サプライチェーン計画~ERP~MESの垂直統合がもたらす価値


こんにちは SAPジャパンの福田勝美です。
本稿では、サプライチェーン計画とERP(基幹)およびMES(製造実行管理)が垂直統合することで何が価値としてもたらされるのか、について言及していきます。

1. なぜ今、垂直統合が重要か?

昨今の移り変わりの激しい市場においてサプライチェーンには、これまで以上に柔軟な変化対応力と顧客志向が求められています。

顧客のニーズが多様化し、製品ライフサイクルが短縮化する中、顧客の期待や要求の変化への迅速な対応(多品種少量生産等)や、グローバルに拡大する市場へ追随する必要があります。また、そのような市場環境の中、安定した売上・収益を上げていくためには、顧客ロイヤリティを獲得して高いレベルで維持することが求められています。

そのためには、いかに市場・顧客のニーズを迅速にサプライチェーンの計画に反映して先々の需給の状況を予測するか、またその計画をタイムリーに販売・生産拠点、さらに製造現場へ伝えていくか、さらに現場の受注実績や調達・製造実績を計画系へタイムリーに戻して次の計画へ反映していくか、そのための企業内部の情報の垂直統合・連携が重要になってきます。

しかし、現実世界を見ると計画の仕組み、販売・調達・生産を含むERPの仕組みおよびMESがバラバラで個別最適のため、顧客ニーズ、市場動向に合わせた計画変更情報等がタイムリーに現場に伝わらない、あるいは現場の調達・製造実績情報がタイムリーに計画へ反映されないために顧客・市場の変化に追随できない仕組みになっていたり、元々収益を加味した計画であったが、タイムリーに調達・生産・物流の実績情報を計画へ反映できないために、計画見直し・対策が遅れて減益を招くなどの事態に陥ったりします。

計画~ERP~MESまで無駄なく情報が統合管理され、タイムリーに情報が垂直連携することで顧客ニーズへの対応とサービスレベルの維持・向上を図りながら企業収益を向上させていくことができるのです。垂直統合モデル_New

2. 垂直統合・連携すべき内容

今回は、顧客ニーズへの対応としての“多品種少量生産”および顧客への“サービスレベルの維持・向上”を解決すべき課題にあげながら、垂直統合・連携すべき内容について見ていきます。

1) 多品種少量生産への対応

多品種少量生産の対応には生産管理、製造工程において様々な検討要素がありますが、ここでは企業収益の観点から検討します。

まず、モデルミックス需給計画の際、各製品の売上状況および製品にかかるコストを過去実績から推定して製品の組み合わせパターンによる利益比較、シミュレーションが必要になります。そのためにERPから計画へ製品の売上実績や原価の情報をタイムリーに連携させる必要があります。また、ERPからの過去の売上実績、MESからのタイムリーかつ精度の高い製造実績情報が基幹を通して連携してこないと需給精度が上がらず需給バランスを取ることができません。

さらに、多品種少量生産では品種が多岐に渡るため製品のライフサイクルをシステムで管理していくことが求められます。特に製品のライフエンドを意識した在庫・生産量の調整・指示が必要です。対応プロセスとしては、サプライチェーン計画においてライフエンドを考慮した先々の在庫・供給調整を製品・中間品ベースで行い、それをERPへ連携して生産管理部門が材料、生産制約を考慮した在庫・調達・生産シミュレーションを行います。ライフエンドへ向けた在庫・調達・生産情報が関係部門間で確定したら、各担当者が調整アクションに入ります。ERPからの現実の在庫・調達・生産情報をサプライチェーン計画にタイムリーに反映することで製品のライフエンドに向けた計画が可能となります。

2) サービスレベルの維持・向上

サービスレベルの維持・向上は企業が製品・サービスを市場・顧客へて提供していく上で不可欠な要素ですが、現実的にはすべての顧客ニーズを満たす製品を揃えて要求納期通りに提供していくことは不可能です。企業収益の観点からサービスレベルとかけるコストのバランスを最適化していくことが求められます。

まず、サプライチェーン計画で製品毎のサービスレベルとコスト、収益のバランスをシミュレーションしながらサービスレベルと在庫・供給枠を決めていきます。このときERPからタイムリーに精度の高い在庫情報、供給計画情報が計画へ反映されることが求められます。

この計画内容をもとにオペレーションをしていけばよいのですが、顧客からの短納期要求のためにこの計画の見直しを要求されることがあります。サービスレベルを維持していくには、この短納期要求に対応可能な柔軟な仕組みが必要です。

対応プロセスとしては、直近の受注への対応になるため、直近の調達・生産計画と実績を管理しているERP側で処理していくことになります。資材、工程制約を考慮しながらERP側の生産計画・詳細スケジューリングを実行・シミュレーションします。要求納期を満たす場合は、そのまま顧客へ納期回答しますが、資材の欠品、納期割れを起こす場合は各関係部門と調整して問題を解消して納期回答をしていくことになります。その際、MESから正確な実績情報がERPに上がっていることが重要で、この情報がタイムリーに上がっていないと、必要な生産数量がブレることになり、正確な納期回答ができません。MESからのタイムリーかつ正確な製造進捗情報が必要となります。また、ERPでの見直した計画や実績情報は、サプライチェーン計画へタイムリーに返して次の計画へ備えます。

このようにサプライチェーン計画とERP、MESがタイムリーに連携、垂直統合することでサービスレベルの維持・向上を図っていくことができるのです。

SAPでは、サプライチェーン計画ツールとしてSAP Integrated Business Planning(以下IBP)、ERPとしてSAP S/4HANA(以下S/4)、MESとしてSAP Manufacturing ExecutionとSAP Manufacturing Integration and Intelligence (以下ME/MII)をご提供しております。これらツール機能により、上記垂直統合が実現可能です。

 

3. まとめ

本稿では、サプライチェーン計画~ERP~MESの垂直統合がもたらす価値およびSAP製品(IBP、S/4、ME/MII)による垂直統合の実現について見てきました。
今回の寄稿が貴社サプライチェーン、生産マネジメントの改善に参考になれば幸いです。

なお、SAPでは垂直統合をテーマとした内容デモをSAP Forum Tokyoのセッション、会場ブースでご紹介する予定です。ご来場を心よりお待ちしております。

以上

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