Setting The Record Straight – 真実を正しく記録しよう- SAP HANA vs Exadata X3

作成者:馬場 渉 投稿日:2012年10月5日

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SAPジャパンの馬場です。4月に本ブログを開設しその後数々のSAP HANAを中心としたリアルタイムコンピューティングによるビジネス変革事例がこのブログにポストされてきました。

今までやれなかったことがやれる!SAP HANAによるイノベーションはあらゆる産業あらゆる用途に拡大しています。「病気の発症リスクを個人ごとに抑えるドイツの健康保険組合」、「電力完全自由化の最前線、イギリスにおけるスマートメータ」、「店舗での買い物体験を一変させるデジタル・リアルタイム店舗のフランス小売」、「医療機器使用の安全性を高めるアメリカの医療機器メーカ」、「中国全土営業マン1万人から売り場の状況報告がスマホでリアルタイムに上がる飲料企業」、「飛行状況・整備・インシデント情報からさらなる安全なフライトを目指す英国の航空会社」、「自動販売機の商品需要予測と陳列最適化を行うアメリカのDVDレンタル企業」、「学生の勉学態度をモニタリングして落ちこぼれを減らすアメリカの大学」、「波と風をリアルタイムに分析するヨットレース」、「フライト遅延時の乗り継ぎ便手配のリアルタイム化を行う航空会社」「バトルゲームをもっと楽しくするドイツのオンラインゲーム会社」・・そして「自由な発想と社会を変える情熱でみなぎるスタートアップ企業」まで。

インメモリコンピューティングは社会を変える、技術産業史を塗り替える、私はこの2年で本当にそれを確信しました。そしてそれを同じく信じてチャレンジするイノベーターがそれを次々に証明しています。しかし社会を良くしたいと望むチャレンジャーには必ず既得権益を守ろうとする抵抗勢力が現れます。最初は冷ややかに見る彼らは徐々に事の重大さを感じ、抵抗してきます。

オラクルのラリー・エリソン氏はかつて「インメモリコンピューティング?そんなものはSAPの描く幻想だ。インメモリデータベース技術はもちろん知っているがそんなものが実用化されるのは数年どころの世界じゃない。」と言っていました。それがついに現実を悟ったようです。でも今回もまた少々事実を歪めてお話になったようです(前回はこちら)。

SAP HANAの生みの親がSAP創業者でもあるハッソ・プラットナーならば、SAP HANAの育ての親はCTOのビシャル・シッカ。彼が「マイ・リトル・ベイビー」と呼ぶ全く新しい発想で生まれたSAP HANAちゃんが、前世代の過去のものと一緒にされては親としては黙っていられなかったのでしょう。今回もさっそく娘を溺愛するお父さんブログが出されましたので下記に紹介します。読者の中には「まぁそんな事実がどうだ、定義がどうだなんてこちらは気にしないよ。速いかどうか、安いかどうか、自分のニーズに合うのかどうか・・結局そういうこと。」とおっしゃるかもしれません。でもぜひ未来を見る方々には事実を知っていただきたいと思います。未来がどちらかわかるはずです。

出典: http://www.experiencesaphana.com/community/blogs/blog/2012/10/02/setting-the-record-straight–sap-hana-v-exadata-x3

(以下日本語訳)

今週のOracle Open Worldの基調講演で、オラクルは、SAPのハッソ・プラットナーが何年も前に示したことを繰り返しました。「すべてがインメモリーになりディスクドライブは時代遅れになってきている」。彼らがついにこの現実を悟ったことについては素直に喜びたいと思います。実際には、SAP HANAのお客様はすでに18カ月以上にわたってこの現実の恩恵を受けてきているのですが。

しかしまた、オラクルはSAP HANAについての誤った、明らかに歪んだ発言も行いました。間違ったことを言い放ち、事実を歪めようとする--これはもはや彼らのおなじみのテーマ、年中行事のようなものになってきています。

業界リーダーとして、SAPはもっとまともでなければなりません。私達はお客様、パートナー、社員に真実を伝える義務があります。我々は真実であると知っている重要な物事について、間違った発言をしたり無視したりすることによって、ステークホルダーに仕えることはできません。ステークホルダーはもっとよい扱いを受けていい。歴史も、もっとよい扱いを受けていい。

SAP HANAが根源的な再考、新しいデータベースのパラダイムを体現しており、市場において圧倒的な成功を収めていることは事実です。データベース業界の既存プレイヤーの既得権益は脅かされていますが、おそらくそれはSAP HANAの破壊的な性質のためであり、また他にも理由があるかもしれません。

いずれにせよ、今一度、真実を正しく記録していきましょう。

4テラバイトのDRAM22テラバイトのSSDを積んだ新Exadataマシンについて発表する際、エリソン氏はSAP HANAについて「メモリ0.5テラバイトの”小さなマシン”である」と発言しましたが、これは誤りです。

