SAP S/4HANA の拡張コンセプトのご紹介 ~ビジネス変革を実現するために~

作成者:渡辺 清英 投稿日:2017年6月15日

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今回のブログでは、SAP S/4HANA で新しく導入された拡張のコンセプト、SAP S/4HANA のエディションによる拡張方式の違い、2つのタイプの新しい拡張方式の概要をご紹介します。

ビジネス変革のために

イノベーション投資これまでの情報システムへの投資は、既存システムを維持するための割合がおよそ7割で、システム拡張や新規構築のための割合が3割程度と言われていました。これは既存システムが非常に複雑化していることが主な要因です。 これからは、ビジネスを変革するためのイノベーションへの投資割合を高めることが、競争優位に立つためにますます重要になってきています。これを実現するためには、既存システムのシンプル化とアプリケーション・ライフサイクルの分離・階層化が必要になります。

SAP S/4HANA の拡張コンセプト

拡張コンセプトSAP は、基幹系(OLTP)システムと情報系(OLAP)システムを1つのプラットフォームで稼働させ、情報システムをシンプル化するためにインメモリ・データベースを中核とする SAP HANA Platform を開発しました。そして、その SAP HANA Platform 上で稼働するシンプル化したコアビジネスアプリーションを SAP S/4HANA としてリリースしました。

ビジネス変革を推進するためには、安定性が重視されるコアビジネスアプリケーションと俊敏さが重視されるカスタムアプリケーションという性質の異なるアプリケーションの双方の観点での拡張が必要です。

SAP S/4HANA における新しい拡張のコンセプトでは、このようにライフサイクルの異なる両者のプラットフォームを分離し、カスタムアプリケーションは柔軟かつ俊敏に利用可能なクラウドプラットフォーム上に構築し、コアビジネスアプリケーションと連携する方式を推奨しています。
これにより、コアビジネスアプリケーションに直接影響を与えることなく最新のテクノロジーを活用したカスタムアプリケーションをクラウド上に迅速に構築することができ、その一方で、コアビジネスアプリケーションの拡張やアップグレードによるカスタムアプリケーションへの影響を極小化することができます。

SAP S/4HANA のエディションによる拡張方式の違い

拡張方式の違いSAP S/4HANA には、オンプレミス・エディションとクラウド・エディションがあります。クラウド・エディションには、コスト重視の「パブリック・クラウド」のほか、柔軟性重視の「プライベート・クラウド・オプション」も選択できます。 これ以降では、SAP S/4HANA クラウド・エディションは「パブリック・クラウド」のことを意味しています。

パブリック・クラウドの概要紹介は、こちらのブログを参照してください。

SAP S/4HANA オンプレミス・エディションは、従来型の拡張・開発が可能でありながら、新しい拡張方式も使うことができます。一方、SAP S/4HANA クラウド・エディションは、新しい拡張方式のみ使うことができ、従来型の拡張・開発はできません。

新しい拡張方式には、SAP S/4HANA アプリケーション内の拡張である「In-App拡張」と SAP Cloud Platform による拡張である「Side-by-Side拡張」の2つのタイプがあります。

SAP S/4HANA では、外部システムとの連携のためのインターフェースとして利用可能な「Public API」を SAP API Business Hub として公開しています。

SAP S/4HANA アプリケーション内の拡張(In-App拡張)

In-App拡張In-App拡張では、キーユーザと呼ばれる習熟度の高い業務ユーザ向けに拡張のためのツールセットを提供しており、UIレイアウトの変更、レポートや帳票の作成、項目の追加、簡易版 ABAP によるロジックの追加などが行えます。これらの拡張オブジェクトは SAP 標準オブジェクトとは別レイヤーで管理されており、アップグレードの際に影響を受けません。

キーユーザツールを使用した In-App拡張の様子はビデオでご覧いただけます。

SAP Cloud Platform による拡張(Side-by-Side拡張)

Side-by-Side拡張Side-by-Side拡張では、SAP S/4HANA と連携するカスタムアプリケーションを SAP Cloud Platform 上に迅速に開発することができます。

カスタムアプリケーション全体を SAP Cloud Platform 上で稼働させることもできますが、例えば、UI 層(SAP Fiori)だけを SAP Cloud Platform 上で稼働させ、オンプレミス の SAP S/4HANA と連携させることも可能です。

SAPCloudPlatformまた、SAP Cloud Platform は、カスタムアプリケーションを開発するための様々なサービスや開発ツール、および SAP・Non-SAPを問わず、オンプレミスのアプリケーションや他のクラウドアプリケーションと連携するのためのインテグレーション・サービスも提供しています。

トライアルアカウントの取得で、すぐに SAP Cloud Platform をお試しいただけます。

まとめ

SAP S/4HANA の拡張コンセプトは、既存システムの維持コストを抑えつつ、ビジネス変革のためのイノベーションを実現するためのものです。それを実現するための新しい拡張方式は、キーユーザ向けの拡張ツールを使用する SAP S/4HANA アプリケーション内の拡張である「In-App拡張」と SAP Cloud Platform 上にカスタムアプリケーションを構築する「Side-by-Side拡張」の2つのタイプがあります。SAP S/4HANA オンプレミス・エディションでは、従来型の拡張・開発も可能ですが、イノベーションを加速し、今後のアップグレードを容易にするため、ぜひ新しい拡張方式をお試しください。

今後の SAP S/4HANA の拡張機能を含む製品ロードマップもご参照ください。
SAP S/4HANA(オンプレミス・エディション)
SAP S/4HANA Cloud(クラウド・エディション)

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