支出の見える化・見せる化から始まる 財務経理のデジタルトランスフォーメーション


支出を削減し、競争優位を獲得するためには、支出の可視化が必須です。しかし、実際に「支出の可視化」とは、何を意味するのでしょうか? 支出金額を把握する、従来のコスト管理と何が違うのでしょうか? 購買から支払いまでをトータルでカバーする、調達・購買ソリューションを提供するSAP Aribaのシニア・ソリューション・ストラテジスト、斎木淳が、支出の見える化・見せる化のポイントについてご説明します。

支出を本当に“コントロール”できているか

Saiki-san「支出」は、経営に大きなインパクトを与える重要な数値です。支出のコントロールによって、経営状況を劇的に変えることもあります。例えば、私たちのお客様の中には、年商1千億円規模で、5%の支出削減をしたことで純利益を45%上げたという企業もあるほどです。

これほど重要な数値ですが、日々の業務の中で、どれほどコントロールされているでしょうか?

「支出のコントロール」のためには、支出管理の結果としての「支出額」を把握するだけでは不十分です。その支出がどのような環境で生まれたのか、どのような人と人、部署と部署、企業間のつながりの中で生まれたのかがわかるデータを取得し、見える化できて初めて、最適化の効果が得られます。

サプライヤー・リスクの可視化

その一例が、サプライヤー・リスクの管理です。2011年に起こった東日本大震災では、製造業が大打撃を受けました。多くの企業はリスク分散のため、サプライヤーの分散を図っていたのですが、2階層目、3階層目とたどると、東北の同じ業者に行き着き、実はリスク分散になっていなかった、というケースが散見されました。ある企業ではこの反省を踏まえ、5階層先のサプライヤーまで把握するようになりました。

サプライヤーのリスクは多岐にわたります。しかし、サプライヤーから自己申告で情報を集めるだけでは不十分で、裏付けを取る必要があります。また、サプライヤーがグローバルに広がる中で、手作業で情報を集めて精査するのは手間がかかり、情報の更新も大変です。

SAP Aribaでは、国際機関や報道機関、調査機関によるさまざまな情報を集約し、今どこでどんな災害が起こっているか、それぞれのサプライヤーが、どのようなコンプライアンス上のリスクや財務リスクを抱えているかなどを、リアルタイムで得られる仕組みを提供しています。これらの情報を瞬時に分析し、リスクを定量的にとらえて可視化します。定量的に把握することで、KPIを設定して一定レベルを超えたら注意・警告を出したりすることができます。

支出コントロールの3つのポイント

支出をコントロールし、改革するには、従来の活動の延長上で考えるのではなく、これまでとはまったく違ったアプローチをとる必要があります。ポイントは3つあります。

1点目が「リアルタイム性」です。写真家が決定的瞬間を撮るためには、ただその瞬間を待つのではなく、その瞬間を予測して対応する必要があります。調達や購買でも、関係するデータを集めて瞬時に分析し、次に何が起こるかを予測するのです。

2点目は「企業間の繋がりの変化」です。企業同士の繋がり方は、時代にともなって変化してきています。1990年代はデスクトップPCが中心の「機能の時代」で、企業同士は電子メールなどで繋がっていました。2000年代はERP(統合基幹業務システム)全盛の「プロセスの時代」で、企業間がEDI(電子データ交換)で繋がりました。ここまではまだ、企業同士の関係は、「どちらが売り手で、どちらが買い手か」が強く意識されていました。

2010年代は、「コラボレーションの時代」です。クローズドであったそれぞれのコミュニティが、オープンになります。企業は、自社が売り手か買い手かを意識せずネットワークに参加し、相手やタイミングによって売り手の顔、買い手の顔を使い分けながらビジネスを成立させます。

SAP Aribaが運営する企業間調達ネットワーク「Ariba Network」も、そうしたネットワークの1つです。現在世界190カ国の約270万社が登録しており、117通貨によって年間約1兆ドルに上る取引が行われています。ネットワークの中で新しいビジネスが次々生まれていて、昨年度実績では参加企業の63%で新しいビジネスが成立しています。

