由分析に活用できるという点がポイントです。ビッグデータをサポートする基盤で動いているからこそ、このような柔軟性を保持することができるのです。
製品デモはこちらです。

 

SAP S/4HANA Finance Cloud for Customer Payments – 顧客自身で行う、セルフサービス債権処理

こちらは以前、債権管理の高度化についての記事でもご紹介しましたが、導入企業の顧客がセルフサービスで自社の勘定情報にアクセスし、請求書~債権回収のプロセスを自ら実行することを可能にするアプリケーションです。

  • 導入企業の顧客が自らポータル上で、請求書の参照、支払処理の実行、マスタの参照、履歴の確認等の各プロセスを行うことができます。
  • 顧客がセルフサービスで各種業務を行うことで、自社の債権業務をスリム化し、管理業務コストを削減します。
  • 顧客とのコラボレーションおよび顧客満足度を向上させることが可能です。
  • SAP S/4HANAオンプレミス、クラウド両基盤およびSAP ERP(6.0以上)との接続が可能です。

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先の2つのアプリケーションは分析業務の拡張という意味合いが強いですが、こちらは業務プロセスそのものの変革を助けるアプリケーションです。SAPベンチマークにおいては、電子請求が導入され、顧客自身が明細や支払の確認を行うことで、債権管理業務コストを平均で64.9%(対収益比)削減でき、滞留債権残高は17.6%削減できるという結果が出ています。業務をデジタル化し、高度化する。合わせてご利用いただくことで、SAP S/4HANAに本来備わっている価値そのものをさらに拡張可能です。

 

SAP S/4HANA Finance Cloud for credit integration – 与信管理業務の省力化

SAP S/4HANA Finance Cloud for Customer Paymentsと同じく、債権管理の効率化に寄与するアプリケーションです。こちらは与信管理業務に関連します。

  • グローバルの主要信用調査機関とのデータ連携を行います。導入企業自身が信用調査機関との接続インターフェースを構築する必要はありません。
  • 信用調査機関で管理する情報が、自社で使用するSAP Credit Managementにタイムリーに自動連携されます。クレジットレポートも利用可能です。
  • 自動化による与信管理業務の省力化、マニュアル作業がもたらすミスの削減に貢献します。
  • SAP S/4HANAオンプレミス、クラウド両基盤およびSAP ERP(6.0 Enhancement Package4以上)との接続が可能です(SAP Credit Managementの使用を前提とします)。

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SAP S/4HANA Finance Cloud for customer payments、SAP S/4HANA Finance Cloud for credit integrationの製品デモはこちらです。

 

SAP Cloud for Real Estate – 不動産管理に必要な洞察を提供、業務効率化と革新を実現

こちらは不動産管理業務を高度化するアプリケーションです。

  • 不動産契約を管理する「契約管理」と、物理情報を管理する「ロケーション管理」の2つの領域にわかれ、不動産管理に必要な状況を集中管理可能です。
  • ユーザー中心のデザインにより、グローバルの不動産ポートフォリオを一目で把握可能です。ロケーションや地図情報や最新のデジタル可視化技術を使用した物件情報表示に加え、稼働状況やコストを瞬時に把握可能です。
  • 契約管理においては、SAP S/4HANAと連携し、不動産に関わる財務の可視化を実現します(契約管理においてはSAP Real Estate Managementの使用が前提となります)。
  • IFRS16やUSGAAP ASC842等の基準に準拠した機能を提供します。

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不動産管理はローカルのスプレッドシートや専用ツールで管理され、他システムとの連携性においては課題を抱えるケースも多くあったかと思います。当アプリケーションはオープンプラットフォーム上で構築されているメリットを活かし、不動産管理プロセスの効率化することはもちろん、他ソリューションとの連携を行いIoTなどの発展的なシナリオに広げたりすることが可能です。

 

今回はSAP S/4HANAのクラウド拡張アプリケーション群の中から表的なアプリケーションをご紹介させていただきました。個性豊かなアプリケーション群ですが、これらは皆、クラウド上に構築され、SAP S/4HANA等の基盤への影響を最小限に抑えつつ、かつSAP S/4HANAの価値をさらに拡張する、という共通の特徴を持っています。

また、今後も財務経理/経営管理業務で活用でき、デジタルビジネスの促進や業務の高度化にきっと貢献する有益なアプリケーションをリリースする予定です。ご期待ください!

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