彼はまた「Exadata X3はメモリを26テラバイト積んでいる」とも言いましたが、これも誤りです。SSDはDRAMではなく、この業界で”メモリ”にカウントされることはありません。HANAもデータの永続保持のためにSSDを使っていますが、それをメモリとは呼びません。

真実は、次のとおりです。

1. SAP HANAシステムは小さいものから、非常に大規模なものまで広範囲にわたっています。マルチコアシステムの超並列処理をフルに活用し、新しくデザインされたデータ構造を介してメモリーをネイティブに使用するSAP HANAのアーキテクチャは、ほぼ無限のスケーラビリティを可能にしています。

2. IBM・HP・富士通・シスコの認定4ベンダーは、何か月も前から、16ノードのSAP HANAハードウェアを出荷しています。これらは16テラバイトのDRAMを搭載しており、つまり今年の春の時点ですでにオラクルの新マシンExadata X34倍の大きさだったわけですが、現在は同じハードウェア構成で32テラバイトまで増やすことができます。さらにIBMであれば、Max5構成で40テラバイトまで可能です。

3. これまでに構築された最大のSAP HANAシステムは、今年の初めにIBMと作った100ノード、DRAM 100テラバイト、4000 CPUコアのもの(写真参照)です。エリソン氏にはぜひ、カリフォルニア州サンタクララに来ていただき、システムが複数のお客様からのワークロードを処理しているところを自分の目で見ていただきたい。いつでも歓迎します。この情報は、すでに今年5月のSAPPHIRE NOWの時点で何万人ものお客様に共有されています。今日すでに、このシステムはDRAMを250テラバイトまで増やすことができ、SAP HANAのデータ圧縮を考慮すると、数ペタバイトのデータをメモリー上に完全に保持することができます。

我々のパートナーであるスティーブ・ミルズ氏(IBM Software & Systemsの上級副社長兼グループ・エグゼクティブ)と彼のチームは、このシステムの構築を支援してくれた際、次のように言いました。「IBMとSAPは共同で、100テラバイトのSAP HANAシステム、世界最大のインメモリー・データベース・システムを構築しました。100ノードのIBM X5上で実行されているこのシステムは、250テラバイトまで拡張することができます」。

ハードウェアパートナーのプロセッサおよびメモリのロードマップによれば、これらのSAP HANAシステムは、この秋から2013年初頭にはさらにキャパシティがほぼ倍増されます(したがって上記の数字をさらに2にしてください)。そして、我々は某社と違って、この技術革新を活用するためにハードウェアの新製品をリリースする必要はありません

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SAP HANAはひとつのシンプルな概念に基づいて構築されています。「ハードウェアの進歩と、最新のエンタープライズソフトウェアの性質についての深い理解を組み合わせれば、「データベース」を再考することができる」。そして、私たちはそうしました。私はSAP HANAのデザイン原則として、この概念を用いました。

他社はなんとかして、古い設計に基づいた既存のデータベース・システムを維持しようと躍起になっています。新しいSSDアクセス技術によってフラッシュへのアクセスを高速化し、パフォーマンスの改善を誇示しようとしていること自体が、この点を際立たせています。

SAP HANAやSybase ASE、Sybase IQもまた、読み込みログや再起動の高速化のためにこのSSD技術の恩恵を受けています。しかし、SAP HANAはハッソが何年も前に打ち出した基本的な原理に基づいて構築されています--インメモリーでは、最も複雑なクエリやアルゴリズムであっても想定範囲内のレスポンスタイムを得ることができ、またすべてを超並列に実行することができます

このインメモリー・パワーは、私たちに自由度をもたらします。たとえば、
■ エンタープライズソフトウェアを再考する。
■ OLTPアプリ(たとえば先週リリースされたSAP製品Business One on HANA)から、アナリティクス、構造化データ処理、非構造化データに至るまで、既存システムをNon disruptiveに更新する。
■ システムを再考し数千倍も速くする。
■ そしてそこらじゅうにあるバッチジョブを排除する。

インメモリ・パワーはまた、全く新しいアプリケーション前例のないソリューションの構築を可能にします。
■ ゲノム配列分析から、エネルギー探査、リアルタイムの顧客リレーション強化、インクルーシブ・バンキングまで、ソフトウェアが世界をよりシンプルに、リアルタイムにし、緊密に接続された状態にすることを支援します。
■ 過去のシステムの境界や制約から私たちを解放します。もはや私たちにとって唯一の制約は、自分自身の想像力の限界です。

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アラン・ケイはいつも私に言っていました--「未来は、単に過去の延長線上にある必要はない」。

私たちは、制約の多い過去のシステムを一時的なテクノロジーによって延命するかわりに、未来にフォーカスし、お客様やパートナーそして自分たちの手で「望ましく、実現可能で、実行可能な未来(desirable, feasible and viable future」を構築することを選びました。

そして、その世界には嘘の余地はありません。SAP HANAベースのランドスケープとその紛れもない成功は、すべての人に開かれており、誰もがその上に未来を構築することができます。

Happy HANA!
ビシャル・シッカ、CTO、SAP AG

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