2020年代は「オーケストレーションの時代」になると予想されています。個人がECサイトを利用する際には、システムが個人の趣味嗜好を理解し、「今あなたはこれを買いましたが、これを買った人はこんなものも買っています」などの提案をしています。これが、企業間でも行われるようになり、それぞれの企業に最適な購買や調達を提案してくる、インテリジェンスのあるネットワークの時代になるのです。企業は、利便性を追求して効率化のために繋がるのではなく、繋がることで互いに価値をさらに高める“価値の連鎖”を求めて繋がるようになります。ちなみにこの変化は、海外ではそれぞれ10年先行しており、既に「オーケストレーションの時代」は始まっています。

3点目は、「改革の取り組み方」です。日本とグローバルを比較すると、日本は結果や施策先行になりやすい一方、グローバルでは実現環境を整え動機付けをすることに重点が置かれます。例えば日本では「まだ見通しが立たないのか」「もう無理なのではないか」と、結果に着目した対応が中心です。一方グローバルでは「何に困っているのか」「何か打開策はないのか」など、実現環境の整備に着目した対応が中心です。どちらが正解ということではありませんが、支出管理を改革する際には、実現環境を整備することに着目しながら進める方が、結果的に効果が早く出ますし、効果も大きく出る傾向があります。

3ステップで購入、タッチレスで請求可能なSAP Aribaのソリューション

sfd-as-01SAP Aribaは、1996年に創業した、調達・購買ソリューションのリーディングカンパニーです。サプライヤー管理、価格交渉、契約、発注、調達・購買データの可視化など、購買から支払いまでのすべてのプロセスを、クラウドベースのソリューションで支援しています。

SAP Aribaのソリューションの特徴は3つあります。1つ目の特徴は、「商材の見える化」の手法にあります。独自の“カタログ化”により、一般消費者がECサイトで買い物をする時のように、どんな商材でも、「検索する」「ショッピングカートに入れる」「提出する」といった3ステップで購入できるようになっています。特別なトレーニングは必要ありません。

“カタログ化”は、どんな商材も対象です。仕様がすべて決まっているものはもちろん、仕様の中に未決定の項目があり、都度指定するもの、商談をしながら仕様を確定するものも該当します。例えば、バイヤーが「クーラーの清掃を1万円でやってもらえないか?」とサプライヤーに投げかけると、複数のサプライヤーが「1万円でできます」「うちは8,000円でできます」などと回答して金額を確定することもあります。また、バイヤーの「パンフレットを作成したい」という要望に対して、サプライヤーが「こんな仕様で、この金額でできる」と提案する場合もあります。これらの場合も“カタログ化”により、同じ3ステップで購入できるよう設計されています。

従来のシステムだと、「見積もりが必要な場合はここから」、「契約が必要な場合はこのステップ」などと、使い方に習熟していないと購入ができませんでした。SAP Aribaでは、このような“カタログ化”技術によって、トレーニングを要さず、直感的に3ステップで購入できるようになっているのです。

2つ目の特徴は、サプライヤーにとっての参加メリットが明確で、参加のハードルが低いことです。インターネットに接続できれば誰でも参加できます。参加企業は、大企業から零細企業までさまざまですが、バイヤー側は、相手のITリテラシーを気にすることなく、画面から操作すれば自動的に、e-メール、ファクス、EDIなど、相手に合った方法で情報を届けられます。

3つ目の特徴は、請求処理の98%がタッチレスで行えることです。契約、発注、検収などのデータから請求データが自動生成され、必要情報は揃っているか、コンプライアンスはクリアされているか、などのさまざまな条件に合致しているか自動的に判断し、不備がある場合はサプライヤーに戻されて修正を促します。バイヤー側には、不備がなく条件に合致したクリーンな請求データだけが届き、あらゆる会計システムと連携して処理を行うことが可能です。なお、98%の残りの2%は、特定の例外処理で承認ワークフローが必要なケースが該当します。

ここまでご紹介した通り、支出管理を行う際は、額面だけでなく、それぞれの支出がどういった環境で生まれるかを可視化し、分析することが必要です。そうすることで、経営にインパクトのある数字を出せるような、支出の改革が可能になるのです。ぜひそれを、SAP Aribaにお手伝いさせていただきたいと考えています。

2017年3月8日に開催されたSAP Finance Dayの関連記事は こちら をご覧ください。

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