SAP Predictive Analytics 3.2 新機能と製品ロードマップ
作成者:大岩 良一 投稿日:2017年7月26日
今回はSAP S/4HANA、SAPクラウドアプリケーションに蓄積されたデータの可視化・分析を可能にするSAPアナリティクスソリューションの中から、予測分析ツールであるSAP Predictive Analytics3.2の新機能と製品ロードマップをご紹介させていただきます。
*SAP Predictive Analyticsの概要説明に関しては、過去ブログからご参照ください。
◆SAP Predictive Analytics 3.2 新機能ハイライト
1.Predictive Factoryの機能拡張
Predictive FactoryはWebベースのモデル運用基盤になります。
予測分析モデルは1度作成して終わりではありません。日々新しくなるデータに対して予測精度を維持する必要があります。Predictive Factoryでは、モデル精度を継続的に監視したり、スケジュールによるモデルの再学習・適用(スコアリング)作業の自動化を提供します。
定期スケジューリングはもちろん、イベントやプログラムをトリガとしたスケジューリングにも対応します。
SAP Predictive Analytics 3.2では、Predictive Factory上で新規モデル作成機能(分類・回帰、時系列)が追加されました。
今までクライアント側で実行していたモデル作成処理を、Web上でより簡易的に実行することが出来るようになりました。また、運用管理機能も強化されてきており、モデル評価やシミュレーション用のレポート画面が大幅に拡張されています。
図1:Predictive Factoryによる新規モデル作成(左図)、モデル作成後の評価レポート(右図)
今後リリース予定のバージョンでは、さらにPredictive Factoryに機能集約され、よりシンプルで、より使いやすいプラットフォーム環境を目指します。一部コンポーネント名称も変更されます。
図2:SAP Predictive Analytics プラットフォーム拡張イメージ
2.SAP HANA 連携の強化
SAP Predictive Analyticsのデータ加工機能において、HANA information View がサポートされました。 HANA information Viewを活用出来ることにより、柔軟性が高いデータ加工を実現します。
また、SAP HANA 2.0 / SAP HANA 2.0 Expressのサポートデータソース追加や、HANA Multitenant Database Containersのサポートなどが挙げられます。
*SAP HANA連携時のパフォーマンスも前バージョンから向上しています。
3.BigData対応の強化
SAP Predictive Analyticsでは、Spark上での高速モデリング や、SAP Vora1.4に対応します。
大量データ・大量カラムにおける高速モデリングの実現は、SAP HANAやSparkのインメモリエンジンを活用することで対応することが可能です。
予測分析領域におけるデータは日々増加の傾向にあります。今後、いかにインメモリエンジンを活用しモデリング処理の高速化を実現するかが重要になってくるでしょう。
SAPは、SAP HANAを中心にインメモリ分析プラットフォームを今後も強化していきます。
下図は、Sparkのインメモリ上でモデル作成した場合のベンチマークです。
データが少ない時は差があまり出ませんが、15,000列 x 500,000行の大量データでモデルを作成した場合、Native Spark Modelingでは通常より10倍以上のパフォーマンスを発揮することが確認出来ました。
図3:Native Spark Modelingにおけるベンチマーク
◆製品ロードマップ
SAP Predictive Analyticsの製品ロードマップ(トピック)になります。
ユーザーインターフェースの統合や分析機能の拡張、BigData対応、またSAPアプリケーションとの連携(SAP S/4HANA、SAP Hybris、その他)、Python対応等、継続的な機能拡張が予定されています。
図4:SAP Predictive Analytics 製品ロードマップ
まとめ
今回は、予測分析ツールであるSAP Predictive Analytics 3.2の新機能を中心にご紹介しました。SAP Predictive Analytics 単体でのご利用はもちろん、SAP S/4HANA含むSAPアプリケーション、SAP Analytics Cloud、SAP Cloud Platformとの連携も強化していきます。
人事、会計、生産、その他領域等においても機械学習の考えが組込まれ、より高度な分析が出来るようになります。分析処理の簡易化・自動化により、今後はデータサイエンティストの方だけでなく、業務ユーザーが中心となるデータ分析・活用も益々増えていくことでしょう。
また、新たなデジタルイノベーションシステムの仕組みとして「SAP Leonardo」を発表しました。この中には、機械学習、IoT、ビックデータ、アナリティクス、ブロックチェーン等の様々なソフトウェア機能を統合します。SAPアプリケーションへの連携はもちろん、深層学習を利用した動画や画像分析の仕組みなど、どんどん新しい機能を提供していきます。
以下にお役立ち情報サイトをまとめましたので是非ご活用ください。
SAP Predictive Analytics 製品ロードマップ
評価版ダウンロードサイト
製品マニュアル
公式チュートリアル
英語コミュニティサイト
今後も、継続的にSAP Predictive Analyticsの最新情報をお伝えします。
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